怪物紳士の歌 第四話 11/05/2007
第四話 闇の新聞記者
「今回の依頼はピーター・ベンジャミン」
「・・・・・」
「国外に逃亡中だ」
出国前、二人の男が話しているようである。
「何があったんだ?」
「チャリティー・コンサートツアー中に急にホテルから姿を消す。部屋は荒らされたまま」
「それで?」
「南米の高山都市、コンビナートの町に逃げたとの情報がある」
「ふぅん」
「いつものように時間をずらしての入国」
「わかった」
そして二人は出国の空便、宿泊するホテル、行動など綿密に打ち合せをすると、別れてそれぞれ帰っていった。
***
「いいなぁ、ギター」
「テド、おばあさんにお願いしたら?」
「聞いてくれるもんか」
いつものように片付けをしている二人に、ただ残り物をあさりにきた少年が一人。
「こんばんは」
三人はマルコが来たものと思って振り返った。
「!?」
玄関口にはマルコと、そのボディーガードと思われる黒スーツ男が二人。
「夜はあまり出歩くなって親父に言われてね」
苦笑いを浮かべるルイスとピーター。テドロは相変わらずひねくれている。
「あ、もういいよ、悪いけど外で待ってて」
マルコはボディーガードに向かってそう言うと、店の中に入ってきた。
「今日はギターをどうも。」
「ほんのお気持ちです。長旅で疲れているでしょうから」
「ありがとう。ところで、鳥たちに聞きたいのだが、私の世の中の評判はどうなっている」
「そりゃあもう。あなたは有名人ですからね。新聞のネタになったりしてますよ」
「そうか・・・」
「もうマスコミの流れがこっちに向かっている。今日はそのことを伝えにきた」
「なんだと」
「早く逃げた方がいい。とりあえずメカ・インディオは保留にして」
「保留にしたところでどうなる」
「・・・・・」
「でもどうするの?」
ルイスの声が沈黙を破る。
「う〜ん・・・」
ピーターはしかめっ面をして、腕を組んで考えた。メカ・インディオの呪いも解きたいが、マスコミの影響を考えただけでも恐ろしかった。
「よし!」
ポンと手を叩いて、ピーターは何かひらめいたように顔を上げる。一同、ピーターが何を思いついたのか期待する。
「やっぱり逃げる!!」
ガラガラガラ・・・と、後ろに倒れる三人。
「何でぇ、立ち向かうんじゃねぇのかよ!」
「いや、私にも考えがある」
「?」
「ピーター・ベンジャミンがどこにいるか聞かれたら南へ行ったと言ってくれ。私は明日、南へ行き、ピーター・ベンジャミンは南へ移動しているというデマを作る。ほとぼりが冷めた頃合いを見計らって私はここに帰ってくる」
「なるほど」
「噂を南に移して、騒動が南に行った頃をみてこっそりと帰ってくるわけだね」
「ああ」
「たまにはまともなこと言うじゃん」
ピーターは簡単に荷造りをすると、階段を降りてきた。
「短い間だったが、世話になったな」
ルイスに向かってピーターは言った。ルイスは静かに頷く。
「無事に逃げ切れますように」
「ああ」
ピーターはカウンターの後ろにある勝手口から外に出ることにした。
カチャリ。
ピーターがドアを開けたその時だった。
「失礼ですが、新聞の取材に応じていただけませんか」
低い男の声。長く伸びたパーマの髪に、ベージュのコート。
「お断わりいたします」
パタンと音を立ててピーターは自分で開けたドアを閉めた。
「どうしたの?」
とぼけたような声で店の中からルイス。
「まずい」
「?」
「ばれた」
「お前、やっぱりバカだろ!!」
テドロがセリフを吐いたと同時に、カフェの玄関口に先程の男が立っていた。
「夜半遅くに失礼します。フリージャーナリストのペッパー・オースティンと言います。取材に応じていただけませんか?」
「・・・・・」
沈黙。
いや、この沈黙こそが怪しい。
「と、とりあえず二人はお家に帰って」
ピーターはテドロとマルコに家に帰るように言った。
「お、おう・・・」
どこかぎこちない雰囲気。二人が店から出た後も、新聞記者はピーターから目をそらさなかった。
「ピーター・ベンジャミンという人物がこの町に流れ込んできたという噂があるのだが、何か知ってはいませんか」
「・・・・・」
「ルイス」
「?」
「やっぱり逃げる」
「おい待てよ!!」
ピーターは先程の裏口から勢い良く飛び出した。慌ててルイスもその後を追い掛ける。カフェに残っていても、色々問い詰められそうなのでとにかくその場から逃げる。
「・・・・・」
その新聞記者は納得した。奴こそがターゲットであることを。
「レーダー、マークしていたカフェにて思わしき人物発見、追跡」
コートの中にひそめてある小さなマイクを左手に取り、小さな声で言う。
