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カゴリカ 第三話  06/04/2007  
第三話 水曜日の理科室

網野が通う中学校は、水曜日には部活がない。特に大切な試合のないかぎり、グラウンドは静まり返り、トランペットの音もしない。発声練習もしなければ、オーとかワーとか叫び声も聞こえない。

この日・・・学校生徒全員は、帰宅部となってしまうのだ・・・

「・・・ふあぁ、眠たいなぁ。」
「マドモアゼル、よければミーとお茶を・・・」
バシッ!!
背後からハリセンでツッコミを入れるMr.BTB。
「いてててて・・・」
科学部も水曜日はお休みで、掃除の生徒が帰ってしまえば後には何も残らない。
「あっ、またゴミを散らかして・・・」
フェノールフタレインは静まり返った理科室の掃除の点検をしていた。理科室は移動教室のため、ぐちゃぐちゃになったプリントが机の中にあったり、机の上に落書きがあったりしてそれはそれはもう汚れっぱなしの部屋だった。

「はぁ・・・理香ちゃんももう三年か・・・」

フェノールフタレインはため息を吐いた。網野は真面目な女の子で、理科室が汚れていたり掃除の生徒が来なかったりした時は自分で理科室の掃除をしていた。机の中にあるゴミを捨て、机の落書きを自分の消しゴムで消していた。

「はぁぁ・・・静かだなぁ・・・」

フェノールフタレインは網野が卒業するのが寂しかった。まだゴールデンウィーク明けの五月だが、もう部活よりも勉強に力を入れなければならないのだろう。網野は三年になって理科室でよく宿題をやるようになった。実験やら観察には、見向きもしなさそうだ。
「網野ちゃん・・・もう、いなくなっちゃうのかな・・・」
「おいおいフェノ、まだ五月じゃないか。それにまだカゴリカ第三話だぜ。」
Mr.BTBは机を拭きながらそう言った。フェノールフタレインだけに掃除をやらせるのは申し訳ないと思ったのだ。
「ちがうのよ。最近の網野ちゃん、やけにピリピリしてるわ。私、勘がいいからわかるのよ。理科室に来ても宿題ばっかりよ。」
フェノールフタレインは掃除用具を片付けながらそう言った。
「まぁまぁ、網野だって忙しいんだからさ。」
と、その時だった。

「おーい、お前たち、試験管一本知らないか〜?」

理科室の住人たちがいる反対側の整理棚からその男の声がした。白い白衣に、丸い眼鏡。この人物こそ、科学部顧問、アボガド先生だった。
「あ、二時間目に2-4の人がうっかり落として割ってましたよ。」
「おぅ、そうか。」
アボガド先生の名前の由来は、特にない。理科室の住人が勝手に名付けているのだ。
「最近どうだ?オメガの様子は?」
アボガド先生が尋ねる。
「しょっちゅう来るわ。」
硝酸銀水溶液は答える。
「また何か言って帰ったのか?」
「うん。」
「困ったなぁ・・・三人にとって一番大切な時に・・・」
ちなみに、科学部には後輩がいることはいたが、幽霊部員ばかりだった。もちろん、幽霊部員の前には理科室の住人は現われてこない。
「まぁお前たち、オメガとの戦いもほどほどにするんだぞ。何か変な事件で網野らを巻き込まないようにな。」
「はぁい。」
「しっかり追い返すんだぞ。」
と、アボガド先生は笑いながら理科準備室に戻っていった。

「ねぇねぇ見て!カニムシだ!久しぶりに見た〜!!」
と、どこからか明るい声がする。理科室の教卓の上にある顕微鏡を覗きながら、一人の男の子がうきうきした様子である。
「おっ!カニムシか!エタ、見せろ!!」
「やぁだよっ!BTBは食べちゃうだろ!!」
「だぁれがそんなちっちゃい虫を腹の足しにするかっ!!」
「あーっ、カニムシの悪口言ったなぁ!ちっちゃくても元気に動いてるんだからね!!」
赤いベレー帽に、金髪の緑の目。エンジ色のネクタイにジーンズ。そして両腕にはツタ植物が絡まっている。彼も理科室の住人で、名前はエタノール君。子供っぽい性格から、「君」付けで呼ばれている。
「おっ、動いてる。」
「えっ、見せて見せて〜!」
硝酸銀水溶液は近寄る。ちなみにカニムシとは、土の中にいる小さな虫である。カニのような姿からそういう名前がついた。

「あれ?」
硝酸銀水溶液が顕微鏡の中を覗くと、カニムシの様子がおかしかった。小さく震えていたのだ。

「わぁっ!!」
「きゃぁっ!!」

見る見るうちにカニムシが大きくなり、理科室の教卓よりも巨大化し、理科室の前の空間を埋め尽くした。
「出たな、オメガ!!」
Mr.BTBは剣をかまえた。巨大化したカニムシの足が勢い良く振り下ろされ、試験官を2、3本割ったり教卓の上にあった顕微鏡を倒しながらMr.BTBに迫ってくる。
「ああっ、めずらしいカニムシがあっ!うわぁっ!!」
間一髪、エタノールは攻撃を避けた。
「えいっ!」
硝酸銀水溶液は電流を放ったが、効かないみたいだ。そして巨大化したカニムシはところかまわず足を伸ばし、理科室の住人たちを攻撃する。
「大変!このままだと理科室が壊れちゃう!!きゃぁっ!!」
硝酸銀水溶液は攻撃に避けるのに疲れ、床に転んでしまった。巨大化したカニムシがとどめを刺そうとしたときだった。
「えいっ!!」

ぷしゅっ!!

