ひさしぶり。 07/13/2007

茉莉>玉葱を切るたび「硫化アリルフラッシュだ!」と勝手に騒いでいる茉莉です。(カゴリカ第七話参照)
硝酸銀水溶液>それよりもこのイラストは誰?
茉莉>・・・ゴゴット様。
Mr.BTB>ゴゴット様って、あのトワイライト・サーカスの?
茉莉>包帯野郎です。
硝酸銀水溶液>どうしてまた?
茉莉>kazuさん復帰祝いに・・・と、思ったのですが・・・遅かったですね。イタリア編最後の「これからもよろしくなっ!」っていうシーンです。グロリアでもいいかなーと思ったのですがグロリアはけっこー描いた気がするんで。それにゴゴットの素顔を描いてみたかっただけなんだよぉ!
Mr.BTB>入れ墨ってあったっけ?
茉莉>あるのっ!もともとヤンキーなのっ!でも入れ墨って言うとジュノーちゃんが怒るんだもーん。(ドイツ・秋の章第3話参照)
ゴゴット>kazuさん、遅くなりましたが復帰おめでとうございます。この季節、体調には十分お気を付けくださいね、シニョリーナ。・・・って作者!誰が包帯野郎だっ!勝手に名前を付けるな!!
ジュノー>ゴゴの言うとおりだね。特にこの夏は暑いから気を付けねばね。
茉莉>ふん、なにがピーガガガガ・・・
硝酸銀水溶液>さ、作者!?
茉莉>しまった!今岡山県には台風がピーガガガガ・・・
Mr.BTB>ずっとそうやってろ。作者。
ゴゴット>どうもこの人だけはどうにもなりませんねぇ・・・
いまさらの話、大きな誤算その2 06/07/2007

「時々悪い夢を見る。
子供たちが武装して私を殺しにくる・・・
最新兵器を持って・・・」
「・・・あんただけじゃないさ・・・悪夢を見る奴は。」
茉莉>トワイライト・サーカスの中で個人的に好きなのはロシア・冬の章第八話「悪夢」。でもイラストは別れ際の最後の団長とノヴさん。
網野>それよりタイトルは何?
茉莉>実はトワイライト・サーカスの中でも大きな誤算があったのだ!しかも大切な別れのシーンで!!
一同>何!?
茉莉>最後、団長が「デスヴィダーニャ!(ロシア語でさようなら)」って言うでしょ、実はロシア語のさようならには「プラシャーイチェ」という語もあるのだ。
佐久間>ふむ。
茉莉>この「デスヴィダーニャ」と「プラシャーイチェ」は意味が違うのだ。
網野>どう違うの?
茉莉>「デスヴィダーニャ」は一般的、「プラシャーイチェ」は当分会えない時に使うのだ!!!つまり!最後のあの場面では「デスヴィダーニャ」よりも「プラシャーイチェ」の方が適切なのだ!!!
団長>なら変えればいいじゃないですか。プラシャーイチェに。
茉莉>それが・・・
団長>?
茉莉>このシーンをイラストにしてくださった楓氏に申し訳ない!・・・とりあえず一応報告まで!!
番外編に寄せて 04/24/2007

茉莉>携帯電話をパケ・ホーダイにしました。今まで黙って料金を払ってくれていた親に感謝です。
団長>それはそうとこの二人・・・
茉莉>ジョーカーとジョゼフィンのイメージ画像です。ええ、パケ・ホーダイにしたので画像も音楽も何でもカモーン!!
団長>こらこら。
茉莉>誰かージョーカーのイメージイラスト描いてぇ!待ち受けにするぅ〜!!