「ひょっとしたら別人かも知れないのでしばらく様子を見る」
その時、カフェの店長がフロアにやってきた。新聞記者はマイクを隠す。
「おやまあ、お客さん、軽い飲みものくらいしか」
「悪いが今は結構です。少しお伺いしたいのですが、この町にピーター・ベンジャミンという人物が流れ込んだという噂があるのだが、何か知っていることはございませんか」
「はて・・・?」
突然のことにポカンとした店長は、それ以上何も言わなかった。新聞記者の方から、その場を後にした。
夜の暗闇の中、涼しい微風が秋を知らせる。空には三日月と幾らかの星。雲が少し出ている程度で、何も邪魔をするものはいない。
「あら、ペッパー」
背後から明るい女の声がした。
「どうしたの?ウサギちゃんは見つかった?」
金髪に赤いドレス。長いまつげの女の横に、警官が幾人か。
「南に向けて動いている」
そうとだけ伝えると、ペッパーは黙った。
「了解だわ」
その女はトランシーバーを取出し、警備を強化するように伝えた。
「・・・・・」
そしてペッパーも、警官達が去った後でその後を追い掛けた。
***
「まずいなぁ、こりゃ」
先に店を出たテドロは、町の建物の屋根から通りを見下ろしていた。あちらこちらに警官がいて、ピーターがいないかと見張っているのだった。
「ま、仕方がないっちゃ仕方がないか」
「そこの君」
「!?」
突然後ろから声をかけられてテドロは驚いた。ここは屋根の上、しかも声をかけられたのが・・・
「フリージャーナリストのペッパー・オースティンと言います。取材に応じていただけませんか」
暗闇にうっすら見えるベージュのコートに、長いパーマの黒髪。先程カフェに来た、あの新聞記者である。
「誰だ・・・お前・・・」
第五話「ルイス、捕まる」につづく
「今回の依頼はピーター・ベンジャミン」
「・・・・・」
「国外に逃亡中だ」
出国前、二人の男が話しているようである。
「何があったんだ?」
「チャリティー・コンサートツアー中に急にホテルから姿を消す。部屋は荒らされたまま」
「それで?」
「南米の高山都市、コンビナートの町に逃げたとの情報がある」
「ふぅん」
「いつものように時間をずらしての入国」
「わかった」
そして二人は出国の空便、宿泊するホテル、行動など綿密に打ち合せをすると、別れてそれぞれ帰っていった。
***
「いいなぁ、ギター」
「テド、おばあさんにお願いしたら?」
「聞いてくれるもんか」
いつものように片付けをしている二人に、ただ残り物をあさりにきた少年が一人。
「こんばんは」
三人はマルコが来たものと思って振り返った。
「!?」
玄関口にはマルコと、そのボディーガードと思われる黒スーツ男が二人。
「夜はあまり出歩くなって親父に言われてね」
苦笑いを浮かべるルイスとピーター。テドロは相変わらずひねくれている。
「あ、もういいよ、悪いけど外で待ってて」
マルコはボディーガードに向かってそう言うと、店の中に入ってきた。
「今日はギターをどうも。」
「ほんのお気持ちです。長旅で疲れているでしょうから」
「ありがとう。ところで、鳥たちに聞きたいのだが、私の世の中の評判はどうなっている」
「そりゃあもう。あなたは有名人ですからね。新聞のネタになったりしてますよ」
「そうか・・・」
「もうマスコミの流れがこっちに向かっている。今日はそのことを伝えにきた」
「なんだと」
「早く逃げた方がいい。とりあえずメカ・インディオは保留にして」
「保留にしたところでどうなる」
「・・・・・」
「でもどうするの?」
ルイスの声が沈黙を破る。
「う〜ん・・・」
ピーターはしかめっ面をして、腕を組んで考えた。メカ・インディオの呪いも解きたいが、マスコミの影響を考えただけでも恐ろしかった。
「よし!」
ポンと手を叩いて、ピーターは何かひらめいたように顔を上げる。一同、ピーターが何を思いついたのか期待する。
「やっぱり逃げる!!」
ガラガラガラ・・・と、後ろに倒れる三人。
「何でぇ、立ち向かうんじゃねぇのかよ!」
「いや、私にも考えがある」
「?」
「ピーター・ベンジャミンがどこにいるか聞かれたら南へ行ったと言ってくれ。私は明日、南へ行き、ピーター・ベンジャミンは南へ移動しているというデマを作る。ほとぼりが冷めた頃合いを見計らって私はここに帰ってくる」
「なるほど」
「噂を南に移して、騒動が南に行った頃をみてこっそりと帰ってくるわけだね」
「ああ」
「たまにはまともなこと言うじゃん」
ピーターは簡単に荷造りをすると、階段を降りてきた。
「短い間だったが、世話になったな」
ルイスに向かってピーターは言った。ルイスは静かに頷く。
「無事に逃げ切れますように」
「ああ」
