カゴリカ 第十一話 08/02/2007
第十一話 文化祭
少し前の話だが、大手自動車メーカー日産の入社試験、面接において、
「GNPとは何ですか?」
・・・という質問に、
「ガンバレ(G)日産(N)パルサー(P:日産の車名)の略です。」
・・・と、答えた人が合格したそうだ。
企業が求める人材は一体何なのか、時々それがわからなくなる。
***
「網野、好きな科目は?」
「理科です。」
網野と佐久間は、理科室で面接の練習をしている。
「嫌いな科目は?」
「理科以外です。(即答)」
「・・・・・」
確かにそうである。
「正直すぎるよ、網野。」
「正直で、悪かったわね。」
「ちがうわよ、網野、もっとやんわり言わなくちゃダメ。」
「?」
横から顔を出したのが、我らが理科室の大御所硝酸銀水溶液である。
「網野、嫌いな科目は?」
「理科以外。」
「ちがうよ、特に嫌いな科目は?」
「数学よ。」
その時、どういうわけか廊下を網野の担任である熱血数学教師乃木須道子先生が通った。乃木須先生はちらっと網野たちを見ると、スタスタと去っていった。
「ホッ・・・」
「網野、こう言うの。嫌いな科目は特にありません。」
「えー。」
「ですが、特に数学を頑張りたいと思います。担任の先生から高校の数学は二次関数や三角比など発展的な学習が多いと耳にしました。正直授業に付いていけるかどうか不安ではありますが、予習復習などを通して精一杯努力していきたいと思います。」
「ほー・・・」
佐久間も感心した様子である。
「じゃあ次、網野、ボランティアの経験はありますか?」
「そんなものないわ。(即答)」
「・・・・・」
「なんでそんな面接のためにわざわざどこかに申込用紙を書いてボランティアに行かなくちゃならないの?」
「じゃあ網野、こう言うの。」
と、硝酸銀水溶液。網野と佐久間は網野の主張にいたって冷静な硝酸銀水溶液にきょとんとした。
「特に保育園や老人ホームなどの施設でのボランティアの経験はありません。」
「・・・うん。」
「ですが、私の近所で清掃活動があれば朝早く起きて参加するようにしています。地域の人とあいさつを通して親しくなれますし、終わったあとにはやりとげたさわやかさがあります。また、私は祖父母とは別に住んでおり、一ヵ月に一度は家族で祖父母と食事をしたり、庭の掃除も手伝います。身近なことから、地域や他の人に貢献できるよう努力したいと思っております。しかし、実際に今社会的に必要とされている保育や福祉の分野でなかなか勇気がなく参加できずに時を過ごしてしまいましたが、機会があれば高校に入ってからでも参加したいと思います。勉強などで生活が忙しくなると思いますが、奉仕の心は忘れずにいつも心がけておきたいです。」
「・・・・・」
「・・・なんか完璧すぎて逆に違和感あるわよ。」
「そんなことないわ。相手は高校の先生とはいえ人生の先輩でもあるからね。敬語とですます口調は忘れちゃダメ。」
「そ、それはそうだけど硝酸銀水溶液、なんでそんなに面接に詳しいんだ?」
さすがに佐久間も驚いている。
「それは・・・」
硝酸銀水溶液は口籠もった。
「放課後の理科室はよく面接練習に使われるからよ。」
「あ・・・」
吹奏学部の練習の音が響く。
文化祭が終われば、あとはもう受験しかない。
からっぽになった理科室は、毎年高校受験の面接練習教室になる。それを毎年毎年、理科室の住人である硝酸銀水溶液は聞いていたからだ。いや、嫌でも耳に入ってくるのだ。
「はぁぁ・・・」
硝酸銀水溶液は小さくため息を吐いた。
「あーあ。吹奏学部は元気だなぁ、受験が近いっていうのに。」
「文化祭が近いからだよ、網野。」
「あれ、そういえば科学部は何をするの?」
「と、特に何も・・・」
「・・・・・」
科学部はこんな調子である。特にすることはない。
「佐久間、学級委員の仕事しなくていいの?」
「なんか二年生が中心にやってるみたいだから別に何も。クラスは樋口さん(網野のクラスの学級委員)が仕切ってくれてるからだいぶ助かる。」
「そう・・・」
「網野、他にわからない面接の質問、ある?」
「科学の進歩は人間の生活を豊かにするかYES OR NO」
オメガの声だった。理科室の中央より少し後ろの真ん中に立っていた。
「オメガ!!」
「さあ答えてみろ。」
オメガは硝酸銀水溶液の前まで歩いてくると、硝酸銀水溶液の喉元にナイフを突き付けた。
「・・・!!」
「オメガ!」
あわてて理科室の他の住民たちが飛び出して来た。
「こないで!!」
硝酸銀水溶液は叫んだ。
「私はこの質問に答えられない人間を数多く見てきた。お前ならどう答える?硝酸銀水溶液。」
オメガの目と、ナイフが光る。
「・・・・・」
硝酸銀水溶液は黙っていた。
「・・・・・」
四、五分経っても硝酸銀水溶液は黙っていたので、いい加減オメガの方に諦めがついてきた。
