怪物紳士の歌 第八話 11/17/2007
第八話 ルイスの墓
「やれやれ。ホテルのフロントは警備員ばかりでさ。悪いがこちらから失礼させてもらったぞ」
と、アイをギロッと睨む。
「ふざけないで」
「約束どおり来てやったのに。マネージャーに連絡してくれ。コンサートはキャンセルだ」
「あったりまえじゃないの。わかりきったこと言わないで頂戴。あなたを捕まえて国へ送り返すわ」
「捕まえられるなら捕まえてみろ。私はメカ・インディオを倒して呪いが解ければすぐにでも国へ帰ってやる」
「くっ・・・またわけのわからないことを」
その時だ。
「ピーター!」
「兄貴!」
「ちょーっと待ったぁー!!」
「!?!?!?」
ホテルの部屋をめがけて、何かが飛んできた!!
「お、お前ら・・・」
そこにはテドロとマルコとレダがいた。わずかに開け放たれた窓を見てどかどかと入ってきたのである。ちなみに、ピーターはレダが女性であることは知らない。
「兄貴に指一本でも触れてみろ!ただじゃ置かないからな!!」
「警察とここで決着を付ける!私は殺してなんかいない!!」
「ふぅ・・・やれやれ」
ちなみにレダは変声装置で低い声に、つまりはペッパーになりすましていた。片割れのペッパーはホテルへ帰っていた。おそらく今は夢の中。
「どうやら普通の人間ではなさそうね。はっきり教えてくれてありがとう」
アイもアイで突然のことには驚かず平然としている。だがしかし、彼らの言う「メカ・インディオ」というものが何であるかをはっきりと証拠立てないと、いろいろ捜査が複雑になってしまうのだ。
「メカ・インディオをどうやって証拠立てる気なの?」
「そこを警察に頼むんだよ!」
と、テドロ。
「バカ言ってんじゃないわよ」
「アイ」
遮ったのは、レダの低い声だった。
「ピーターやマルコの捜索からメカ・インディオの捜索へ切り替えたらどうだろうか」
「・・・・・」
アイは黙った。
「手掛かりは?」
「B地区廃家電処理場」
と、マルコ。
「ちょっと調べてみたらどうだ?アイさん。こいつらどっから見たって普通じゃないだろ?」
ペッパー・・・に扮したレダが後押しする。
「・・・わかったわ」
アイはピストルをしまった。
「仮に嘘だとしたらただじゃおかないわよ」
アイはくるりと向きを変え、クローゼットから何かを取り出した。
「この町の鳥瞰図よ」
机の上にアイは地図を広げた。上空から見たコンビナートの様子である。B地区廃家電処理場とは、コンビナートの南西にあり、山の斜面にある。
「ならこの入り口と周りの町の警備を強化して・・・でも多かったら逆に向こうも用心するわね」
アイは一度地図から顔を上げ周りを見る。
「あなたたちにも捜査に協力してもらうからね」
「はいはい」
再び視線を地図に落とす。「あっ」
ルイスが小さく声を出す。「どうしたの?」
「ここ、俺の墓の近くだ」「墓?」
「ルイスの?」
「そう。右手だけの」
「・・・・・」
「近くにいるうちがいいわ。」
アイは話の筋を元に戻す。
「明日にでも・・・見張りを置きましょう」
「俺も・・・墓参りに行く」
「時間は空いてるの?」
「空いてる」
「そりゃあんたは空いてるわよ」
と、アイはピーターに肘鉄砲付きのツッコミを入れる。
「昼過ぎなら。夕方は仕事だ」
と、ルイス。
「都合なら付く」
と、マルコ。
「じゃあ決まり、昼から夜にかけて捜査を重点的に置く。適当に見張ってて頂戴、あなたたち、普通の人間じゃないんでしょ、ま、あんたたちは普通の人間じゃないんだから、あたしたちよりは早く見つけ出しそうね」
「・・・まあな」
「じゃあ今日は遅いから帰って頂戴、ルイスは私が送っていくわ」
「えっ」
「さっきの話の続きをしようじゃないの」
「?」
「ああ。わかったよ」
ルイスはそう言うと、ピーターたちに向かって言った。
「悪いが先に帰っていてくれ」
「二人で話したいことがあるの」
「???」
ピーターら四人はルイスを残して窓から飛び立っていった。
「ルイス」
アイはカーテンを閉め、振り返る。背中の開いた赤いドレスが、妙に色っぽい。
「・・・・・」
「その義手、おいくら?」