ドルチェ(ジョサイア)>・・・・・
茉莉>さてと。これからどうしようかな。
団長>とりあえず倉敷レポートを書きなさい。
茉莉>ネタ募集中!祝パケ・ホーダイ!!←ヤケクソ
ドルチェ>こら。
トワライ番外編「不幸の子」 04/21/2007
トワイライト・サーカス番外編
「不幸の子」
ジョーカーは、もともと悪い人ではなかった。今回はその経緯について、少しお話ができたらと思う。
ジョーカーの妻ジョゼフィンは、世の中でも珍しい「不幸の子」だった。「不幸の子」の周りでは、必ず不幸なことが起きるのだ。お金がなくなる、突風が吹く、ペットが死ぬ・・・近寄りたくない、貧乏神のような存在であった。
両親はジョゼフィンを道端に捨てた。二人目の子供は流産し、父親は仕事を失った。
まだジョゼフィンが三歳の時だった。
捨てられたジョゼフィンを拾ったのは、何世紀か前のサーカスの団長の妻だった。そのサーカスの中でジョゼフィンはすくすくと育っていくのだが、やはり周りには不幸なことが取り巻いた。テントに穴が開く、空中ブランコに失敗する、動物が暴れ出しお客様に怪我をさせる・・・すべてが、ジョゼフィンのせいだとされた。確かにそうだった。団員たちからは白い目で見られ、当時の団長も一度声を張り上げて捨ててこい!と、怒鳴ったほどだった。しかし、団長の妻だけはひたすら納得してもらうように努めた。ジョゼフィンも、近くに彼女がいる時は、幸せだった。
「・・・・・」
ジョゼフィンはサーカスの中で裏方の役をしていた。特に目立った役はさせてもらえなかった。仲間とうまく行かないのだ。そう、何もかもが。
何もかもが・・・
「ジョゼさん。」
ジョゼフィンはゆっくり振り返った。
「何か用?」
心臓が、ドキリと鳴る。
淡くて長い金髪なのに、真っ黒で大きな目。気味が悪いほどに青白い肌。暗い舞台裏のそのまた奧で、ジョゼフィンは休憩を取っていた。白くて長いスカートが、床に広がっていた。
「あ、いや・・・お元気ですか?」
男は話し掛ける。
「誰が?私が?」
「・・・はい。」
「別に。」
ジョゼフィンは男から視線を反らした。ところが男は立ち去らなかった。
「大丈夫ですか?」
「何が?」
男は黙り込んだ。
「クッキーを買ったんです。一緒にいかがですか?」
「・・・・・」
男はジョゼフィンの隣に座ったが、近すぎてジョゼフィンに避けられた。
「あなた、誰だったかしら。」
「あっ、ジョーカーと言います。」
「ああ、新しく入った子ね。幾つ?」
「18です。」
「あら、年下なのね。」
「まだわからないことが多いので、いろいろと教えてください。」
と、言ったきり、話が続かなくなってしまった。持ってきたクッキーにも、ジョゼフィンは無関心といったところだった。
「ジョゼさんはいつも、舞台裏にいるんですね。」
「そうよ。あら、あたしのこと、知らないの?」
「何がですか?」
「あたしが「不幸の子」だってこと。」
「不幸の子?」
「あたしが近くにいるだけで、不幸なことが起こるのよ。早くあっちに行った方が、あなたのためよ。」
「でも・・・」
「何よ、まだ何かあるの?」
と、ジョゼフィンが言った時だった。
ガタッ!!
「キャ・・・」
「危ない!!」
小道具の入った木箱が、ジョーカーの上に落下しそうだったのだ。ジョーカーはすぐさま飛び上がり、箱を空中で捕まえ、元に戻した。そしてゆっくりと着地する。
「大丈夫だった?」
「あなたこそ・・・」
以来ジョーカーはジョゼフィンのことが気になり始めた。「不幸の子」とは一体何なのか、なぜ不幸なことが起こるのか・・・
彼が唯一、古文書の中で見つけた記述は、以下の通りである。
「不幸の子」
何億人かに一人の割合で産まれてくる、不幸な運命をもった子供。不幸の子の周りには不幸なことがまとわりつき、大概は産まれて二、三年経った後、親に捨てられて生涯を終える。
「・・・・・」
この日からジョーカーは、魔法の研究に熱心に取り組むようになった。
そして数か月。
「おい、ジョーカー、最近付き合い悪いぞ。」
「なっ、何でもないよ。」
練習の後、アルコールを飲んで楽しくやっている団員たちを尻目にジョーカーは自分の部屋に戻る。部屋と言っても、馬車で引くのであまり広くはない小さなコンテナだった。入り口の戸を開け、足元を見てジョーカーは微笑む。
