ウィリー、倉敷へ行く 05/07/2007
追い詰められたフランスのとある町はある決断をした。
七人の男たちは町の城門を開き、軍隊の前に堂々と立ちはだかり、町を明け渡した。
勇ましく、彼らは降伏した。
それを見た軍隊は、その町を襲わなかった。
パラパラパラ・・・
ところ変わってこちらは岡山県倉敷市美観地区。孤独な旅人ウィリーは小さな橋の上から、川に向かってコイに餌を与えていた。
ぱくっ ぱくっ。
赤や金色に光るコイが、エサを食べにくる。
パラッ パラッ。
ぱくっ ぱくっ。
その背後に、黒い影が通る。
「やぁ、ウィリー!!何やってるの?はたから見るとあんた、寂しい人に見えるよ。」
「そ、その声は・・・」
恐る恐るウィリーは振り返った。
「作者・・・」
「あっ、鯉のエサ買ったんだ!ちょっと分けてよ!」
ウィリーは頭を垂れてため息を吐いた。
「どうしてこう私の一人旅に邪魔が入るんでしょうか・・・それもよりによって作者ですか。ブログの更新がなかったのでてっきり一酸化炭素中毒になってると思いました。」
「あ、引っ越し先のパロマのこと?あれ、結局撤去してもらいました。」
「はぁ・・・そうでしたか。で、どうして作者がここに?」
「kazu osinoさんによると倉敷の美観地区にはおいしいカレー屋さんがあるらしいのだ。」
「か、カレー!?カレーと言えばインド!インドと言えばタンジェリン!ギャー!!」
「こらこら騒ぐな。ウィリー、そのカレー屋さん、見なかった?」
「いえ、見ていませんが倉敷にまで来てカレーですか?せっかくだから何か名産品でも食べればいいですのに。」
「何をとぼけたこと言っているんだウィリー!岡山県はカレーの県なんだよ!!」
「は?そんなこと、聞いたことがありませんが・・・」
しかし作者はチッチッチッと得意げな表情でウィリーを見上げる。
「聞いて驚くなよウィリー、岡山県には「インドカレー」という方言があるのだ!!」
「インドカレー!?そ、それはどういう意味で?」
「んとね、「帰りなさい」って意味らしいよ。ちなみに「放っておきなさい」は「ホットカレー」って言うんだって。」
「インドカレーにホットカレーですか・・・だからといって名産がカレーというわけでもないのに・・・」
「おっと、ウィリーに見せたいものがあるのだ。ちょっとこっちに付いてきて。」
「?」
白い壁の瓦屋根が続く町をしばらく行くと、黄土色の洋風の建物が見えた。
「何ですかここは?」
「大原美術館さぁ!日本で最初の洋風美術館さぁ!ここにはモネちゃんの「睡蓮」やセガンティーニちゃんの「アルプスの真昼」っていう名画があるさぁ!」
「なんでkazuさんの「いつか見た・・・」の一太さんの真似をしてるんですか!それに「モネちゃん」・・・って白戸さんのキャラクターじゃないんですからね!!」
「ぷぉっぷぉっぷぉっ・・・キーボードだと打ちにくいですが携帯からだと非常に打ちやすいですよchachaさん!」
「・・・・・ぉぃ。」
「ウィリー、そりゃ楓さんのパクリだな。」
「楓さんと言うよりもツッコミ役のポペットさんだな・・・ってちがああぁぁう!!」
ウィリーは鯉のエサをぶちまけた。
「乗ってたくせに。」
「私は心が空っぽなのでそういう話には乗せられやすいのです。ところで、見せたいものって何ですか?」
「大原美術館の入り口にあるロダンの彫刻さぁ!!」
「?」
ロダン作・洗礼者ヨハネ
「ちがうちがう。見てほしいのは向かって右側の方。」
ロダン作・カレーの市民 ジャン・ダールの像
(以前の記事「倉敷に行ってきました」参照)
「・・・だからさっきからカレーがどうだこうだと言ってたんですね。」
「いやあ、これを見た瞬間ネタにするしかないと思いましたよ。ええ。やっぱり岡山県はカレーの県ですよ!」
「ちがいます!岡山はモモにマスカットでしょう!?外国人に教えられてどうするんですか!?」
「まぁまぁまぁ。ささ、カレー屋を探しに行こう!!」
「美術館は見ないのですか?」
「もう見た。再入館できないんだもん。ウィリー、それより何かおごってよ。」
「嫌です。」
「ケチ。」
「・・・・・」
ところがウィリーはその彫刻像の前で立ち止まった。
「どしたの?ウィリー、黙り込んで。」
「カレー・・・といえば、フランスの町でしょうか。」
「あれ?ウィリー、知ってるの?」
「ええ。確か百年戦争の際、イギリス軍に追い詰められたフランスの町です。」
「ふーん・・・」
「市民たちは町を明け渡し降伏したのです。それも、軍隊の前に七人の男性が頭の毛を剃り、粗末な服をまとって首にロープをかけて軍隊の前に立ちはだかったのです。おそらくこの人は城門の鍵を持っているのでしょう。それを見た英軍はその町を襲わなかったのです。」
「・・・いい話だね。ウィリー。」
「ええ。」
「この美術館、戦争の鉄品回収の時にロダンの彫刻像を出せって言われたんだって。」
「えっ。」
「でも、美術館の人たちが必死に守りぬいたんだそうだよ。」
「ほぉ・・・」
風に木がザワザワっと揺れる。
「カレーの市民と何かが重なりますね。勇ましさというか、たくましさというか・・・」
「やっぱりさ、ウィリー・・・」
「?」
「岡山はカレーの県なんだね。」
「・・・だからなんでそうつながるんですか!!」
シュタタタタ・・・
「また楓さんをぱくって・・・」
その時、黒い影が通り過ぎる。
「あれ?ウィリー、君も来てたの?」
「その声は・・・タンジェリン!!」
「ナマステ!作者茉莉から倉敷はカレーの町だと聞いたんだよ。」
「だから違うって・・・カレーの町じゃないんだってば・・・。」
「どうしたの?」
「タンジェリン、銃刀法違反にならないうちに早く帰ったら・・・?」
「大丈夫大丈夫!ちゃんと武器はしまってきたから!それよりカレー屋さんはどこだ?」
「知らないってばぁ・・・」
ウィリーは結局、美術館にしばらく居座った後、すぐ横にある喫茶店で紅茶をたしなんでいましたとさ。
七人の男たちは町の城門を開き、軍隊の前に堂々と立ちはだかり、町を明け渡した。
勇ましく、彼らは降伏した。
それを見た軍隊は、その町を襲わなかった。
パラパラパラ・・・
ところ変わってこちらは岡山県倉敷市美観地区。孤独な旅人ウィリーは小さな橋の上から、川に向かってコイに餌を与えていた。
ぱくっ ぱくっ。
赤や金色に光るコイが、エサを食べにくる。
パラッ パラッ。
ぱくっ ぱくっ。
その背後に、黒い影が通る。
「やぁ、ウィリー!!何やってるの?はたから見るとあんた、寂しい人に見えるよ。」
「そ、その声は・・・」
恐る恐るウィリーは振り返った。
「作者・・・」
「あっ、鯉のエサ買ったんだ!ちょっと分けてよ!」
ウィリーは頭を垂れてため息を吐いた。
「どうしてこう私の一人旅に邪魔が入るんでしょうか・・・それもよりによって作者ですか。ブログの更新がなかったのでてっきり一酸化炭素中毒になってると思いました。」
「あ、引っ越し先のパロマのこと?あれ、結局撤去してもらいました。」
「はぁ・・・そうでしたか。で、どうして作者がここに?」
「kazu osinoさんによると倉敷の美観地区にはおいしいカレー屋さんがあるらしいのだ。」
「か、カレー!?カレーと言えばインド!インドと言えばタンジェリン!ギャー!!」
「こらこら騒ぐな。ウィリー、そのカレー屋さん、見なかった?」
「いえ、見ていませんが倉敷にまで来てカレーですか?せっかくだから何か名産品でも食べればいいですのに。」
「何をとぼけたこと言っているんだウィリー!岡山県はカレーの県なんだよ!!」
「は?そんなこと、聞いたことがありませんが・・・」
しかし作者はチッチッチッと得意げな表情でウィリーを見上げる。
「聞いて驚くなよウィリー、岡山県には「インドカレー」という方言があるのだ!!」
「インドカレー!?そ、それはどういう意味で?」
「んとね、「帰りなさい」って意味らしいよ。ちなみに「放っておきなさい」は「ホットカレー」って言うんだって。」
「インドカレーにホットカレーですか・・・だからといって名産がカレーというわけでもないのに・・・」
「おっと、ウィリーに見せたいものがあるのだ。ちょっとこっちに付いてきて。」
「?」
白い壁の瓦屋根が続く町をしばらく行くと、黄土色の洋風の建物が見えた。
「何ですかここは?」
「大原美術館さぁ!日本で最初の洋風美術館さぁ!ここにはモネちゃんの「睡蓮」やセガンティーニちゃんの「アルプスの真昼」っていう名画があるさぁ!」
「なんでkazuさんの「いつか見た・・・」の一太さんの真似をしてるんですか!それに「モネちゃん」・・・って白戸さんのキャラクターじゃないんですからね!!」
「ぷぉっぷぉっぷぉっ・・・キーボードだと打ちにくいですが携帯からだと非常に打ちやすいですよchachaさん!」
「・・・・・ぉぃ。」