「ま、じっくり考えてみるんだな。」
オメガはナイフを下げると、その場から去っていった。
「硝酸銀!」
「だ、大丈夫か!?」
「う、うん・・・」
硝酸銀水溶液は緊張がほぐれたのか、荒く息を立てていた。
「先生に聞いてみる。」
網野は言った。
「理系希望だもの。きっと面接で聞かれてもおかしくないわ。」
「網野・・・」
網野と佐久間は理科準備室のドアを叩いた。
「どうした?」
「オメガが来たの。」
二人は一通りそのことを話した。そして、質問のことも。
「科学の進歩ねぇ・・・」
「先生はどう思いますか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。」
アボガド先生は落ち着いた声で話し始める。
「・・・・・」
「たとえば電気がないだけでもかなり違う。いくらか不便なことを言ってみて。」
「とにかく暗いね。」
「車もないと不便だし。」
「あっ、ご飯が炊けない。」
「そうだろう?だが、電気がないだけで夜の暗い時間が長くなる分人間の睡眠不足が解消されるかもしれない。仕事も早く切り上げないといけなくなるのでその分家族の団欒の時間が増えるかもしれない。」
「まさか。」
「そんな単純に考えなくても。」
「フッ・・・まあそうかもしれんが、科学とは何のためにあるんだろうか?」
「・・・・・」
「人間のわがままを叶えるためだけにあるのだろうか?」
「・・・そうかもな。」
「そうかもしれないわね。」
「あぁ。私もよくそこでつまずいて理科の先生をやめようと思ったことがある。科学の世界は「証拠」は提出できても「意味」は発見できないのだ。」
「・・・・・」
「そこが科学の落し穴だ。」
「・・・・・」
その時だ。
「うわぁっ!!」
理科室から声がした。
「藤本!?」
アボガド先生は椅子から立ち上がった。
「ガンマ!?」
バァン!!と、理科室に続くドアを開ける。
「ガンマ!」
藤本は床に膝をついて顔を隠しながら震えていた。
「せん・・・せぃ・・・」
疲れ切ったような、血相の悪い顔だった。
「どうした!?何があった!?」
三人は藤本の方に駆け寄る。
「彼は私がいただいた。」
背後から声がした。
「オメガ!!」
第十二話「オメガの最期」につづく
少し前の話だが、大手自動車メーカー日産の入社試験、面接において、
「GNPとは何ですか?」
・・・という質問に、
「ガンバレ(G)日産(N)パルサー(P:日産の車名)の略です。」
・・・と、答えた人が合格したそうだ。
企業が求める人材は一体何なのか、時々それがわからなくなる。
***
「網野、好きな科目は?」
「理科です。」
網野と佐久間は、理科室で面接の練習をしている。
「嫌いな科目は?」
「理科以外です。(即答)」
「・・・・・」
確かにそうである。
「正直すぎるよ、網野。」
「正直で、悪かったわね。」
「ちがうわよ、網野、もっとやんわり言わなくちゃダメ。」
「?」
横から顔を出したのが、我らが理科室の大御所硝酸銀水溶液である。
「網野、嫌いな科目は?」
「理科以外。」
「ちがうよ、特に嫌いな科目は?」
「数学よ。」
その時、どういうわけか廊下を網野の担任である熱血数学教師乃木須道子先生が通った。乃木須先生はちらっと網野たちを見ると、スタスタと去っていった。
「ホッ・・・」
「網野、こう言うの。嫌いな科目は特にありません。」
「えー。」
「ですが、特に数学を頑張りたいと思います。担任の先生から高校の数学は二次関数や三角比など発展的な学習が多いと耳にしました。正直授業に付いていけるかどうか不安ではありますが、予習復習などを通して精一杯努力していきたいと思います。」
「ほー・・・」
佐久間も感心した様子である。
「じゃあ次、網野、ボランティアの経験はありますか?」
「そんなものないわ。(即答)」
「・・・・・」
「なんでそんな面接のためにわざわざどこかに申込用紙を書いてボランティアに行かなくちゃならないの?」
「じゃあ網野、こう言うの。」
と、硝酸銀水溶液。網野と佐久間は網野の主張にいたって冷静な硝酸銀水溶液にきょとんとした。
「特に保育園や老人ホームなどの施設でのボランティアの経験はありません。」
「・・・うん。」
「ですが、私の近所で清掃活動があれば朝早く起きて参加するようにしています。地域の人とあいさつを通して親しくなれますし、終わったあとにはやりとげたさわやかさがあります。また、私は祖父母とは別に住んでおり、一ヵ月に一度は家族で祖父母と食事をしたり、庭の掃除も手伝います。身近なことから、地域や他の人に貢献できるよう努力したいと思っております。しかし、実際に今社会的に必要とされている保育や福祉の分野でなかなか勇気がなく参加できずに時を過ごしてしまいましたが、機会があれば高校に入ってからでも参加したいと思います。勉強などで生活が忙しくなると思いますが、奉仕の心は忘れずにいつも心がけておきたいです。」