そこには小さなラヴ・レター。
白鳥のようにしなやかな体付きで手紙を拾い上げると、封を切り、手紙を開いた。
ジョーカーの、毎日の楽しみなのである。
ジョーカーへ
お仕事お疲れさま。今日は昨日より暖かいわね。前は素敵なペンダントをありがとう。でも付けていたらみんなからどう見られるかわからないし、義理の両親にもどう見られるかわからないわ。だから、大切にしまっておくわね。いつか交際が認められて、一緒に街を歩ける日が来ますように。ジョゼフィンより
早速返事をジョーカーはしたためる。そして、魔法で相手の近くに送るようにする。ぱさっと手紙がジョゼフィンの足元に落ち、ほほ笑みながら返事を書く。そしてそれが一晩に何度も繰り返されるのだ。
ジョゼフィンへ
じゃあ、明日また、いつもの舞台裏で。
二人が会えるのは昼休みの終わりごろ。ジョゼフィンの仕事場である舞台裏でこっそりと会うようにしているのだ。
「街で買ってきた。お口に合えば。」
「あら、プリン?」
「そう。あっ!」
ジョーカーは二本合ったスプーンのうち、一本を床に落としてしまった。
「あらあら・・・」
「あっ・・・洗ってくるよ。」
「いいわよ。二人で使えば。」
その様子を、別の角度から見ていた人物がいた。
コツ・・・
「!?」
足音にびっくりして、二人は振り返った。
「・・・・・」
そこにいたのは、黒いマントを身にまとった団長だった―この男こそ、ジョゼフィンを殺そうとした第一人者である―ジョーカーがジョゼフィンに近づいてから数か月の間、不幸なことが一つもなかったわけではない。まず、団長の最愛の妻が死んだのだ。原因は不明。突然発狂して死んだのだ。その他にも、動物達が次々に伝染病で死んでいったり、共食いを始めたりしたのだ。特にこの数か月はひどかった。
「あ、あの・・・お義父様・・・」
頼れる団長の妻もなく、ジョゼフィンはびくびくしながら背の高い団長を見上げる。
「ジョゼ、君は下がっていて。」
ジョーカーは一人、団長の前に歩み出た。
「・・・・・」
そしてジョーカーは床に頭を付け、団長の前にひれ伏した。
「この通りです。どうか二人の交際を認めてください。」
「・・・・・」
団長は右膝を立て、左膝を床に付け、ジョーカーの前に座った。
「顔を上げ給え。」
「・・・・・」
「お前たちの交際を認めよう。だが、これからどうなっても知らんぞ。」
団長はマントを翻し、来た方向へ帰っていった。
「ジョゼ・・・」
ジョゼフィンは泣いていた。
「ジョゼ!ジョゼ!!」
「ジョーカー!!」
ジョゼフィンはジョーカーに飛び付いた。ジョーカーもジョゼフィンをやさしく抱き抱える。
嬉しかったのだ。
ところがそれ以降、急に団員達の目が冷たくなった。
「おはよう。」
「・・・・・」
ジョーカーと好んで話そうとする団員はいなかった。
「ジョーカー、この大道具片付けていて。」
「今日体調悪いの。代わりに洗濯やって。」
ジョーカーは嫌とは言えない性格で、なおかつ自分から荷を背負い込んでしまう性格だったので、断り切ることができず、団員達が嫌がる仕事も自ら進んで行っていた。
「何回言わせればわかるんだ!?」
「同じことを何度も聞くな!」
ジョーカーは新入りでありまだ立場が下だったので、何度も失敗があった。その失敗に付け込まれては、あれやこれやと小言を言われた。ジョーカーは確かに落ち込むことはあったが、ジョゼの名誉が挽回されればいいと思っていた。少しでも、ジョゼが認めてもらえば、それでいいと思っていた。
「はぁ・・・疲れた・・・」
「大丈夫?顔色悪いわよ?」
「?」
ベッドに仰向けになったまま振り返るとジョゼフィンがいた。結婚後、ジョーカーの部屋を少し改装して、広くはならなかったが少しすっきりさせたのだ。
「あなた、働きすぎよ。」
「でも・・・」
「倒れるまで働かなくてもいいのに。」
「違うんだ、ただ僕は・・・」
「何かあったの?」
「色々と忙しいんだよ。」
「どうして?」
「どうして・・・って、君のためさ。」
「そう・・・でも、なかなか話す時間がないわよね。」「・・・・・」
「もっと、一緒にいる時間を増やせないかしらね。私たち。このままじゃ、前とあまり変わってないわ。」