「ウィリー、そりゃ楓さんのパクリだな。」
「楓さんと言うよりもツッコミ役のポペットさんだな・・・ってちがああぁぁう!!」
ウィリーは鯉のエサをぶちまけた。
「乗ってたくせに。」
「私は心が空っぽなのでそういう話には乗せられやすいのです。ところで、見せたいものって何ですか?」
「大原美術館の入り口にあるロダンの彫刻さぁ!!」
「?」
ロダン作・洗礼者ヨハネ
「ちがうちがう。見てほしいのは向かって右側の方。」
ロダン作・カレーの市民 ジャン・ダールの像
(以前の記事「倉敷に行ってきました」参照)
「・・・だからさっきからカレーがどうだこうだと言ってたんですね。」
「いやあ、これを見た瞬間ネタにするしかないと思いましたよ。ええ。やっぱり岡山県はカレーの県ですよ!」
「ちがいます!岡山はモモにマスカットでしょう!?外国人に教えられてどうするんですか!?」
「まぁまぁまぁ。ささ、カレー屋を探しに行こう!!」
「美術館は見ないのですか?」
「もう見た。再入館できないんだもん。ウィリー、それより何かおごってよ。」
「嫌です。」
「ケチ。」
「・・・・・」
ところがウィリーはその彫刻像の前で立ち止まった。
「どしたの?ウィリー、黙り込んで。」
「カレー・・・といえば、フランスの町でしょうか。」
「あれ?ウィリー、知ってるの?」
「ええ。確か百年戦争の際、イギリス軍に追い詰められたフランスの町です。」
「ふーん・・・」
「市民たちは町を明け渡し降伏したのです。それも、軍隊の前に七人の男性が頭の毛を剃り、粗末な服をまとって首にロープをかけて軍隊の前に立ちはだかったのです。おそらくこの人は城門の鍵を持っているのでしょう。それを見た英軍はその町を襲わなかったのです。」
「・・・いい話だね。ウィリー。」
「ええ。」
「この美術館、戦争の鉄品回収の時にロダンの彫刻像を出せって言われたんだって。」
「えっ。」
「でも、美術館の人たちが必死に守りぬいたんだそうだよ。」
「ほぉ・・・」
風に木がザワザワっと揺れる。
「カレーの市民と何かが重なりますね。勇ましさというか、たくましさというか・・・」
「やっぱりさ、ウィリー・・・」
「?」
「岡山はカレーの県なんだね。」
「・・・だからなんでそうつながるんですか!!」
シュタタタタ・・・
「また楓さんをぱくって・・・」
その時、黒い影が通り過ぎる。
「あれ?ウィリー、君も来てたの?」
「その声は・・・タンジェリン!!」
「ナマステ!作者茉莉から倉敷はカレーの町だと聞いたんだよ。」
「だから違うって・・・カレーの町じゃないんだってば・・・。」
「どうしたの?」
「タンジェリン、銃刀法違反にならないうちに早く帰ったら・・・?」
「大丈夫大丈夫!ちゃんと武器はしまってきたから!それよりカレー屋さんはどこだ?」
「知らないってばぁ・・・」
ウィリーは結局、美術館にしばらく居座った後、すぐ横にある喫茶店で紅茶をたしなんでいましたとさ。
「紅茶戦争」(後編) 03/15/2007
翌日、クインシーはとりあえず警護として、エマやウィリーを学校へ連れていくことにした。そしてタンジェリンも、さらにはタンジェリンが心配だと言ってクリスも付いてきた。
放課後部室に行くと、先にヘッセとナツメが来ていて、エマと話をしていた。
「あら。」
見ると、机の上には小さな子猫がいた。
「どうしたの?子猫?」
「そうなのよ。可愛いでしょ。」
「ナツが拾って来たんだよ。」
「そうなんだ。家じゃ飼えなくて。」
「あは、かわいい〜。」
小さな段ボールの箱から出され、机の上の鉛筆を転がしている。落ち着いた感じの水色の目に、灰色の毛並み。
「私もエジプトにいた時、猫ちゃん飼ってたわ。」
「へーっ。エマさんが?」
どうやら、エマはその子猫が気に入ったようである。
「クインシー、この猫ちゃん、飼いましょうよ〜!」
「ま、待ってよ。家にはジョンがいるし、それにジャヤが怒るわよ!エマは知らないだろうけど、ジャヤってば狂暴なんだからね!!」
「ちぇーっ。ねぇナツ、この子名前何ていうの?」
「名前?あぁ、まだ、ないんだ。」
「じゃあ名前を付けなくっちゃ!」
ルンルン気分のエマ。
「あっ、そうだわ、エマって名前にして、ヘッセ、飼いなさいよ!」
と、クインシー。
「なっ・・・無理だよ、僕んちは犬を二匹も飼ってるんだから。」
「二匹も!?」
ナツメは驚いた。
「ラブラドールを二匹、普通のと黒いのをさ。」
「なんて名前?」
「白いのがミルク、黒いのがショコラ。二匹ともメスだよ。」
そこへ、ドイルがやってきた。
「あれ?猫がいる。」
「おーう、ドイル、飼ってみない?」
「い、嫌だよ猫なんて。部屋を散らかされたら困るよ。」
確かにドイルの部屋を散らかされたらたまったもんじゃない。
「ふむぅ・・・困ったなぁ・・・」
そこへ、カフカがやってきた。
「こ、こんにちは。」
「こんにちは〜。」
「あっ。」
カフカは机の上にいる小さな子猫に気が付き、小さく声を上げた。
「ナツメが拾ってきたの。飼い主を探しているんだけど、難しいわよねぇ。あ、あと初めまして。私はエマ。ヘッセの友達なの。よろしく。」
「は、はじめまして。カフカです。」
クインシーたちは驚いた。まさかエマが自分から話しかけるだなんて。ちなみにまだタンジェリンのことはヘッセやドイルには話していない。一応、エマには話してあるのだが・・・
「あ、あの、カフカさん、昨日の紅茶、とてもおいしかったわ。聞くところによると、とても高級なものらしいわね。」
とりあえずクインシーは話を切り出した。本題は猫のことよりも、タンジェリンのことなのだ。
「あっ、それはよかったです。」
「へーっ、その紅茶、どこで買ったの?」
と、エマ。
「故郷から送られてきたんです。」
「そう。で、カフカちゃんはどうしてこの部活を選んだの?」
どういうわけかエマが積極的に質問をする。
「世界史が好きなんです。でも、歴史関係の部活がなかったので、諦めてたところこの部活について聞きましたので、ちょうどいいなと思ったんです。」
確かにそうだ。この大学のサークルといえば、スポーツは一通りあるのだが、文科系はというと演劇や美術、文芸、科学、陶芸、天文、新聞などなど・・・確かに、歴史の部活はなかった。
「そう、勉強熱心なのね。」
さすがにカフカに対してフレンドリーなエマに、ヘッセもドイルも驚いた。
「ところでカフカさん、さっきからカバンの中が騒がしいわね。」
「えっ?」
既にエマは、ビクトリアの存在に気が付いていた。
「と、特に何も・・・」
その時カフカのカバンがガサッと動いた。
「わっ・・・!」
カフカは慌てたが、エマにはもうわかっていた。
「久しぶりねぇ、ビクトリア。」
エマは立ち上がった。
「えっ!?」
カフカは声を上げたが、その瞬間にビクトリアはふわっと空中に舞い上がると、机の上に降りた。
「こちらこそ。久しぶりね、エマ・エジプト。」
「もう死んだかと思ったわ。」
「死体に言われたくないわよ。あなたこそ。スエズ運河の人柱にでもなってればよかったのに。」
カフカは焦った。まさかこんな公共の場所でビクトリアが飛び出してくるとは思わなかった。
「せ、先輩たち、これは・・・」
「カフカさん、大丈夫。わかるから。落ち着いて落ち着いて!!」
エマは鋭い目付きでビクトリアを睨んだ。ところが、ビクトリアからは余裕の表情さえ伺える。机の上にいた猫は慌ててナツメの方に逃げた。
「エ、エマ、知り合いなの?」
エマ・エジプトはビクトリアから視線を反らさずに答える。
「えぇそうよ。出てきなさい、タンジェリン。」
ガタッと音がして、タンジェリンは部屋の隅に置いてあった箱から出てきた。普段着ではなく、体に機関銃の弾(たま)を巻いて、手に一杯の武器を持っている。
「キャ・・・」
カフカは叫ぼうとしたが、横にいたナツメに止められた。
「久しぶりねぇ、タンジェリン。あなた、まだ生きてたの?」
「・・・・・」
タンジェリンは何も口に出さなかった。
「ちょうどいいわ。二人まとめて片付けてあげる!!」
ビクトリアはダイヤモンドでできたステッキを振り回した。
「うわっ!」
小さく風が巻き起こり、机の上の本や小物類を吹き飛ばした。
「ちょっと隅に固まっていて。」
クインシーら学生に向かって杖を向け、机の上から見下ろした。
「なっ・・・」
勝手にやってきて一体なんだとヘッセはムッときたが、エマはそのままヘッセに向かって言った。
「気にしないで。すぐ終わるから。」
エマ・エジプトは手を広げ、砂嵐を起こした。とりあえず学生どもは隅に寄った。
「だめーっ!エマ、タンジェリン!だめよ!!」
クリスの声である。机に両手をついて、二人の間に入っていた。しかしエマは集中していた。うっかり気を抜くと、ビクトリアに攻撃されてしまうのだ。
「ふっ、お前たちの仲間がどうなってもいいのかしら?」
「仲間?」
バァン!!