「・・・・・」
「・・・なんか完璧すぎて逆に違和感あるわよ。」
「そんなことないわ。相手は高校の先生とはいえ人生の先輩でもあるからね。敬語とですます口調は忘れちゃダメ。」
「そ、それはそうだけど硝酸銀水溶液、なんでそんなに面接に詳しいんだ?」
さすがに佐久間も驚いている。
「それは・・・」
硝酸銀水溶液は口籠もった。
「放課後の理科室はよく面接練習に使われるからよ。」
「あ・・・」
吹奏学部の練習の音が響く。
文化祭が終われば、あとはもう受験しかない。
からっぽになった理科室は、毎年高校受験の面接練習教室になる。それを毎年毎年、理科室の住人である硝酸銀水溶液は聞いていたからだ。いや、嫌でも耳に入ってくるのだ。
「はぁぁ・・・」
硝酸銀水溶液は小さくため息を吐いた。
「あーあ。吹奏学部は元気だなぁ、受験が近いっていうのに。」
「文化祭が近いからだよ、網野。」
「あれ、そういえば科学部は何をするの?」
「と、特に何も・・・」
「・・・・・」
科学部はこんな調子である。特にすることはない。
「佐久間、学級委員の仕事しなくていいの?」
「なんか二年生が中心にやってるみたいだから別に何も。クラスは樋口さん(網野のクラスの学級委員)が仕切ってくれてるからだいぶ助かる。」
「そう・・・」
「網野、他にわからない面接の質問、ある?」
「科学の進歩は人間の生活を豊かにするかYES OR NO」
オメガの声だった。理科室の中央より少し後ろの真ん中に立っていた。
「オメガ!!」
「さあ答えてみろ。」
オメガは硝酸銀水溶液の前まで歩いてくると、硝酸銀水溶液の喉元にナイフを突き付けた。
「・・・!!」
「オメガ!」
あわてて理科室の他の住民たちが飛び出して来た。
「こないで!!」
硝酸銀水溶液は叫んだ。
「私はこの質問に答えられない人間を数多く見てきた。お前ならどう答える?硝酸銀水溶液。」
オメガの目と、ナイフが光る。
「・・・・・」
硝酸銀水溶液は黙っていた。
「・・・・・」
四、五分経っても硝酸銀水溶液は黙っていたので、いい加減オメガの方に諦めがついてきた。
「ま、じっくり考えてみるんだな。」
オメガはナイフを下げると、その場から去っていった。
「硝酸銀!」
「だ、大丈夫か!?」
「う、うん・・・」
硝酸銀水溶液は緊張がほぐれたのか、荒く息を立てていた。
「先生に聞いてみる。」
網野は言った。
「理系希望だもの。きっと面接で聞かれてもおかしくないわ。」
「網野・・・」
網野と佐久間は理科準備室のドアを叩いた。
「どうした?」
「オメガが来たの。」
二人は一通りそのことを話した。そして、質問のことも。
「科学の進歩ねぇ・・・」
「先生はどう思いますか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。」
アボガド先生は落ち着いた声で話し始める。
「・・・・・」
「たとえば電気がないだけでもかなり違う。いくらか不便なことを言ってみて。」
「とにかく暗いね。」
「車もないと不便だし。」
「あっ、ご飯が炊けない。」
「そうだろう?だが、電気がないだけで夜の暗い時間が長くなる分人間の睡眠不足が解消されるかもしれない。仕事も早く切り上げないといけなくなるのでその分家族の団欒の時間が増えるかもしれない。」
「まさか。」
「そんな単純に考えなくても。」
「フッ・・・まあそうかもしれんが、科学とは何のためにあるんだろうか?」
「・・・・・」
「人間のわがままを叶えるためだけにあるのだろうか?」
「・・・そうかもな。」
「そうかもしれないわね。」
「あぁ。私もよくそこでつまずいて理科の先生をやめようと思ったことがある。科学の世界は「証拠」は提出できても「意味」は発見できないのだ。」
「・・・・・」
「そこが科学の落し穴だ。」
「・・・・・」
その時だ。
「うわぁっ!!」
理科室から声がした。
「藤本!?」
アボガド先生は椅子から立ち上がった。
「ガンマ!?」
バァン!!と、理科室に続くドアを開ける。
「ガンマ!」
藤本は床に膝をついて顔を隠しながら震えていた。
「せん・・・せぃ・・・」
疲れ切ったような、血相の悪い顔だった。
「どうした!?何があった!?」
三人は藤本の方に駆け寄る。
「彼は私がいただいた。」
背後から声がした。
「オメガ!!」
第十二話「オメガの最期」につづく
言われてみれば苦労しそう・・・
オメガ、次回正体が明らかになります。
あは、新連載、今ちょっと隅に置いといて。
クライマックスですがここいらで再び番外編の匂いが・・・
オメガ、次回正体が明らかになります。
あは、新連載、今ちょっと隅に置いといて。
クライマックスですがここいらで再び番外編の匂いが・・・
最期って何?!!!笑
あ、笑っちゃったよ。あははは。
少しだけ登場した乃木須がぐーです。←そこ?