ジョーカーははっとした。ジョゼフィンのためを思って働いてはいたものの、結局は忙しさにかまけてジョゼフィンにかまってあげられていなかったのだ。
「・・・ごめんね、ジョゼ。」
「いえ・・・」
ジョゼフィンはうつむいた。
「どうしたの?」
「おなかに赤ちゃんがいるわ。」
「えっ。」
「きっと、女の子。」
ジョゼフィンは笑った。
ジョルジェットと名付けられた女の子は、未熟児で体か小さかった。ジョーカーとジョゼフィンは二人で交代しながら昼も夜もジョルジェットの子守をしていた。そして仕事もいくらか調整した。
「・・・・・」
しかしやはり迷惑なのが雇い主側である。とにかく、そう、とにかく「不幸の子」の周りでは、不幸なことが起きるのだ。ジョーカーはそれでもいいが、サーカスと言うものは大きな一集団なのだ。集団だからこそ助け合わなくてはいけないというのがジョーカーの意見だが、すべての場合がうまく行くとは限らない。お互い人間であり、いざこざはつきものなのだ・・・
「お父さん、今日、みんなから知らん顔された・・・」
淋しそうな目でジョルジェットはそうつぶやいた。
「大丈夫さ。君にはお父さんが付いてるよ。それにお母さんも。」
「そうよ、ジョルジェット。あなたは私たちの本当に大切な宝物だわ。」
「本当?」
「ええ。本当よ。」
ジョルジェットは笑った。作り笑いのなく、自分のきまぐれでしか笑わない無邪気な子供の笑顔。ジョーカーはこれが大好きだった。
しかし、団員達は「不幸の子」がもたらす不幸に耐えられなくなってきたのだ。なのに、ジョーカーは周りの影響も考えず、必死にジョゼフィンをかばい続け、ついには二人目の子供を出産した。その勝手気ままな行動に、団員達は強い怒りも感じていた。
ジョーカーは、団員達に相手にされなくなるのを見て、家族で空中ブランコ乗りを始めた。これがまたお客に好評で、「愛によってつながれた二人」というタイトルで、ちまたでも有名になっていた。
「ジョゼ、行くよ!」
「ハイッ!」
―ところが、ある日―
空中ブランコで、ジョゼフィンの手をつかもうとしたときだった。
ブチッ
「!!」
「ジョゼ!!」
突然紐が切れ、ジョゼは真っ逆さまに地面に落下した。それを頼りにしていたジョルジェットもバランスを崩して手を離してしまった。
「!!」
ジョーカーは自分のブランコの紐も切れたことに感付いた。空中ブランコの紐に、切れ込みが入れられてあったのだ。
「くっ・・・」
かろうじてジョーカーは体勢を立て直し、地面に降り立ち、急いで駆け寄った。
「ジョゼ!ジョルジェット!」
声に反応してジョゼフィンはジョーカーをキッと睨んだ。うつ伏せに落下し、歯が折れていた。
「ジョーカー・・・」
震える血塗れの体。かすかに口だけを動かして、何か言おうとしている。
「この呪いは・・・幾千代にも続くのよ!」
「ジョゼ!何をする気だ!?やめろ!!」
黒い煙幕がジョーカーを取り囲む。ジョゼの血塗れの手が、ジョーカーをつかんで離さなかった。
「うわああぁぁ!!」
あっという間の出来事だった。そこにはジョゼフィンとジョルジェットの姿はなく、黒いマントを羽織った道化師が屈んでいただけだった。
「何があった!?」
団員達は駆け寄ったが、ジョーカーは不気味に笑って立ち上がった。そして何かの攻撃を仕掛け、上空に舞い上がり姿を消した。
こうしてジョーカーは悪に転じたのである。
翌日ジョーカーは自分の二人目の子、ジョサイアが気掛かりでサーカスを覗いた。
例の事件は事故と見なされており、息子のジョサイアを盾にジョーカーからの攻撃を防ごうということが可決されていた。
ジョーカーは涙を流した。
こうしてジョーカーの家族はずたずたに引き裂かれたのである。
終わり
「不幸の子」
ジョーカーは、もともと悪い人ではなかった。今回はその経緯について、少しお話ができたらと思う。
ジョーカーの妻ジョゼフィンは、世の中でも珍しい「不幸の子」だった。「不幸の子」の周りでは、必ず不幸なことが起きるのだ。お金がなくなる、突風が吹く、ペットが死ぬ・・・近寄りたくない、貧乏神のような存在であった。
両親はジョゼフィンを道端に捨てた。二人目の子供は流産し、父親は仕事を失った。
まだジョゼフィンが三歳の時だった。