窓ガラスに何かがぶつかる、大きな音がした。
「キャーッ!」
見るとそこには逆さ吊りにされたウィリー・ウォルター・ルーがいた。まず首がきつくロープで縛られ、手は後ろで縛られ、服ごとロープで巻かれていた。目は輝きを失い、口は半開きになっていた。
「ウィリー!!」
クリスは慌てて窓を開けた。
「だめっ!クリス!!」
「わっ!」
エマは叫んだが遅かった。クリスが窓を開けた瞬間、強い風が吹き込んできた。同時にウィリーの縄が解け、ウィリーは部屋の中に入り、短剣を取り出し、エマを攻撃した。
「キャッ!」
「エマさん!!」
ヘッセは叫んだが、今度は自分が何か強い力で押さえ付けられているのを感じた。
「なっ・・・」
同じようにクインシーもドイルもナツメも、何か見えないものに押さえ付けられ、身動きがとれなかった。
「な、なにこれ・・・」
ただ目の前では、エマとウィリーが攻撃し合っている様子が見えるだけ。辛うじてウィリーの攻撃を、エマが避けているというような状況だった。一方でタンジェリンも、見えない力に押しつけられて壁にはりつけにされていた。クリスも何者かによって口をふさがれていた。実はビクトリアは何体もの透明人間を操ることができるのだ。
「や、やめてよビクトリア!!」
カフカは叫んだが、逆に吹き飛ばされた。本棚に衝突する音。
「いったぁ・・・」
「キャァッ!!」
同時にエマが倒れた。体格からしても明らかにエマが不利だった。ウィリーに蹴飛ばされ、窓に背中からぶつかったのである。そして床にぐったりと壁に上半身がもたれかかったままで倒れた。
「く・・・くそっ・・・」
エマは歯を食い縛ったが、隣でタンジェリンは泣いていた。
「エマ、僕らがどうあがいたって奴にはかないっこないさ。」
「なに弱気なこと言っているのよ!」
「弱気じゃない、本当のことさ。俺の体から出てきた武器を見ろ!今の世の中じゃ・・・完全に通用しない!!」
確かにそうである。タンジェリンの持っている武器はどれも古い型式のもので、爆弾を投げたら一発で粉砕されてしまいそうである。
「あらぁ、やっと気が付いたのね?」
得意げな表情でビクトリアは言った。
「この裏切り者・・・お前だって・・・もとはインドで発掘されたダイヤモンドのくせに・・・!!」
「ふん、何とでも言いなさいよ!さぁて、そろそろ決着を付けないとねぇ。」
ビクトリアがウィリーにとどめを刺すように命令しようとした時だった。
「久しぶりだな。ビクトリア。」
ビクトリアの背後に、緑色の炎のようなものが現われた。声に気が付き、ビクトリアが振り向いた時にはもう遅かった。
「キャッ!!」
「マヤ!」
扉の前に、マヤ・マゼランが立っていた。マヤは風を起こしてビクトリアの足を浮かせて倒したのだった。
「ちっ、行け!」
ビクトリアはステッキを振り、透明人間たちに命令したが、マヤは上手に空中を泳いで避けたが、透明人間たちは集団でマヤに襲い掛かった。
「うわっ!」
マヤはバランスを崩してよろめき、机の上に倒れた。
「ふぅ、あなたもまだ生きてたのね。」
透明人間たちはうつ伏せになったマヤの上から押さえ付けているようである。ビクトリアはそれをあしらうかのようにステッキでマヤの額に埋め込まれているヒスイをつつきながら言った。ダイヤモンドでできたステッキは硬いため、つつくたびにキズが付いた。
「ぐっ・・・」
「うふふ・・・せっかくいいシーンで登場したのにねぇ。」
ところが、ビクトリアの背後にもう一人いた。
「見つけたわよ!ビクトリア!!」
キィン!!
高音の鉄琴が響いたような音。
「あ・・・」
学生たちその他もろもろは体が軽くなったのを感じた。透明人間がいなくなったのである。そして机の上には1メートル四方の氷の塊(かたまり)。その中にはビクトリアの姿があった。口を開けたまま、ステッキを持ったままで立っていた。そしてウィリーは力なく地面に倒れた。
「レーカ・・・」
エマはゆっくりと体を起こした。カールの栗毛、赤い民族衣装。
「まさかと思って駆け付けたらこういうことだったとはねぇ。」
レーカは氷を解かした。中からはダイヤモンドでできた首飾りがでてきた。
「ど・・・どういうこと・・・?」
カフカは動揺していた。
「ビクトリアは支配力の影に隠れて贅沢(ぜいたく)ばかりしていたの。」
レーカは鋭い声で言った。カフカは意味がやっとわかった。ここにいる人たち・・・人間じゃなさそうな人たちは、支配下に置かれていた人たちなんだなぁと。
「エジプトってのは・・・一番かわいそうなんだよ。」
次に口を開いたのは、ヘッセだった。
「いろんな国に征服されてさ・・・」
「ヘッセ・・・」
エマは顔をヘッセに向けた。
「バヒロニアにペルシャ、ギリシャにローマ帝国、ナポレオン遠征にイギリス・・・でも俺は、そんな中で必死に生きてるナイル川や・・・ピラミッドが好きなんだよ。」
「先輩・・・」
その時ナツメの手から子猫がストッと降り、カフカに近づいた。その猫は、カフカが飼うことに決めた。
そして一通りカフカにはアルファベット・アンティークのことを言った。
「せっかく紅茶をもらったんだから、何かお礼をしなくっちゃあね。」
クインシーは家に帰って考えていた。ちなみに、途中でレーカとマヤが助けにきてくれた理由は、レーカの超能力で感付いたらしい。また、ウィリーが縛られていた理由は、屋上に身をひそめていたところ、透明人間たちにやられたらしい。カバンの中からだったが、ビクトリアは外の気配に感付いていたのだ。
「ウィリー、罰としてパウンドケーキ作ってよ。」
「あいたた・・・あん?ハタダのごくまろプリンにしたら?あれは最高においしいぞ。」
「だめよ!生物(なまもの)じゃない。やっぱり手作りがいいわよね、クリス。」
「ええ!もちろん!それにウィリー、あなたが一番紅茶をよく飲むんだからね!」
「ぐっ・・・あ、ところでタナーは?」
「燃料不足でくたばってるわよ。さぁさぁ早く早く☆」
「げげー。」
それからどうやらカフカはヘッセに一目惚れをしたらしく、ヘッセも避けながらで微妙な楽しい学生ライフが始まりましたとさ。
おわり
放課後部室に行くと、先にヘッセとナツメが来ていて、エマと話をしていた。
「あら。」
見ると、机の上には小さな子猫がいた。
「どうしたの?子猫?」
「そうなのよ。可愛いでしょ。」
「ナツが拾って来たんだよ。」
「そうなんだ。家じゃ飼えなくて。」
「あは、かわいい〜。」
小さな段ボールの箱から出され、机の上の鉛筆を転がしている。落ち着いた感じの水色の目に、灰色の毛並み。
「私もエジプトにいた時、猫ちゃん飼ってたわ。」
「へーっ。エマさんが?」
どうやら、エマはその子猫が気に入ったようである。
「クインシー、この猫ちゃん、飼いましょうよ〜!」
「ま、待ってよ。家にはジョンがいるし、それにジャヤが怒るわよ!エマは知らないだろうけど、ジャヤってば狂暴なんだからね!!」
「ちぇーっ。ねぇナツ、この子名前何ていうの?」
「名前?あぁ、まだ、ないんだ。」
「じゃあ名前を付けなくっちゃ!」
ルンルン気分のエマ。
「あっ、そうだわ、エマって名前にして、ヘッセ、飼いなさいよ!」
と、クインシー。
「なっ・・・無理だよ、僕んちは犬を二匹も飼ってるんだから。」
「二匹も!?」
ナツメは驚いた。
「ラブラドールを二匹、普通のと黒いのをさ。」
「なんて名前?」
「白いのがミルク、黒いのがショコラ。二匹ともメスだよ。」
そこへ、ドイルがやってきた。
「あれ?猫がいる。」
「おーう、ドイル、飼ってみない?」
「い、嫌だよ猫なんて。部屋を散らかされたら困るよ。」
確かにドイルの部屋を散らかされたらたまったもんじゃない。