「ぎゃぁぁぁ・・・」

叫び声を上げながら見る見るうちにカニムシは小さくなり、どこに落ちたのかもわからないくらいに小さくなった。エタノールがはっと顔を上げると、フェノールフタレインが手にスプレーみたいなものを持っていた。
「・・・殺虫剤!!」
エタノールは立ち上がり、フェノールフタレインの手からそれを奪い取った。ちなみにフェノールフタレインはゴキブリが苦手で、殺虫剤をいつも携帯している。また、エタノール君はとにかく生きものの命を大切にする性格だった。ありんこ一匹殺せない性格で、いつも地上から10cmほど浮いて行動している。
「こんなもの、ぶっ壊してやる!!」
「アホ!高圧ガスやろがっ!!」
Mr.BTBはエタノールから殺虫剤を奪い返した。
「そんなのがあるから自然界はメチャクチャになっちゃうんだ!!返せよっ!!」
と、エタノールは背の高いMr.BTBに飛び付いたが、エタノールも泣くのに疲れ、その場にうずくまって泣いていた。

「クックック・・・」

窓の外遥か上空からその様子を笑いながら眺めている人物がいた。実は、カニムシを操っていたのはオメガではなかった。

エタノール君の双子の弟、メタノールだった。

第四話「食物連鎖」につづく
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エタくん、かわいい〜!
しかし虫嫌いのフェノールフタレインの気持ちはよく分かる!!らんららも、苦手なクモ系イキモノは即、死を与えなくては安心できない(><)もう、ゴマより小さくてもクモはクモ…こうやってその字を打つことも気持ち悪いくらい…。
メタノールくん登場ですね…エタくんとは性格が違いますね…どきどき。
らんらら  06/04/2007 Mon URL [ Edit ]
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フェノールフタレインさんは、紺野さんが卒業する事を寂しがっているのですね。そして、カニムシを操っていたエタノールさんの双子の弟メタノールさんとはどのような存在なのか
次回の展開に期待します
要  06/05/2007 Tue URL [ Edit ]
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らんららさん>わたしも☆この間新居に二匹もゴキが出て、私の場合はペットボトルで叩きました。んで、キッチンペーパー。もう一匹は浴槽の角に追い込んでキッチンペーパー。でも一匹いたら三十匹はいるらしいので・・・油断はできないです←殺す気満々
エタに怒られそう・・・あと、このエタが暴れるのが第5話です。実は恐ろしい子だったりします。

要さん>おぅ、紺野じゃなくて網野です・・・毎回毎回コメントありがとうございます。
あと、前々から思ってたんですが、毎度コメントが似たような内容なのでレスに困ってます(>_<)
よろしければ、数話読んだ後でコメントくださるかもうちょっと中身あるコメにしてください。ごめんなさい。
茉莉  06/05/2007 Tue URL [ Edit ]
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放課後とかにはトランペットの音がしてきたりしてヒドク睡魔に襲われたりもしますが……そんな音も無い日っていうのが、また、なんでしょうね、変に白昼夢的な不思議な空間というか、なんか学校ってそんな不思議で気味の悪い場所でもありますが。

特に理科室はそうですね。

“放課後の先生”という存在もなんだかフワフワしてるというか、半分仕事終えた感のクタッとした……なんか好きなんですけど、そんな雰囲気が。

アボガド先生って掴み所が無さそうな人ですよね。なんでアボガドなんだろうか……?
takaga  06/05/2007 Tue URL [ Edit ]
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机の鉛筆の落書きは、消しゴムで消すよりもエタノール君を使った方が手っ取り早くかつ綺麗に消せます!!!
が・・・
それではエタノール君が可哀想か・・・そうなのかな?笑 顔がどろどろになる?あはははっ
で。
アミノ酸・・・いや、網野さん3年生やから後輩欲しいですね。幽霊じゃなくて。誰かこう、強烈にインパクトのある理科大好きな後輩が出てこないですかね?
あと、個人的に天体系が欲しいですね。
星座版とか。←そんなのあったっけ?
屋上にでっかい天体望遠鏡つきのガッコてありませんでした?あ。あれは高校か・・・
楓  06/05/2007 Tue URL [ Edit ]
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Takagaさん>はいは〜い、あたしは美術部だったので放課後はトランペットの音にイライラしてました←おい
さすがに美術室の横の教室でトランペット吹かれたときはもう荷物まとめて帰ったりしてました。でも吹奏学部も仲間割れやケンカなんかで人間関係大変だったそうです。はぁぁ。しゃぁないか。
お。アボガド先生・・・モデルは特にいないんですが、名前の由来はアボガドロからです。あ、でもどうしてそう呼ぶようになったかは不明ということで。(こら)

楓さん>あああ!その手があったか!!早速網野に教えてやろう!!何?網野、もう検証済み?ふむふむ。そうか。よく消えたのだがさすがに嫌がったとな。なるほど。
エタ>僕は掃除用具じゃないんだよ!れっきとしたエタノールなんだよ!!
・・・意味わからないので次。後輩、これ以上キャラが増えるとさすがに困るのでとりあえずはあの三人で。それよりもまだ登場していない奴らをなんとかしないとな・・・。あ、次回カエル登場です。お楽しみに・・・☆
茉莉  06/06/2007 Wed URL [ Edit ]
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