捨てられたジョゼフィンを拾ったのは、何世紀か前のサーカスの団長の妻だった。そのサーカスの中でジョゼフィンはすくすくと育っていくのだが、やはり周りには不幸なことが取り巻いた。テントに穴が開く、空中ブランコに失敗する、動物が暴れ出しお客様に怪我をさせる・・・すべてが、ジョゼフィンのせいだとされた。確かにそうだった。団員たちからは白い目で見られ、当時の団長も一度声を張り上げて捨ててこい!と、怒鳴ったほどだった。しかし、団長の妻だけはひたすら納得してもらうように努めた。ジョゼフィンも、近くに彼女がいる時は、幸せだった。
「・・・・・」
ジョゼフィンはサーカスの中で裏方の役をしていた。特に目立った役はさせてもらえなかった。仲間とうまく行かないのだ。そう、何もかもが。
何もかもが・・・
「ジョゼさん。」
ジョゼフィンはゆっくり振り返った。
「何か用?」
心臓が、ドキリと鳴る。
淡くて長い金髪なのに、真っ黒で大きな目。気味が悪いほどに青白い肌。暗い舞台裏のそのまた奧で、ジョゼフィンは休憩を取っていた。白くて長いスカートが、床に広がっていた。
「あ、いや・・・お元気ですか?」
男は話し掛ける。
「誰が?私が?」
「・・・はい。」
「別に。」
ジョゼフィンは男から視線を反らした。ところが男は立ち去らなかった。
「大丈夫ですか?」
「何が?」
男は黙り込んだ。
「クッキーを買ったんです。一緒にいかがですか?」
「・・・・・」
男はジョゼフィンの隣に座ったが、近すぎてジョゼフィンに避けられた。
「あなた、誰だったかしら。」
「あっ、ジョーカーと言います。」
「ああ、新しく入った子ね。幾つ?」
「18です。」
「あら、年下なのね。」
「まだわからないことが多いので、いろいろと教えてください。」
と、言ったきり、話が続かなくなってしまった。持ってきたクッキーにも、ジョゼフィンは無関心といったところだった。
「ジョゼさんはいつも、舞台裏にいるんですね。」
「そうよ。あら、あたしのこと、知らないの?」
「何がですか?」
「あたしが「不幸の子」だってこと。」
「不幸の子?」
「あたしが近くにいるだけで、不幸なことが起こるのよ。早くあっちに行った方が、あなたのためよ。」
「でも・・・」
「何よ、まだ何かあるの?」
と、ジョゼフィンが言った時だった。
ガタッ!!
「キャ・・・」
「危ない!!」
小道具の入った木箱が、ジョーカーの上に落下しそうだったのだ。ジョーカーはすぐさま飛び上がり、箱を空中で捕まえ、元に戻した。そしてゆっくりと着地する。
「大丈夫だった?」
「あなたこそ・・・」
以来ジョーカーはジョゼフィンのことが気になり始めた。「不幸の子」とは一体何なのか、なぜ不幸なことが起こるのか・・・
彼が唯一、古文書の中で見つけた記述は、以下の通りである。
「不幸の子」
何億人かに一人の割合で産まれてくる、不幸な運命をもった子供。不幸の子の周りには不幸なことがまとわりつき、大概は産まれて二、三年経った後、親に捨てられて生涯を終える。
「・・・・・」
この日からジョーカーは、魔法の研究に熱心に取り組むようになった。
そして数か月。
「おい、ジョーカー、最近付き合い悪いぞ。」
「なっ、何でもないよ。」
練習の後、アルコールを飲んで楽しくやっている団員たちを尻目にジョーカーは自分の部屋に戻る。部屋と言っても、馬車で引くのであまり広くはない小さなコンテナだった。入り口の戸を開け、足元を見てジョーカーは微笑む。
そこには小さなラヴ・レター。
白鳥のようにしなやかな体付きで手紙を拾い上げると、封を切り、手紙を開いた。
ジョーカーの、毎日の楽しみなのである。
ジョーカーへ
お仕事お疲れさま。今日は昨日より暖かいわね。前は素敵なペンダントをありがとう。でも付けていたらみんなからどう見られるかわからないし、義理の両親にもどう見られるかわからないわ。だから、大切にしまっておくわね。いつか交際が認められて、一緒に街を歩ける日が来ますように。ジョゼフィンより
早速返事をジョーカーはしたためる。そして、魔法で相手の近くに送るようにする。ぱさっと手紙がジョゼフィンの足元に落ち、ほほ笑みながら返事を書く。そしてそれが一晩に何度も繰り返されるのだ。
ジョゼフィンへ
じゃあ、明日また、いつもの舞台裏で。
二人が会えるのは昼休みの終わりごろ。ジョゼフィンの仕事場である舞台裏でこっそりと会うようにしているのだ。