「ふむぅ・・・困ったなぁ・・・」
そこへ、カフカがやってきた。
「こ、こんにちは。」
「こんにちは〜。」
「あっ。」
カフカは机の上にいる小さな子猫に気が付き、小さく声を上げた。
「ナツメが拾ってきたの。飼い主を探しているんだけど、難しいわよねぇ。あ、あと初めまして。私はエマ。ヘッセの友達なの。よろしく。」
「は、はじめまして。カフカです。」
クインシーたちは驚いた。まさかエマが自分から話しかけるだなんて。ちなみにまだタンジェリンのことはヘッセやドイルには話していない。一応、エマには話してあるのだが・・・
「あ、あの、カフカさん、昨日の紅茶、とてもおいしかったわ。聞くところによると、とても高級なものらしいわね。」
とりあえずクインシーは話を切り出した。本題は猫のことよりも、タンジェリンのことなのだ。
「あっ、それはよかったです。」
「へーっ、その紅茶、どこで買ったの?」
と、エマ。
「故郷から送られてきたんです。」
「そう。で、カフカちゃんはどうしてこの部活を選んだの?」
どういうわけかエマが積極的に質問をする。
「世界史が好きなんです。でも、歴史関係の部活がなかったので、諦めてたところこの部活について聞きましたので、ちょうどいいなと思ったんです。」
確かにそうだ。この大学のサークルといえば、スポーツは一通りあるのだが、文科系はというと演劇や美術、文芸、科学、陶芸、天文、新聞などなど・・・確かに、歴史の部活はなかった。
「そう、勉強熱心なのね。」
さすがにカフカに対してフレンドリーなエマに、ヘッセもドイルも驚いた。
「ところでカフカさん、さっきからカバンの中が騒がしいわね。」
「えっ?」
既にエマは、ビクトリアの存在に気が付いていた。
「と、特に何も・・・」
その時カフカのカバンがガサッと動いた。
「わっ・・・!」
カフカは慌てたが、エマにはもうわかっていた。
「久しぶりねぇ、ビクトリア。」
エマは立ち上がった。
「えっ!?」
カフカは声を上げたが、その瞬間にビクトリアはふわっと空中に舞い上がると、机の上に降りた。
「こちらこそ。久しぶりね、エマ・エジプト。」
「もう死んだかと思ったわ。」
「死体に言われたくないわよ。あなたこそ。スエズ運河の人柱にでもなってればよかったのに。」
カフカは焦った。まさかこんな公共の場所でビクトリアが飛び出してくるとは思わなかった。
「せ、先輩たち、これは・・・」
「カフカさん、大丈夫。わかるから。落ち着いて落ち着いて!!」
エマは鋭い目付きでビクトリアを睨んだ。ところが、ビクトリアからは余裕の表情さえ伺える。机の上にいた猫は慌ててナツメの方に逃げた。
「エ、エマ、知り合いなの?」
エマ・エジプトはビクトリアから視線を反らさずに答える。
「えぇそうよ。出てきなさい、タンジェリン。」
ガタッと音がして、タンジェリンは部屋の隅に置いてあった箱から出てきた。普段着ではなく、体に機関銃の弾(たま)を巻いて、手に一杯の武器を持っている。
「キャ・・・」
カフカは叫ぼうとしたが、横にいたナツメに止められた。
「久しぶりねぇ、タンジェリン。あなた、まだ生きてたの?」
「・・・・・」
タンジェリンは何も口に出さなかった。
「ちょうどいいわ。二人まとめて片付けてあげる!!」
ビクトリアはダイヤモンドでできたステッキを振り回した。
「うわっ!」
小さく風が巻き起こり、机の上の本や小物類を吹き飛ばした。
「ちょっと隅に固まっていて。」
クインシーら学生に向かって杖を向け、机の上から見下ろした。
「なっ・・・」
勝手にやってきて一体なんだとヘッセはムッときたが、エマはそのままヘッセに向かって言った。
「気にしないで。すぐ終わるから。」
エマ・エジプトは手を広げ、砂嵐を起こした。とりあえず学生どもは隅に寄った。
「だめーっ!エマ、タンジェリン!だめよ!!」
クリスの声である。机に両手をついて、二人の間に入っていた。しかしエマは集中していた。うっかり気を抜くと、ビクトリアに攻撃されてしまうのだ。
「ふっ、お前たちの仲間がどうなってもいいのかしら?」
「仲間?」
バァン!!
窓ガラスに何かがぶつかる、大きな音がした。
「キャーッ!」
見るとそこには逆さ吊りにされたウィリー・ウォルター・ルーがいた。まず首がきつくロープで縛られ、手は後ろで縛られ、服ごとロープで巻かれていた。目は輝きを失い、口は半開きになっていた。
「ウィリー!!」
クリスは慌てて窓を開けた。
「だめっ!クリス!!」
「わっ!」
エマは叫んだが遅かった。クリスが窓を開けた瞬間、強い風が吹き込んできた。同時にウィリーの縄が解け、ウィリーは部屋の中に入り、短剣を取り出し、エマを攻撃した。
「キャッ!」
「エマさん!!」
ヘッセは叫んだが、今度は自分が何か強い力で押さえ付けられているのを感じた。
「なっ・・・」
同じようにクインシーもドイルもナツメも、何か見えないものに押さえ付けられ、身動きがとれなかった。
「な、なにこれ・・・」
ただ目の前では、エマとウィリーが攻撃し合っている様子が見えるだけ。辛うじてウィリーの攻撃を、エマが避けているというような状況だった。一方でタンジェリンも、見えない力に押しつけられて壁にはりつけにされていた。クリスも何者かによって口をふさがれていた。実はビクトリアは何体もの透明人間を操ることができるのだ。
「や、やめてよビクトリア!!」
カフカは叫んだが、逆に吹き飛ばされた。本棚に衝突する音。
「いったぁ・・・」
「キャァッ!!」
同時にエマが倒れた。体格からしても明らかにエマが不利だった。ウィリーに蹴飛ばされ、窓に背中からぶつかったのである。そして床にぐったりと壁に上半身がもたれかかったままで倒れた。
「く・・・くそっ・・・」
エマは歯を食い縛ったが、隣でタンジェリンは泣いていた。
「エマ、僕らがどうあがいたって奴にはかないっこないさ。」
「なに弱気なこと言っているのよ!」
「弱気じゃない、本当のことさ。俺の体から出てきた武器を見ろ!今の世の中じゃ・・・完全に通用しない!!」
確かにそうである。タンジェリンの持っている武器はどれも古い型式のもので、爆弾を投げたら一発で粉砕されてしまいそうである。
「あらぁ、やっと気が付いたのね?」
得意げな表情でビクトリアは言った。
「この裏切り者・・・お前だって・・・もとはインドで発掘されたダイヤモンドのくせに・・・!!」
「ふん、何とでも言いなさいよ!さぁて、そろそろ決着を付けないとねぇ。」
ビクトリアがウィリーにとどめを刺すように命令しようとした時だった。
「久しぶりだな。ビクトリア。」
ビクトリアの背後に、緑色の炎のようなものが現われた。声に気が付き、ビクトリアが振り向いた時にはもう遅かった。
「キャッ!!」
「マヤ!」
扉の前に、マヤ・マゼランが立っていた。マヤは風を起こしてビクトリアの足を浮かせて倒したのだった。
「ちっ、行け!」
ビクトリアはステッキを振り、透明人間たちに命令したが、マヤは上手に空中を泳いで避けたが、透明人間たちは集団でマヤに襲い掛かった。
「うわっ!」
マヤはバランスを崩してよろめき、机の上に倒れた。
「ふぅ、あなたもまだ生きてたのね。」
透明人間たちはうつ伏せになったマヤの上から押さえ付けているようである。ビクトリアはそれをあしらうかのようにステッキでマヤの額に埋め込まれているヒスイをつつきながら言った。ダイヤモンドでできたステッキは硬いため、つつくたびにキズが付いた。
「ぐっ・・・」
「うふふ・・・せっかくいいシーンで登場したのにねぇ。」
ところが、ビクトリアの背後にもう一人いた。
「見つけたわよ!ビクトリア!!」
キィン!!