ピーターはカウンターの後ろにある勝手口から外に出ることにした。
カチャリ。
ピーターがドアを開けたその時だった。
「失礼ですが、新聞の取材に応じていただけませんか」
低い男の声。長く伸びたパーマの髪に、ベージュのコート。
「お断わりいたします」
パタンと音を立ててピーターは自分で開けたドアを閉めた。
「どうしたの?」
とぼけたような声で店の中からルイス。
「まずい」
「?」
「ばれた」
「お前、やっぱりバカだろ!!」
テドロがセリフを吐いたと同時に、カフェの玄関口に先程の男が立っていた。
「夜半遅くに失礼します。フリージャーナリストのペッパー・オースティンと言います。取材に応じていただけませんか?」
「・・・・・」
沈黙。
いや、この沈黙こそが怪しい。
「と、とりあえず二人はお家に帰って」
ピーターはテドロとマルコに家に帰るように言った。
「お、おう・・・」
どこかぎこちない雰囲気。二人が店から出た後も、新聞記者はピーターから目をそらさなかった。
「ピーター・ベンジャミンという人物がこの町に流れ込んできたという噂があるのだが、何か知ってはいませんか」
「・・・・・」
「ルイス」
「?」
「やっぱり逃げる」
「おい待てよ!!」
ピーターは先程の裏口から勢い良く飛び出した。慌ててルイスもその後を追い掛ける。カフェに残っていても、色々問い詰められそうなのでとにかくその場から逃げる。
「・・・・・」
その新聞記者は納得した。奴こそがターゲットであることを。
「レーダー、マークしていたカフェにて思わしき人物発見、追跡」
コートの中にひそめてある小さなマイクを左手に取り、小さな声で言う。
「ひょっとしたら別人かも知れないのでしばらく様子を見る」
その時、カフェの店長がフロアにやってきた。新聞記者はマイクを隠す。
「おやまあ、お客さん、軽い飲みものくらいしか」
「悪いが今は結構です。少しお伺いしたいのですが、この町にピーター・ベンジャミンという人物が流れ込んだという噂があるのだが、何か知っていることはございませんか」
「はて・・・?」
突然のことにポカンとした店長は、それ以上何も言わなかった。新聞記者の方から、その場を後にした。
夜の暗闇の中、涼しい微風が秋を知らせる。空には三日月と幾らかの星。雲が少し出ている程度で、何も邪魔をするものはいない。
「あら、ペッパー」
背後から明るい女の声がした。
「どうしたの?ウサギちゃんは見つかった?」
金髪に赤いドレス。長いまつげの女の横に、警官が幾人か。
「南に向けて動いている」
そうとだけ伝えると、ペッパーは黙った。
「了解だわ」
その女はトランシーバーを取出し、警備を強化するように伝えた。
「・・・・・」
そしてペッパーも、警官達が去った後でその後を追い掛けた。
***
「まずいなぁ、こりゃ」
先に店を出たテドロは、町の建物の屋根から通りを見下ろしていた。あちらこちらに警官がいて、ピーターがいないかと見張っているのだった。
「ま、仕方がないっちゃ仕方がないか」
「そこの君」
「!?」
突然後ろから声をかけられてテドロは驚いた。ここは屋根の上、しかも声をかけられたのが・・・
「フリージャーナリストのペッパー・オースティンと言います。取材に応じていただけませんか」
暗闇にうっすら見えるベージュのコートに、長いパーマの黒髪。先程カフェに来た、あの新聞記者である。
「誰だ・・・お前・・・」
第五話「ルイス、捕まる」につづく
kazu osino 11/05/2007 Mon URL [ Edit ]
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はい、ピーターとルイスの二人はこれからお笑い路線に走ってもらおうかと思います(エーッ)
新しく出てきたペッパーとその女の人、奴らもただものじゃありません。さて、がんばってもらいましょ。
あは、テド君、足手纏いにならないようにね〜
新しく出てきたペッパーとその女の人、奴らもただものじゃありません。さて、がんばってもらいましょ。
あは、テド君、足手纏いにならないようにね〜
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ドア開けて、またしめて。
しかも、やっぱ逃げるとは^^
しかし、ペッパーさん、金髪の女性、怪しい・・・怪しいよ!!
なぜテドくんに話しかけられるんだぁぁ
何が怖いって、やねの上だというのに、普通にテドくんい声をかけているところがもう・・@@
しかも、ルイス捕まるって!
前コメで言ってた、ルイスくんのほうが危ないってこのことですね!!!
うう〜ん、ピーター様!←意味なしの雄たけび(笑