なかなか深い質問を浴びせますね、オメガ。
さすが理科離れを狙うだけの事はある。
さて……
そろそろゴキレンジャーですか?笑
あ、笑っちゃったよ。あははは。
少しだけ登場した乃木須がぐーです。←そこ?
なかなか深い質問を浴びせますね、オメガ。
さすが理科離れを狙うだけの事はある。
さて……
そろそろゴキレンジャーですか?笑
おちゃらけはここまでです。あとは一気にシリアス路線を突っ走って終わります。
最期・・・笑い事ではなさそうです。オメガはただただ理科離れを企んでるわけではなくて、ちゃんと理由があったのです。
しばらくゴキはお休みということで・・・
最期・・・笑い事ではなさそうです。オメガはただただ理科離れを企んでるわけではなくて、ちゃんと理由があったのです。
しばらくゴキはお休みということで・・・
硝酸銀水溶液、尊敬しちゃうな。
この内容、網野だけじゃなくて現実世界の学生たちにもかなり役立つんじゃ・・・??
私も試験受ける時に硝酸銀水溶液から知恵を授かれば良かったなー@@;
次はオメガの最期!?
うっは〜〜><どうなっちゃうの!?この物語の最終話とか、今からかなり気になっておりますが!(笑)
この内容、網野だけじゃなくて現実世界の学生たちにもかなり役立つんじゃ・・・??
私も試験受ける時に硝酸銀水溶液から知恵を授かれば良かったなー@@;
次はオメガの最期!?
うっは〜〜><どうなっちゃうの!?この物語の最終話とか、今からかなり気になっておりますが!(笑)
ボランティアの後に付け足して「コンビニでおつりが出たら募金箱に入れるようにしています」って言ったらさらにグッドよ☆
今何か変なやつがコメント残して行きましたが・・・笑
ホント、先生も助かるかも。私もいろいろ教えてほしかったな。
へへ。次、オメガの最期です。正体が明らかになるんですよ。もう、最期までシリアス路線突っ走ってゴールイン。うぐぐ、何か番外編でもやろうかしら。
ホント、先生も助かるかも。私もいろいろ教えてほしかったな。
へへ。次、オメガの最期です。正体が明らかになるんですよ。もう、最期までシリアス路線突っ走ってゴールイン。うぐぐ、何か番外編でもやろうかしら。
硝酸銀水溶液!!今度何か面接があるときには是非ついてきて
もらいたいわ(笑)えっ、大人の面接は無理か?!
アボガド先生もいいこと言いますね〜!電気がなきゃ不便だけど、
確かに仕事早く終われるかも!!特に冬は短くていい(*^^*)
楽しい中にも、考えさせられ要素満載ですね☆
もらいたいわ(笑)えっ、大人の面接は無理か?!
アボガド先生もいいこと言いますね〜!電気がなきゃ不便だけど、
確かに仕事早く終われるかも!!特に冬は短くていい(*^^*)
楽しい中にも、考えさせられ要素満載ですね☆
えー、大人の面接はイヤだなぁ。
だって人生計画とか聞かれるんでしょう??
だって人生計画とか聞かれるんでしょう??
今、なんか変な奴がコメント残していきましたがお気になさらずに・・・
さてさて。そうだなあ、早く仕事終わってほしい・・・
アボガド先生、彼が一番なんかいいとこどりですね。くわばらくわばら。
さてさて。そうだなあ、早く仕事終わってほしい・・・
アボガド先生、彼が一番なんかいいとこどりですね。くわばらくわばら。
| Home |
企業が求めるのは「独創性」らしいです。
あ、物語が佳境に(笑)
オメガが、ああ、オメガがどうかなっちゃうのか?作者は新連載のことを考えてしまっているのやもしれないというのにオーマイガ。