高音の鉄琴が響いたような音。
「あ・・・」
学生たちその他もろもろは体が軽くなったのを感じた。透明人間がいなくなったのである。そして机の上には1メートル四方の氷の塊(かたまり)。その中にはビクトリアの姿があった。口を開けたまま、ステッキを持ったままで立っていた。そしてウィリーは力なく地面に倒れた。
「レーカ・・・」
エマはゆっくりと体を起こした。カールの栗毛、赤い民族衣装。
「まさかと思って駆け付けたらこういうことだったとはねぇ。」
レーカは氷を解かした。中からはダイヤモンドでできた首飾りがでてきた。
「ど・・・どういうこと・・・?」
カフカは動揺していた。
「ビクトリアは支配力の影に隠れて贅沢(ぜいたく)ばかりしていたの。」
レーカは鋭い声で言った。カフカは意味がやっとわかった。ここにいる人たち・・・人間じゃなさそうな人たちは、支配下に置かれていた人たちなんだなぁと。
「エジプトってのは・・・一番かわいそうなんだよ。」
次に口を開いたのは、ヘッセだった。
「いろんな国に征服されてさ・・・」
「ヘッセ・・・」
エマは顔をヘッセに向けた。
「バヒロニアにペルシャ、ギリシャにローマ帝国、ナポレオン遠征にイギリス・・・でも俺は、そんな中で必死に生きてるナイル川や・・・ピラミッドが好きなんだよ。」
「先輩・・・」
その時ナツメの手から子猫がストッと降り、カフカに近づいた。その猫は、カフカが飼うことに決めた。
そして一通りカフカにはアルファベット・アンティークのことを言った。
「せっかく紅茶をもらったんだから、何かお礼をしなくっちゃあね。」
クインシーは家に帰って考えていた。ちなみに、途中でレーカとマヤが助けにきてくれた理由は、レーカの超能力で感付いたらしい。また、ウィリーが縛られていた理由は、屋上に身をひそめていたところ、透明人間たちにやられたらしい。カバンの中からだったが、ビクトリアは外の気配に感付いていたのだ。
「ウィリー、罰としてパウンドケーキ作ってよ。」
「あいたた・・・あん?ハタダのごくまろプリンにしたら?あれは最高においしいぞ。」
「だめよ!生物(なまもの)じゃない。やっぱり手作りがいいわよね、クリス。」
「ええ!もちろん!それにウィリー、あなたが一番紅茶をよく飲むんだからね!」
「ぐっ・・・あ、ところでタナーは?」
「燃料不足でくたばってるわよ。さぁさぁ早く早く☆」
「げげー。」
それからどうやらカフカはヘッセに一目惚れをしたらしく、ヘッセも避けながらで微妙な楽しい学生ライフが始まりましたとさ。
おわり
アルティー番外編 「紅茶戦争」 03/14/2007
アルファベット・アンティーク番外編
紅茶戦争(前編)
登場人物紹介
*古代エジプト研究部
クインシー:主人公
ヘッセ:古代エジプト研究部部長
ドイル:ヘッセの友人
エドガー:ドイルの兄
ナツメ:後輩で、日本人の男の子。
*クインシーの遺産たち
ウィリー
タナー
エマ
タンジェリン
クリス
・・・など。
*この辺りは言うまでもない。問題が次である。
カフカ:古代エジプト研究部に突然入部する、イギリス人のお嬢様。
ビクトリア:ウィリーたちを操って、タンジェリンを殺そうとする。
「あれ?」
古代エジプト研究部の入部テストを採点していたヘッセは、きょとんとした。
「ねぇ、ナツ、この人誰か知ってる?一年生なんだけど。」
「どれどれ?あ、カフカさん?イギリスからの留学生さ。へーっ、入部テスト受けたんだ。」
ナツメは笑った。
「知ってるの?」
「知ってるとも。有名さ。イギリスの上院議員の子供で英語もフランス語もドイツ語もイタリア語もスペイン語もペラペラなのさ。時折イギリスからマスコミとか来てるよ。」
「ふーん。でもなんでそんな人がこの大学に?」
「ああ、世界史が好きならしいよ。」
「反対!反対!はんたーい!なんでこれ以上部員を入れなくちゃならないのよ!」
クインシーはこれ以上遺産たちのことが周りに知れ渡っては困ると思っていた。宿敵黒十字がいなくなったのはいいが、その後もクインシーの家には骨董品を買いたいという人や手紙や強盗未遂が絶えなかった。
「でもいいじゃないか!女の子!」
と、いつもとかわらぬ部長のヘッセ。
「何言ってるのよ!知名度の高い人がこの部活に入ったら遺産たちの運命はどうなることやら!」
「まあまあ落ち着いて、二人とも。」
「なによ、エドガー、あなたからも何か言ってちょうだいよ!」
「とりあえず聞いてからだよ、クインシー。女の子が一人で、それに一緒に入る友達もいないのに。」
「そうそう、遊び半分でテストを受けたかもしれないし。」
と、ドイル。
・・・と、その時、部室のドアが開いて教授と一人の女の子が入ってきた。
「あ・・・」
金髪に青目の、いかにも「イギリス人の少女」という女の子である。どこぞやのお伽話から飛び出してきたような、子供っぽい女の子である。
「カフカさん、こちらが部室・・・おや、全員いたのか。こりゃいい、このメガネの人が部長のヘッセで・・・」
カフカはうなずきながら教授の話を聞いていた。
「まぁ、何かあったら私に言いなさい。じゃあ、今日は職員会議があって。」
・・・・・
「あ、あの・・・」
沈黙の後、初めに言葉を発したのはカフカだった。
「あっ、は、初めまして。」
と、部長のヘッセ。
「初めまして・・・よかったら、このお菓子、皆さんで食べてください。」
カフカは手に手土産を持っていた。藍色のいかにも高級そうな包み紙である。
「あっ、ありがとう・・・」
ぎこちない空間が続く。
「あっ、よろしければ紅茶を注ぎます。故郷から持ってきましたので。」
「わ、悪いね・・・」
「いえ、いいんです。お世話になる身ですからこのくらい持っておかないと・・・えっと、ポットを・・・あっ、私がやります。」
「こんなにたくさんのお菓子・・・本当にいいの?」
「あ、はい。良かったら皆さん持って帰ってください。」
「あら、この紅茶、おいしいわね。いい香り。」
クインシーはカフカが持ってきた紅茶が気に入った。
「あ、よかったらこの茶葉もどうぞ・・・」
と、その紅茶の茶葉が入っている缶をクインシーの前に差し出した。どうやら新品を開封したところらしい。
「あ、わ、悪いわね・・・」
とまぁ、そんな感じでぎこちないまま、一日が終わったのである。
家に帰ると、ウィリーが紅茶を飲みながらゆっくりしていた。
「うふふ・・・これがタナー宛て、これがエマ宛てね。」
見るとクリス・キャロルが手紙の種類分けをしていた。つまりは、いろんな美術館や博物館から、クインシーの遺産を買い取りたいという内容の手紙を、名前ごとに分けているところだった。
「あら、また来たの?」
「そうよ。今のところ累計エマがトップで36通、続きましてヨーランが30通、僅差でグロリアが28通。お返事書かなくっちゃね。あっ、そうそう、わたしにも日本の博物館から手紙が来たわ。」
「ふん、どうせ俺はガラクタですよ・・・」
