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怪物紳士の歌 第七話  11/11/2007  
第七話 謎の女、レダ

「作られた・・・ってどういう意味だ?」
レダは帽子を取った。
「まあ、人造人間ってことよ。あとは企業秘密」
と、レダはチャーミングにウインクした。可愛くほほ笑み、唇をくいっと小さく釣り上げる。よくスパイ映画などに出てくる魔性の女という雰囲気である。
「あら?」
レダは右手に忍ばせた小型のトランシーバーに耳を向ける。

<レーダー、ピーター・ベンジャミンは南に移動している。追い掛けろ>

レダは笑って、テドロとマルコの方に目を向ける。

「ウサギちゃんは南に逃げたそうよ。あなたたちも協力してくださらない?」

「協力?」

「行くわよ!!」

レダは駆け出した。屋根の上を飛びながら、普通の人間ではありえないスピードで飛んでいく。
「お、おい!待てよ!」
二人はレダの後を追った。

***

ピーターの体力にも限界があった。

「ぐあっ」

街の裏路地のコンクリートの壁にぐったりともたれる。おそらく昼間は子供たちがサッカーの練習をしている壁なのであろう。少し広い広場で、水道からピチャン、ピチャンと水の滴る音。街の住人はもう寝ているのだろう。

「こんばんは」

闇の夜に不気味に響く低い声。

「またか」

例の新聞記者。疲れている様子はなく、余裕の表情さえ伺える。
「捕まえにきたのか」
「あなたに伝えたいことがある」
「何を」
「君の友達が捕まったみたいだよ」
「何だと」
「午前零時にロイヤルホテルのフロントにて待ってるとな」
「ルイス・・・」
「私からは以上だ」

ところが、その新聞記者がピーターに背を向けた時だった。

ヒュン!!

弓から矢が放たれるような空気が切れる音がした。

ドサッ・・・

突然ペッパーはひざを曲げ、その場に屈み込んだ。

「おい!」

ピーターは駆け寄った。
「ぐっ・・・」
一本の矢が、ペッパーの右手の手首に刺さっていた。

「メカ・インディオ!」

ピーターは矢が飛んできた方向を見るなり、すぐに叫んだ。ササッと静かに物音を立ててその物体はその場を後にする。

「まっ、待て・・・」

だがピーターは力も残っておらず、怪我人を放っておくこともできないので、その場にいるしかなかった。
「大丈夫か」
ペッパーは刺さった矢を抜き、右手を押さえ、険しい表情をしていた。
「かまうな、先に行け」
ペッパーは自分でハンカチを取り出し、傷口に巻いた。
「でも・・・」

その時だった。

「兄貴!!」
高い女の声。
「ピーター!」
「おっさん!」
マルコとテドロの声が続く。例の三人が、ピーターの姿を見て駆け寄った。
「!?」
ペッパーは鋭い目付きで駆け付けた三人を睨む。
「えっ?」
驚いたのはピーターだった。
「同じ顔が二つ・・・」
ペッパーとレーダーのことを言っているのだった。
「その話は後だ!ルイスが警察に捕まったんだぞ!」
と、マルコ。
「てめールイス兄貴を痛い目にあわせやがって!」
と、テドロ。
「あ、ああ。わかった。行く行く、行くから」
マルコとテドロが急かすため、ピーターは身を起こし、来た方向へ戻っていった。そして、レダはペッパーの方へ駆け寄る。
「兄貴、大丈夫か?」
「ああ・・・レーダー、この人らは?」
「社長息子殺害容疑者マルコとスラム街のガキよ」
レダは自分が見破られた悔しさで皮肉っぽく言った。
「バレたのか」
「そう。二人とも人間じゃないみたいよ」
「私は殺してなんかいない!」
「ガキで悪かったな!」
「それよりお前たちは何だ!?」
「お前たちこそ誰だよ!?」
レダとペッパーはため息を吐いた。
「いい?これはとにかく秘密よ。でもそれと引き替えにあなたたちのことも話してもらうからね」
「話してもらうからねと言うよりかはもう知っているくせに!」
レダはペッパーの方を見る。
「兄貴、どこまで話せばいい?」
「いや、私から話す」
ペッパーは右腕を押さえたまま二人の前に来た。
「我々は人為的に作られた双子だ」
「人為的?」
「ある程度危険なところにも適用できるようにな」
「つまり?」
「言わば捨て玉」
「つまりは実験台」
と、レダは笑った。
「要はちょっとしたサイボーグだ。私から言えることは以上だ。取材に応じてもらおう」
「何をだ」
「メカ・インディオって、本当にいるの?」
レダの明るい声。
「いるよ。いるからこうして俺はこの街にやってきたんだ!メカ・インディオはこの町を破壊しようとしている!その見せしめに私の兄は殺されたんだ!!それに変な呪いまでかけられた!!」
マルコは叫んだ。
「どうする?兄貴」
「我々の役目は終わりだ。早急にこの国を出る」
「そんなこと言わずにさぁ、兄貴、新聞社に何か土産話でも持って帰んないと。」
「・・・・・」
ペッパーは考えた。メカ・インディオやピーター・ベンジャミンのことを記事にしたとしても、信じてくれる人がいるのかどうか。妥当性があったとしても、さすがに信じるか否かは・・・
「まあとりあえずしばらく様子を見るとしよう。だが私はもうホテルへ帰って寝るからな」
「やったぁ!兄貴、あたし、あの子のこと、記事にしたいわぁ!」
「あの子?」
マルコは首を傾げる。
「あのカフェの子よ!あたし、ファンになるわ!!」