「街で買ってきた。お口に合えば。」
「あら、プリン?」
「そう。あっ!」
ジョーカーは二本合ったスプーンのうち、一本を床に落としてしまった。
「あらあら・・・」
「あっ・・・洗ってくるよ。」
「いいわよ。二人で使えば。」
その様子を、別の角度から見ていた人物がいた。
コツ・・・
「!?」
足音にびっくりして、二人は振り返った。
「・・・・・」
そこにいたのは、黒いマントを身にまとった団長だった―この男こそ、ジョゼフィンを殺そうとした第一人者である―ジョーカーがジョゼフィンに近づいてから数か月の間、不幸なことが一つもなかったわけではない。まず、団長の最愛の妻が死んだのだ。原因は不明。突然発狂して死んだのだ。その他にも、動物達が次々に伝染病で死んでいったり、共食いを始めたりしたのだ。特にこの数か月はひどかった。
「あ、あの・・・お義父様・・・」
頼れる団長の妻もなく、ジョゼフィンはびくびくしながら背の高い団長を見上げる。
「ジョゼ、君は下がっていて。」
ジョーカーは一人、団長の前に歩み出た。
「・・・・・」
そしてジョーカーは床に頭を付け、団長の前にひれ伏した。
「この通りです。どうか二人の交際を認めてください。」
「・・・・・」
団長は右膝を立て、左膝を床に付け、ジョーカーの前に座った。
「顔を上げ給え。」
「・・・・・」
「お前たちの交際を認めよう。だが、これからどうなっても知らんぞ。」
団長はマントを翻し、来た方向へ帰っていった。
「ジョゼ・・・」
ジョゼフィンは泣いていた。
「ジョゼ!ジョゼ!!」
「ジョーカー!!」
ジョゼフィンはジョーカーに飛び付いた。ジョーカーもジョゼフィンをやさしく抱き抱える。
嬉しかったのだ。
ところがそれ以降、急に団員達の目が冷たくなった。
「おはよう。」
「・・・・・」
ジョーカーと好んで話そうとする団員はいなかった。
「ジョーカー、この大道具片付けていて。」
「今日体調悪いの。代わりに洗濯やって。」
ジョーカーは嫌とは言えない性格で、なおかつ自分から荷を背負い込んでしまう性格だったので、断り切ることができず、団員達が嫌がる仕事も自ら進んで行っていた。
「何回言わせればわかるんだ!?」
「同じことを何度も聞くな!」
ジョーカーは新入りでありまだ立場が下だったので、何度も失敗があった。その失敗に付け込まれては、あれやこれやと小言を言われた。ジョーカーは確かに落ち込むことはあったが、ジョゼの名誉が挽回されればいいと思っていた。少しでも、ジョゼが認めてもらえば、それでいいと思っていた。
「はぁ・・・疲れた・・・」
「大丈夫?顔色悪いわよ?」
「?」
ベッドに仰向けになったまま振り返るとジョゼフィンがいた。結婚後、ジョーカーの部屋を少し改装して、広くはならなかったが少しすっきりさせたのだ。
「あなた、働きすぎよ。」
「でも・・・」
「倒れるまで働かなくてもいいのに。」
「違うんだ、ただ僕は・・・」
「何かあったの?」
「色々と忙しいんだよ。」
「どうして?」
「どうして・・・って、君のためさ。」
「そう・・・でも、なかなか話す時間がないわよね。」「・・・・・」
「もっと、一緒にいる時間を増やせないかしらね。私たち。このままじゃ、前とあまり変わってないわ。」
ジョーカーははっとした。ジョゼフィンのためを思って働いてはいたものの、結局は忙しさにかまけてジョゼフィンにかまってあげられていなかったのだ。
「・・・ごめんね、ジョゼ。」
「いえ・・・」
ジョゼフィンはうつむいた。
「どうしたの?」
「おなかに赤ちゃんがいるわ。」
「えっ。」
「きっと、女の子。」
ジョゼフィンは笑った。
ジョルジェットと名付けられた女の子は、未熟児で体か小さかった。ジョーカーとジョゼフィンは二人で交代しながら昼も夜もジョルジェットの子守をしていた。そして仕事もいくらか調整した。
「・・・・・」
しかしやはり迷惑なのが雇い主側である。とにかく、そう、とにかく「不幸の子」の周りでは、不幸なことが起きるのだ。ジョーカーはそれでもいいが、サーカスと言うものは大きな一集団なのだ。集団だからこそ助け合わなくてはいけないというのがジョーカーの意見だが、すべての場合がうまく行くとは限らない。お互い人間であり、いざこざはつきものなのだ・・・