ウィリーはハタダのごくまろプリンを食べ食べスプーンを口にくわえながら、ふてくされていた。ただの古い鳥かごで、特に歴史的にも価値のないウィリーには、そういう手紙が一枚もこなかったからだ。
「あっ、そうそう、あ、もう今日はエマはいないんだ。古代エジプト研究部に新しく女の子が入ったのよ。それもイギリス人の女の子。」
「ほー。」
ウィリーは顔を上げた。ちなみに古代エジプトのミイラであるエマ・エジプトは昼間、太陽の出ているときにしか動くことができない。
「それがただのイギリス人じゃないのよ!イギリスの上院議員の子供で英語もフランス語もドイツ語もイタリア語もスペイン語もペラペラなのよ!しかも年下で!わたし、ああいう子、大ッ嫌い!話していてもなんかすっごくぎくしゃくするの!もういや!あの子入るんなら私退部する!!」
「・・・そりゃあイギリス人ですから英語は話せますよ。それにしてもなんかすごい人が入りましたね。」
「あっ、そうだウィリー、その子から紅茶とクッキーをいただいたの。」
「ほー。」
「もういや!思い出すと腹が立ってくるからウィリー、全部飲んじゃって。それからクッキーも早くなくしてちょうだいね!」
「そんな無茶苦茶な・・・おや?その紅茶、いい香りですね。」
ウィリーは紅茶に興味津々である。
「おや、その紅茶は・・・」
ウィリーは紅茶の缶に目が行った。ダークブルーに黄土色のラベル。
「ウィリー、知ってるの?」
ウィリーは紅茶の缶を手に取った。
「ええ。イギリスの紅茶の老舗です。私は田舎者ですのであまり詳しく知りませんが皇室でも愛飲されている高級なブランドです。タナーならわかるかもしれません。」
「ふーん、そうなんだ・・・」
ウィリーはタナーが入っている箱を開けた。
「どうした、ウィリー?」
「タナー、高級そうな紅茶をクインシーが持って帰ってくれた。」
「?」
タナーはゴージャスなフリルの付いた襟元に袖口、ワンポイントにダイヤモンドの付いた金縁のメガネをかけていた。彼はもともとイギリスの工場主に使われていた高級なランタン。田舎者のウィリーとは違って、タナーは都会人なのである。
「おや、久々に見たな。まだ生きてたか、このブランド。」
「タナー、知ってるの?」
「ああ。何度か飲んだことがある。それも特に特別な時で、日常ではなかなか飲むことができない。どうしたんだ?それにこのクッキー、一枚数ポンド、いや、それ以上はするぞ!」
驚いた反動でずれたメガネを正しながらタナーは改めてクッキーを見た。
「ええっ!?じ、じゃあ、ウィリー、さっき言ったこと訂正する!私が食べる〜!!」
「やなこった!なっ、聞いたよな、クリス!さっそく食ぁべよっ☆」
ウィリーは背が高いことをいいことにクッキーをつまんで一枚食べた。
「うぉー!イッツデリシャス!!」
「あーっ!いじわる!!」
「ど、どうしたんだ!?なんでこれがこんなところにあるんだ?」
タナーはクリスの方を向く。
「クインシーが持って帰って来てくれたのよ。」
「ならばさっそく御賞味したい。」
アルコールが燃料のタナーはいつもお酒しか飲まなかったが、めずらしく紅茶に積極的だ。
「あぁ、うまい。」
「懐かしい。」
はたから見ればおっさん二人の会話である。
「ぜひともお礼がしたい。」
「あぁ。よろしく言っておいてくれ。」
・・・・・How?
一方で、カフカは高級なマンションに戻ると、一階のレストランで食事を済ませた。
「ただいま。」
部屋にいたのは、カフカだけではなかった。
「おかえりなさい。今日はどうだった?あの紅茶にクッキー、みなさん気に入ってくださった?」
「ええ。とても。」
「よかったわぁ!!それもそうでしょうね!だってもともと私のご主人さまの会社の紅茶にクッキーなんですもの!!」
カフカが話し掛けているのは身長が一メートル足らずの小さな女の子。金髪のカール、青い目。ダイヤモンドをちりばめたドレス。
「ありがとう、ビクトリア。」
「いえいえ!それよりもどうだった?新しい部活に入ったんでしょ?」
「ええ。みんないい人ばかりよ。」
「なんて名前だったかしら?考古学研究部だったかしら?」
「古代エジプト研究部よ。」
「あら、エジプト限定?」
「でも部員の方たちがすごい人ばかりなの。うれしいわ。」
「すごいって?」
「部長の方はとてもエジプトについて詳しいの。それから医学部トップの人に、日本からの留学生もいるの。私、いろんなことが勉強できそう。楽しみだわ。」
「それはよかったわ。カフカ、お友達、できた?」
「うん・・・一人、女の先輩がいるから安心したわ。」
「それはよかったわ!いいなあ、楽しそう。私も一緒に行きたいわ。」
「そうねぇ・・・だったらビクトリア、カバンの中に入っておく?」
「うん!!」
その一方で、クインシーの遺産の中に疑いを挟む者がいた。
「・・・・・」
あいかわらずニコニコしながらお茶会を開いているウィリーとタナー。
ガタッ!!
「?」
一番先に気が付いたのは、クリス・キャロルである。
「あら、タンジェリン。」
「!?」
見ると、タンジェリンの箱のふたが、微妙にずれていた。ちなみに、自己紹介をすると、このタンジェリンという男、インド出身の糸車でありまして、紅茶を注ぐのがとても上手いのでございます。ところが彼は時々発狂して、武器を取り出しては発砲してくる危険人物となってしまうのでございます。特にイギリス人に因縁があるせいか、ウィリーとタナーはしょっちゅう狙われ、殺されそうになったこともあるんだそうです。
「どうしたの?タンジェリン。」
クリスはタンジェリンに近づいた。
「こら!その箱を開けるなクリス!!せっかくのお茶会が台無しになる!!」
「何よウィリー!またタンジェリンの悪口言って!!」
「あのなぁ・・・」
「嫌な匂いがする。」
「?」
クリスが箱を開ける前に、タンジェリンが自分から出てきたのである。
「その紅茶は、どこから持ってきたのですか?」
普段、落ち着いているタンジェリンとはまた違った、鋭い声。タンジェリンは机の前まで来た。
「どうしたの?タンジェリン、いつもと、なんか変よ?」
「な、何があったんだ?」これにはいつもタンジェリンをおびえているウィリーとタナーも驚いた。その鋭さに、硬直して動くことができなかった。クリスも、タンジェリンの箱の前に座ったまま、顔だけを向けていた。足がすくんで動けなかったのだ。
「この紅茶の背後に誰もいませんでしたか?」
「背後?」
「ええ。確認しておきたいことがあります。この紅茶は誰からもらったのですか?」
「イギリス人の留学生からよ。」
と、クインシー。
「・・・・・」
しばらく黙った後、タンジェリンは口を開いた。
「この紅茶の会社は私がいた時代から続いている。その営業を、裏で操っていた奴がいるのだ。」
「それって、どういうこと?」
「今はもうどこかに姿をくらましているのだが、奴の気配がする!奴は平気で人を殺し、平気で人を捨てるような奴なんだ!!今こそ復讐の時だ!!奴はどこだ!!」
バァン!!