***

それからルイスはホテルで軟禁状態にあった。特にすることもなく、トイレを借りたりするくらいで、じっとしているしかなかった。アイがたまにワインを注いでくれ、ちびちびと飲んでいた。

「あなたのその左手・・・じゃなかった右手、どうやって動かしてるの?」
ルイスの右手の義手は、今は打ち落とされてない状態である。服が破れたまま、ルイスは連れてこられたのだ。
「プログラム」
「自分で作ったの?」
「左手にコードを通してスイッチがある」
「すごいわね」
「いや、別に・・・」
「あたしもこう見えて左目が義眼なのよ」
「えっ」
「顔に散弾銃が当たっちゃってね。整形手術したのよ。本当はもっと不細工だった。どうせするなら思いっ切り美人にしろって注文付けたのよ。だけど左目だけはどうにもならなかった。高い買い物だったわ」
「そうなんですか・・・よく私の右手を打ち落とせましたね」
「長年の勘よ」
「長年?」
「若造りよ。きっとあなたよりもかなり年上だわ。私」
「・・・・・」
「あなたに同情するわよ、ルイス。まだ若いのに」
「私こそ」
「あなた、好きな人いるの?」
「えっ」
「いや、気になっただけよ」
「昔はいましたよ」
「フラれたの?」
「・・・・・」
ルイスは黙った。
「その右手のせい?」
ルイスは頷いた。
「可哀相に」
「別に・・・」
「あたしがもっと若かったら恋人になってあげたのに」
「年齢なんて関係ありませんよ」
「・・・・・」
ルイスはふいとアイから顔を背けた。少し顔を赤らめている。
「クスッ」
アイは笑った。
「可愛い子。あたしが年なのわかって言ってるのかしら」
「この件が落ち着いたらお茶でもご一緒に」
「・・・・・」
次の瞬間、アイの目からポロッと涙が落ちた。ルイスの方を向いたまま、ルイスは真正面からアイの顔を見ていた。よく見ると、左目は充血していない。やはり、ガラス玉なのであろう。
「冗談でしょ」
「お茶くらいなら」
「冗談で言ったのに」
「・・・久しぶりに女性と話したもので緊張しました」
ルイスは笑う。そして再びアイに視線を合わせる。
「いつでもカフェに寄ってください」
「ええ。機会があれば」
アイは涙を拭う。

「約束の時間だわ」

アイは席を立つ。

「迎えにきたぞ」

「!?」

アイが席を立ったと同時に、窓にはピーターの姿があった。
「ピーター!」
ルイスは慌てて窓を開けた。アイは振り返ってピストルを構える。

第八話「ルイスの墓」につづく
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ちょっと来ないあいだにえらい進んでる!!
でも追いついたっす☆
うーん、双子のサイボーグに悲しみ?の警察。
どんどん人物が入り乱れ、絡んでいきますね。
そしてちょいと顔出したメカインディオ。
あああ、でもまだお姿は拝見できないのね!!!
く、悔しい!
さぁさぁ、ルイスとアイの恋?やいかに。
楓  11/12/2007 Mon URL [ Edit ]
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進んでます進んでます。
あと、カシオペヤ完結おめでとうございます!!
怒濤の更新に追いついてくださってありがとうございますー!!
メカインディオはまだまだ先です!ごめんなさい!!
さてさて、ルイちゃん、どうなるんでしょうねー・・・
茉莉  11/12/2007 Mon URL [ Edit ]
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かっこかわいい・・・ですね♪
そんな涙を流すなんて・・・・、ルイスくん!この〜、罪作り!!
そして、レダさん登場ですね!
イラストでは後ろ向きだったので、ちょっとドキドキしてました。
なるほど、ペッパーさんと双子。
ステキ・・・☆
イラストかぶりつき^^
あぁ、しかし彼女もルイスくんを気に入って・・・!
アイさんとレダさん。両手に花だ〜、羨ましいぜ。

ピーター様登場!!!
ピーター様、がんばって!
kazu osino  11/13/2007 Tue URL [ Edit ]
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ホント、憎い奴め。今に見てろ。
レダちゃん、かわいいです。
うふふ。気に入ってくださってありがとうございます。
アイちゃん、これからがんばってもらおう。
ピーター・・・そういえばいたなぁ、そんな奴。
茉莉  11/14/2007 Wed URL [ Edit ]
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ですか、アイさん!
おはようございます。
ルイスにファンが付いてきましたね〜♪モテモテやん。
双子だ、双子。やられたな、ピーター(嬉しいらしい?)
で!
メカが出てきた!?いきなり強襲!!
む、気になる!次へ行こう!
史間  02/26/2008 Tue URL [ Edit ]
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そうなんですよ〜
ピーター、これからじゃんじゃんルイちゃんをいじっていじって・・・(やめろ)
そしてそしてメカが出てきました。でもまだ出てきません!!
奴は最後の方にちらっとだけ出ますから!
茉莉  02/26/2008 Tue URL [ Edit ]
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