「お父さん、今日、みんなから知らん顔された・・・」
淋しそうな目でジョルジェットはそうつぶやいた。
「大丈夫さ。君にはお父さんが付いてるよ。それにお母さんも。」
「そうよ、ジョルジェット。あなたは私たちの本当に大切な宝物だわ。」
「本当?」
「ええ。本当よ。」
ジョルジェットは笑った。作り笑いのなく、自分のきまぐれでしか笑わない無邪気な子供の笑顔。ジョーカーはこれが大好きだった。
しかし、団員達は「不幸の子」がもたらす不幸に耐えられなくなってきたのだ。なのに、ジョーカーは周りの影響も考えず、必死にジョゼフィンをかばい続け、ついには二人目の子供を出産した。その勝手気ままな行動に、団員達は強い怒りも感じていた。
ジョーカーは、団員達に相手にされなくなるのを見て、家族で空中ブランコ乗りを始めた。これがまたお客に好評で、「愛によってつながれた二人」というタイトルで、ちまたでも有名になっていた。
「ジョゼ、行くよ!」
「ハイッ!」
―ところが、ある日―
空中ブランコで、ジョゼフィンの手をつかもうとしたときだった。
ブチッ
「!!」
「ジョゼ!!」
突然紐が切れ、ジョゼは真っ逆さまに地面に落下した。それを頼りにしていたジョルジェットもバランスを崩して手を離してしまった。
「!!」
ジョーカーは自分のブランコの紐も切れたことに感付いた。空中ブランコの紐に、切れ込みが入れられてあったのだ。
「くっ・・・」
かろうじてジョーカーは体勢を立て直し、地面に降り立ち、急いで駆け寄った。
「ジョゼ!ジョルジェット!」
声に反応してジョゼフィンはジョーカーをキッと睨んだ。うつ伏せに落下し、歯が折れていた。
「ジョーカー・・・」
震える血塗れの体。かすかに口だけを動かして、何か言おうとしている。
「この呪いは・・・幾千代にも続くのよ!」
「ジョゼ!何をする気だ!?やめろ!!」
黒い煙幕がジョーカーを取り囲む。ジョゼの血塗れの手が、ジョーカーをつかんで離さなかった。
「うわああぁぁ!!」
あっという間の出来事だった。そこにはジョゼフィンとジョルジェットの姿はなく、黒いマントを羽織った道化師が屈んでいただけだった。
「何があった!?」
団員達は駆け寄ったが、ジョーカーは不気味に笑って立ち上がった。そして何かの攻撃を仕掛け、上空に舞い上がり姿を消した。
こうしてジョーカーは悪に転じたのである。
翌日ジョーカーは自分の二人目の子、ジョサイアが気掛かりでサーカスを覗いた。
例の事件は事故と見なされており、息子のジョサイアを盾にジョーカーからの攻撃を防ごうということが可決されていた。
ジョーカーは涙を流した。
こうしてジョーカーの家族はずたずたに引き裂かれたのである。
終わり
トワライ番外編「地上の光」 03/12/2007
トワイライト・サーカス番外編
地上の光
「なんだか世間が騒がしいな。」
その後ジョーカーは、日々魔法の研究にいそしんでいた。彼が異変を感じたのは、ペットの白い狼を連れて、町を散歩していたときのことだった。
「クゥーン、クゥーン。」
「どうした?ミリィ。帰りたいのか。」
町の様子が気になったが、ミリィがせかすので、仕方なく帰ることにした。
「ミリィ、おとなしくしていろよ。」
鎖に狼をつなげると、ジョーカーは変装して再び町へ出かけた。
「うん?」
道中、とある田舎の敷地が整備されているのに気が付いた。
「おじさん、ここ、何ができるの?」
「原子力発電所さ。」
ヘルメットをかぶった作業服の男が答える。
「原子力?」
「そうさ。坊やに言ってもわからないだろう。」
ジョーカーはムッとしたが、質問を続ける。
「とっても広いんだね。僕、スーパーマーケットができるのかと思っちゃった。」
「はっはっは、そりゃあいい。」
「これで僕のおうちにも、明かりが付くようになるんだよね。」
「ああそうさ。町に明かりが付くんだよ。」
早速ジョーカーは新しく手に入れた百科事典を手に、原子力について調べていた。
「原子核の分裂や融合によって放出されるエネルギー・・・つまりこれを発電に使うってわけか。考えたものだな。」
次のページにはヒロシマとナガサキが載っていた。
「さて、上手く行くものか・・・」
そして工場が建ち、発電所の運行も順調だった。