と、タンジェリンは机を叩いた。紅茶が、揺れた。
タンジェリンの言葉を受け、クインシーは不安になった。
「落ち着いて、タンジェリン。その人はイギリスからの留学生なのよ?ただのお土産として持ってきてくれたのよ。」
「他にはどういう人だ?」
「あ・・・イギリスの上院議員の娘さんだわ。」
「大いに可能性はある。」
「・・・・・」
タンジェリンの予想どおりだった。タンジェリンの復讐しようとしている相手の名はビクトリア。
まさに、絶好の機会だった。
紅茶戦争(前編)
登場人物紹介
*古代エジプト研究部
クインシー:主人公
ヘッセ:古代エジプト研究部部長
ドイル:ヘッセの友人
エドガー:ドイルの兄
ナツメ:後輩で、日本人の男の子。
*クインシーの遺産たち
ウィリー
タナー
エマ
タンジェリン
クリス
・・・など。
*この辺りは言うまでもない。問題が次である。
カフカ:古代エジプト研究部に突然入部する、イギリス人のお嬢様。
ビクトリア:ウィリーたちを操って、タンジェリンを殺そうとする。
「あれ?」
古代エジプト研究部の入部テストを採点していたヘッセは、きょとんとした。
「ねぇ、ナツ、この人誰か知ってる?一年生なんだけど。」
「どれどれ?あ、カフカさん?イギリスからの留学生さ。へーっ、入部テスト受けたんだ。」
ナツメは笑った。
「知ってるの?」
「知ってるとも。有名さ。イギリスの上院議員の子供で英語もフランス語もドイツ語もイタリア語もスペイン語もペラペラなのさ。時折イギリスからマスコミとか来てるよ。」
「ふーん。でもなんでそんな人がこの大学に?」
「ああ、世界史が好きならしいよ。」
「反対!反対!はんたーい!なんでこれ以上部員を入れなくちゃならないのよ!」
クインシーはこれ以上遺産たちのことが周りに知れ渡っては困ると思っていた。宿敵黒十字がいなくなったのはいいが、その後もクインシーの家には骨董品を買いたいという人や手紙や強盗未遂が絶えなかった。
「でもいいじゃないか!女の子!」
と、いつもとかわらぬ部長のヘッセ。
「何言ってるのよ!知名度の高い人がこの部活に入ったら遺産たちの運命はどうなることやら!」
「まあまあ落ち着いて、二人とも。」
「なによ、エドガー、あなたからも何か言ってちょうだいよ!」
「とりあえず聞いてからだよ、クインシー。女の子が一人で、それに一緒に入る友達もいないのに。」
「そうそう、遊び半分でテストを受けたかもしれないし。」
と、ドイル。
・・・と、その時、部室のドアが開いて教授と一人の女の子が入ってきた。
「あ・・・」
金髪に青目の、いかにも「イギリス人の少女」という女の子である。どこぞやのお伽話から飛び出してきたような、子供っぽい女の子である。
「カフカさん、こちらが部室・・・おや、全員いたのか。こりゃいい、このメガネの人が部長のヘッセで・・・」
カフカはうなずきながら教授の話を聞いていた。
「まぁ、何かあったら私に言いなさい。じゃあ、今日は職員会議があって。」
・・・・・
「あ、あの・・・」
沈黙の後、初めに言葉を発したのはカフカだった。
「あっ、は、初めまして。」
と、部長のヘッセ。
「初めまして・・・よかったら、このお菓子、皆さんで食べてください。」
カフカは手に手土産を持っていた。藍色のいかにも高級そうな包み紙である。
「あっ、ありがとう・・・」
ぎこちない空間が続く。
「あっ、よろしければ紅茶を注ぎます。故郷から持ってきましたので。」
「わ、悪いね・・・」
「いえ、いいんです。お世話になる身ですからこのくらい持っておかないと・・・えっと、ポットを・・・あっ、私がやります。」
「こんなにたくさんのお菓子・・・本当にいいの?」
「あ、はい。良かったら皆さん持って帰ってください。」
「あら、この紅茶、おいしいわね。いい香り。」
クインシーはカフカが持ってきた紅茶が気に入った。
「あ、よかったらこの茶葉もどうぞ・・・」
と、その紅茶の茶葉が入っている缶をクインシーの前に差し出した。どうやら新品を開封したところらしい。
「あ、わ、悪いわね・・・」
とまぁ、そんな感じでぎこちないまま、一日が終わったのである。
家に帰ると、ウィリーが紅茶を飲みながらゆっくりしていた。
「うふふ・・・これがタナー宛て、これがエマ宛てね。」
見るとクリス・キャロルが手紙の種類分けをしていた。つまりは、いろんな美術館や博物館から、クインシーの遺産を買い取りたいという内容の手紙を、名前ごとに分けているところだった。
「あら、また来たの?」
「そうよ。今のところ累計エマがトップで36通、続きましてヨーランが30通、僅差でグロリアが28通。お返事書かなくっちゃね。あっ、そうそう、わたしにも日本の博物館から手紙が来たわ。」
「ふん、どうせ俺はガラクタですよ・・・」
ウィリーはハタダのごくまろプリンを食べ食べスプーンを口にくわえながら、ふてくされていた。ただの古い鳥かごで、特に歴史的にも価値のないウィリーには、そういう手紙が一枚もこなかったからだ。
「あっ、そうそう、あ、もう今日はエマはいないんだ。古代エジプト研究部に新しく女の子が入ったのよ。それもイギリス人の女の子。」
「ほー。」
ウィリーは顔を上げた。ちなみに古代エジプトのミイラであるエマ・エジプトは昼間、太陽の出ているときにしか動くことができない。
「それがただのイギリス人じゃないのよ!イギリスの上院議員の子供で英語もフランス語もドイツ語もイタリア語もスペイン語もペラペラなのよ!しかも年下で!わたし、ああいう子、大ッ嫌い!話していてもなんかすっごくぎくしゃくするの!もういや!あの子入るんなら私退部する!!」
「・・・そりゃあイギリス人ですから英語は話せますよ。それにしてもなんかすごい人が入りましたね。」
「あっ、そうだウィリー、その子から紅茶とクッキーをいただいたの。」
「ほー。」
「もういや!思い出すと腹が立ってくるからウィリー、全部飲んじゃって。それからクッキーも早くなくしてちょうだいね!」
「そんな無茶苦茶な・・・おや?その紅茶、いい香りですね。」
ウィリーは紅茶に興味津々である。
「おや、その紅茶は・・・」
ウィリーは紅茶の缶に目が行った。ダークブルーに黄土色のラベル。
「ウィリー、知ってるの?」
ウィリーは紅茶の缶を手に取った。
「ええ。イギリスの紅茶の老舗です。私は田舎者ですのであまり詳しく知りませんが皇室でも愛飲されている高級なブランドです。タナーならわかるかもしれません。」
「ふーん、そうなんだ・・・」
ウィリーはタナーが入っている箱を開けた。
「どうした、ウィリー?」
「タナー、高級そうな紅茶をクインシーが持って帰ってくれた。」
「?」
タナーはゴージャスなフリルの付いた襟元に袖口、ワンポイントにダイヤモンドの付いた金縁のメガネをかけていた。彼はもともとイギリスの工場主に使われていた高級なランタン。田舎者のウィリーとは違って、タナーは都会人なのである。
「おや、久々に見たな。まだ生きてたか、このブランド。」
「タナー、知ってるの?」
「ああ。何度か飲んだことがある。それも特に特別な時で、日常ではなかなか飲むことができない。どうしたんだ?それにこのクッキー、一枚数ポンド、いや、それ以上はするぞ!」
驚いた反動でずれたメガネを正しながらタナーは改めてクッキーを見た。
「ええっ!?じ、じゃあ、ウィリー、さっき言ったこと訂正する!私が食べる〜!!」
「やなこった!なっ、聞いたよな、クリス!さっそく食ぁべよっ☆」
ウィリーは背が高いことをいいことにクッキーをつまんで一枚食べた。
「うぉー!イッツデリシャス!!」
「あーっ!いじわる!!」
「ど、どうしたんだ!?なんでこれがこんなところにあるんだ?」
タナーはクリスの方を向く。
「クインシーが持って帰って来てくれたのよ。」
「ならばさっそく御賞味したい。」
アルコールが燃料のタナーはいつもお酒しか飲まなかったが、めずらしく紅茶に積極的だ。
「あぁ、うまい。」
「懐かしい。」
はたから見ればおっさん二人の会話である。
「ぜひともお礼がしたい。」
「あぁ。よろしく言っておいてくれ。」
・・・・・How?
一方で、カフカは高級なマンションに戻ると、一階のレストランで食事を済ませた。
「ただいま。」
部屋にいたのは、カフカだけではなかった。
「おかえりなさい。今日はどうだった?あの紅茶にクッキー、みなさん気に入ってくださった?」
「ええ。とても。」
「よかったわぁ!!それもそうでしょうね!だってもともと私のご主人さまの会社の紅茶にクッキーなんですもの!!」
カフカが話し掛けているのは身長が一メートル足らずの小さな女の子。金髪のカール、青い目。ダイヤモンドをちりばめたドレス。
「ありがとう、ビクトリア。」
「いえいえ!それよりもどうだった?新しい部活に入ったんでしょ?」
「ええ。みんないい人ばかりよ。」
「なんて名前だったかしら?考古学研究部だったかしら?」
「古代エジプト研究部よ。」
「あら、エジプト限定?」
「でも部員の方たちがすごい人ばかりなの。うれしいわ。」
「すごいって?」
「部長の方はとてもエジプトについて詳しいの。それから医学部トップの人に、日本からの留学生もいるの。私、いろんなことが勉強できそう。楽しみだわ。」
「それはよかったわ。カフカ、お友達、できた?」
「うん・・・一人、女の先輩がいるから安心したわ。」
「それはよかったわ!いいなあ、楽しそう。私も一緒に行きたいわ。」
「そうねぇ・・・だったらビクトリア、カバンの中に入っておく?」
「うん!!」
その一方で、クインシーの遺産の中に疑いを挟む者がいた。
「・・・・・」
あいかわらずニコニコしながらお茶会を開いているウィリーとタナー。
ガタッ!!
「?」
一番先に気が付いたのは、クリス・キャロルである。
「あら、タンジェリン。」
「!?」
見ると、タンジェリンの箱のふたが、微妙にずれていた。ちなみに、自己紹介をすると、このタンジェリンという男、インド出身の糸車でありまして、紅茶を注ぐのがとても上手いのでございます。ところが彼は時々発狂して、武器を取り出しては発砲してくる危険人物となってしまうのでございます。特にイギリス人に因縁があるせいか、ウィリーとタナーはしょっちゅう狙われ、殺されそうになったこともあるんだそうです。
「どうしたの?タンジェリン。」
クリスはタンジェリンに近づいた。
「こら!その箱を開けるなクリス!!せっかくのお茶会が台無しになる!!」
「何よウィリー!またタンジェリンの悪口言って!!」
「あのなぁ・・・」
「嫌な匂いがする。」
「?」
クリスが箱を開ける前に、タンジェリンが自分から出てきたのである。
「その紅茶は、どこから持ってきたのですか?」
普段、落ち着いているタンジェリンとはまた違った、鋭い声。タンジェリンは机の前まで来た。
「どうしたの?タンジェリン、いつもと、なんか変よ?」
「な、何があったんだ?」これにはいつもタンジェリンをおびえているウィリーとタナーも驚いた。その鋭さに、硬直して動くことができなかった。クリスも、タンジェリンの箱の前に座ったまま、顔だけを向けていた。足がすくんで動けなかったのだ。
「この紅茶の背後に誰もいませんでしたか?」
「背後?」
「ええ。確認しておきたいことがあります。この紅茶は誰からもらったのですか?」
「イギリス人の留学生からよ。」
と、クインシー。
「・・・・・」
しばらく黙った後、タンジェリンは口を開いた。
「この紅茶の会社は私がいた時代から続いている。その営業を、裏で操っていた奴がいるのだ。」
「それって、どういうこと?」
「今はもうどこかに姿をくらましているのだが、奴の気配がする!奴は平気で人を殺し、平気で人を捨てるような奴なんだ!!今こそ復讐の時だ!!奴はどこだ!!」
バァン!!
と、タンジェリンは机を叩いた。紅茶が、揺れた。
タンジェリンの言葉を受け、クインシーは不安になった。
「落ち着いて、タンジェリン。その人はイギリスからの留学生なのよ?ただのお土産として持ってきてくれたのよ。」
「他にはどういう人だ?」
「あ・・・イギリスの上院議員の娘さんだわ。」
「大いに可能性はある。」
「・・・・・」
タンジェリンの予想どおりだった。タンジェリンの復讐しようとしている相手の名はビクトリア。
まさに、絶好の機会だった。
アルファベットアンティーク案内板 02/25/2007
携帯電話で小説をどうぞ。イラストはPCで見ることをオススメします。左下にQRコードも設置しましたのでどうぞご利用下さい。
番外編?ドラクエ風アルティー 02/12/2007
ぜむ0327Lv.98があらわれた!
うぃりー Lv.46 HP.760 MP.217
ぜむ(0328) Lv.32 HP.432 MP.121
ぐろりあ Lv.43 HP.681 MP.256
べるべった Lv.39 HP.546 MP.999
ぜむ0327はいきなりおそいかかってきた!!
ぜむ0328に320のダメージ!
ぜむ0328はにげだした!
しかしまわりにかこまれてしまった!
うぃりーのこうげき!
ミス!ぜむ0327にダメージをあたえられない!
ぐろりあのこうげき!
ミス!ぜむ0327にダメージをあたえられない!
べるべったはねむっている
ぜむ0327のこうげき!つうこんのいちげき!
ぜむ0328に743のダメージ!
うぃりーに362のダメージ!
ぐろりあに235のダメージ!
ぜむ0328はしんでしまった!
うぃりーはみをまもっている
ぐろりあはじゅもんをとなえた!
ぜむ0327にはきかなかった!
ぜむ0327のひとみがあやしくひかった!
うぃりーに397のダメージ!
ぐろりあに265のダメージ!
なんとうぃりーはマヒしてしまった!
ぐろりあのこうげき!
ミス!ぜむ0327にダメージをあたえられない!
べるべったはねむっている
ぜむ0327はじゅもんをとなえた!
うぃりーに999のダメージ!
ぐろりあに999のダメージ!
うぃりーはしんでしまった!
ぐろりあはしんでしまった!
べるべったはめをさました!
ぜむ0327のこうげき!
べるべったに800のダメージ!
べるべったはしんでしまった!
うぃりーたちはぜんめつした!
終
茉莉>回復系がいないな・・・
ウィリー>そもそも何なんですかこれは。
茉莉>遊び心で。トワイライト・サーカスバージョンも作ってみたいなぁ。
ウィリー>・・・オズローにまた手紙を書かなくては。(警告の)
茉莉>それはそうとどうしてドラクエのモンスターたちはきっちり横一列等間隔に並ぶかなぁ?フォーメーションとか組めばいいのに。
グロリア>あのなぁ・・・
茉莉>それからべるべった、MP999で寝るな!使え!てか、ドラクエの名前は4文字が限度だったっけ。まあいいか。
ベルベッタ>・・・・・
茉莉>それにしても0327、強いね。もっとレベルと経験値を・・・
ウィリー>やめてください。
うぃりー Lv.46 HP.760 MP.217
ぜむ(0328) Lv.32 HP.432 MP.121
ぐろりあ Lv.43 HP.681 MP.256
べるべった Lv.39 HP.546 MP.999
ぜむ0327はいきなりおそいかかってきた!!
ぜむ0328に320のダメージ!
ぜむ0328はにげだした!
しかしまわりにかこまれてしまった!
うぃりーのこうげき!
ミス!ぜむ0327にダメージをあたえられない!
ぐろりあのこうげき!
ミス!ぜむ0327にダメージをあたえられない!
べるべったはねむっている
ぜむ0327のこうげき!つうこんのいちげき!
ぜむ0328に743のダメージ!
うぃりーに362のダメージ!
ぐろりあに235のダメージ!
ぜむ0328はしんでしまった!
うぃりーはみをまもっている
ぐろりあはじゅもんをとなえた!
ぜむ0327にはきかなかった!
ぜむ0327のひとみがあやしくひかった!
うぃりーに397のダメージ!
ぐろりあに265のダメージ!
なんとうぃりーはマヒしてしまった!
ぐろりあのこうげき!
ミス!ぜむ0327にダメージをあたえられない!
べるべったはねむっている
ぜむ0327はじゅもんをとなえた!
うぃりーに999のダメージ!
ぐろりあに999のダメージ!
うぃりーはしんでしまった!
ぐろりあはしんでしまった!
べるべったはめをさました!
ぜむ0327のこうげき!
べるべったに800のダメージ!
べるべったはしんでしまった!
うぃりーたちはぜんめつした!
終
茉莉>回復系がいないな・・・
ウィリー>そもそも何なんですかこれは。
茉莉>遊び心で。トワイライト・サーカスバージョンも作ってみたいなぁ。
ウィリー>・・・オズローにまた手紙を書かなくては。(警告の)
茉莉>それはそうとどうしてドラクエのモンスターたちはきっちり横一列等間隔に並ぶかなぁ?フォーメーションとか組めばいいのに。
グロリア>あのなぁ・・・
茉莉>それからべるべった、MP999で寝るな!使え!てか、ドラクエの名前は4文字が限度だったっけ。まあいいか。
ベルベッタ>・・・・・
茉莉>それにしても0327、強いね。もっとレベルと経験値を・・・
ウィリー>やめてください。