「・・・すばらしい夜景だ。」
黒い地面に光る窓ガラス。食卓に勉強机。暖かい会話に、これから未来をめざす若者の熱い視線。ジョーカーはそれらもひっくるめてすべてにおいてすばらしいと評したのだ。
「いい工場ができたじゃないか・・・」
ところがある日、ジョーカーのペットの白い狼ミリィが、鎖を引きちぎり脱走した。
「ミリィ!!」
ジョーカーはしばらく追い掛けたが見失い、上空からも見たが、見当たらなかった。
「かなり遠くまで逃げたな・・・」
ジョーカーは諦めて来た道を帰った。
「おや?」
ジョーカーは自分が来た方角から、不穏な空気を読み取った。
「何かおかしい・・・」
上空を急いで飛んで帰ると、例の工場が爆発していた。
「なっ・・・」
突然、ジョーカーの息が苦しくなった。
「くっ・・・」
胸を押さえ、よろめきながら家に着き、部屋の床にぐったりと倒れた。
「そうか・・・ミリィはこれに感付いていたのだな・・・」
ジョーカーはほこりがかぶった百科事典を人差し指で本棚から倒した。折り目の付いたヒロシマとナガサキのページがパッと開く。
「かわいそうに・・・地上の光となって消えた人間たちよ・・・」
ジョーカーの体が、黒い煙幕に包まれ、徐々に消えていく。
「本当は・・・夜空の星となって・・・輝きたかったであろうに・・・」
そう言い残し、ジョーカーは息を引き取った。彼の、最後の言葉だった。
おわり
地上の光
「なんだか世間が騒がしいな。」
その後ジョーカーは、日々魔法の研究にいそしんでいた。彼が異変を感じたのは、ペットの白い狼を連れて、町を散歩していたときのことだった。
「クゥーン、クゥーン。」
「どうした?ミリィ。帰りたいのか。」
町の様子が気になったが、ミリィがせかすので、仕方なく帰ることにした。
「ミリィ、おとなしくしていろよ。」
鎖に狼をつなげると、ジョーカーは変装して再び町へ出かけた。
「うん?」
道中、とある田舎の敷地が整備されているのに気が付いた。
「おじさん、ここ、何ができるの?」
「原子力発電所さ。」
ヘルメットをかぶった作業服の男が答える。
「原子力?」
「そうさ。坊やに言ってもわからないだろう。」
ジョーカーはムッとしたが、質問を続ける。
「とっても広いんだね。僕、スーパーマーケットができるのかと思っちゃった。」
「はっはっは、そりゃあいい。」
「これで僕のおうちにも、明かりが付くようになるんだよね。」
「ああそうさ。町に明かりが付くんだよ。」
早速ジョーカーは新しく手に入れた百科事典を手に、原子力について調べていた。
「原子核の分裂や融合によって放出されるエネルギー・・・つまりこれを発電に使うってわけか。考えたものだな。」
次のページにはヒロシマとナガサキが載っていた。
「さて、上手く行くものか・・・」
そして工場が建ち、発電所の運行も順調だった。
「・・・すばらしい夜景だ。」
黒い地面に光る窓ガラス。食卓に勉強机。暖かい会話に、これから未来をめざす若者の熱い視線。ジョーカーはそれらもひっくるめてすべてにおいてすばらしいと評したのだ。
「いい工場ができたじゃないか・・・」
ところがある日、ジョーカーのペットの白い狼ミリィが、鎖を引きちぎり脱走した。
「ミリィ!!」
ジョーカーはしばらく追い掛けたが見失い、上空からも見たが、見当たらなかった。
「かなり遠くまで逃げたな・・・」
ジョーカーは諦めて来た道を帰った。
「おや?」
ジョーカーは自分が来た方角から、不穏な空気を読み取った。
「何かおかしい・・・」
上空を急いで飛んで帰ると、例の工場が爆発していた。
「なっ・・・」
突然、ジョーカーの息が苦しくなった。
「くっ・・・」
胸を押さえ、よろめきながら家に着き、部屋の床にぐったりと倒れた。
「そうか・・・ミリィはこれに感付いていたのだな・・・」
ジョーカーはほこりがかぶった百科事典を人差し指で本棚から倒した。折り目の付いたヒロシマとナガサキのページがパッと開く。
「かわいそうに・・・地上の光となって消えた人間たちよ・・・」
ジョーカーの体が、黒い煙幕に包まれ、徐々に消えていく。
「本当は・・・夜空の星となって・・・輝きたかったであろうに・・・」
そう言い残し、ジョーカーは息を引き取った。彼の、最後の言葉だった。
おわり