「別にいいですよ。どうせ錆びたらまた作りかえますし」
「悪いわ、そんなの」
「いえ、構いませんよ」
「本当にごめんなさい」
「いえ、いいんです本当に」
「・・・・・」
「・・・・・」
「すぐに新しい恋人ができるわよ、あなたなら」
「そうでしょうか」
「そうよ」
「あなたこそ」
「私は無理よ」
「私でよければ」
「それも無理。あなたの人生、私が台無しにしてもダメでしょ」
「そうでしょうか」
「そうよ」
「まあ、あなたがそう言うなら・・・」
「まだ若いんだしさ」
「・・・・・」
「送っていくわ。こっちに来て」
ルイスは席を立つ。部屋を出、エレベーターを降り、フロントへ。アイは何人かの警備員にことの次第を伝えると、ルイスを車に乗せた。アイは車の外からルイスに言う。
「明日夜カフェに行くわ」
「お待ちしています」
ブロロロロ・・・
「変な子」
***
ルイスがカフェに戻った時、ピーターは店のフロアにいた。ステージのすぐ前の小さな円形のテーブルに着き、足を組んで頬杖をついて店の外をじっと見ていた。
「あっ、ピーター」
ルイスはピーターがいたことに驚いた。
「すまない、ルイス。君には本当に迷惑かけた」
「いや、それはいいんだけど・・・どうしたの?夜遅くまで起きててさ」
「あの女と何を話したんだ?」
「いや・・・あ、義手のこと」
「他には?」
ルイスは少し考えた後、ピーターに答えた。
「ピーター、あの人と知り合い?」
「そうだ」
「じゃあ、誰」
「昔の恋人」
「それって、顔が変わる前の?」
「そう」
「どうして別れたのさ」
「・・・・・」
「ごめん、変なこと聞いたね」
「あいつとは社交パーティーで出会った。歌にダンスが上手でたまにデュエットも」
「・・・・・」
「俺を引き渡す方法でも話していたのか」
「いや、それは違う」
「そうか」
ピーターは階段を上がって部屋に戻った。
「・・・・・」
フロアに取り残されたルイスは、近くにあった椅子に座り、左手で頬杖をついてため息を吐いた。
別にアイのことは好きではない。ただ、本当に久しぶりに女性と話したものだから、緊張してしまったのだ。まだ、その緊張がほぐれず耳を赤くしている。見なくてもわかる。体中に緊張がほとばしるのだ。あの赤いドレス、白い足、小さな唇。思い出せば体が火照ってくる。
「もう!バカ!俺のバカ!!」
ルイスは冷蔵庫からお酒を取り出すと、小さくくいっと一杯飲んだ。
その時だ。
「こんばんは」
「!?」
ルイスが店の玄関の方に目をやると、あの新聞記者が立っていた。
「一体何の用ですか」
「アポイントを取りにきたの・・・あ、あなたにはまだ自己紹介していなかったわね」
妙な女言葉にルイスは気持ち悪く思った。その新聞記者は口から何かを取り出し、ルイスの方を見た。そして高い声で言う。
「私はペッパーの双子よ。レダって呼んで頂戴」
「女!?」
「そんなに驚かなくてもいいじゃないの。ま、何か新聞社に土産話でも持って帰らなくちゃいけなくてね。あなたのことを記事にしたいのよ」
「悪いけどお断わりしますよ」
「あら、残念」
「嫌ですよ、僕」
「でもあなたから話を聞きたいわ。個人的に」
「そ、そんな・・・」
「じゃああなたの演奏会はいつ開かれているの?」
「夕方ごろ・・・」
「じゃあ、普通のお客として聞きにくるわ」
「・・・・・」
「それだけよ。じゃあね」
第九話「ピラニア少女」につづく
「やれやれ。ホテルのフロントは警備員ばかりでさ。悪いがこちらから失礼させてもらったぞ」
と、アイをギロッと睨む。
「ふざけないで」
「約束どおり来てやったのに。マネージャーに連絡してくれ。コンサートはキャンセルだ」
「あったりまえじゃないの。わかりきったこと言わないで頂戴。あなたを捕まえて国へ送り返すわ」
「捕まえられるなら捕まえてみろ。私はメカ・インディオを倒して呪いが解ければすぐにでも国へ帰ってやる」
「くっ・・・またわけのわからないことを」
その時だ。
「ピーター!」
「兄貴!」
「ちょーっと待ったぁー!!」
「!?!?!?」
ホテルの部屋をめがけて、何かが飛んできた!!
「お、お前ら・・・」
そこにはテドロとマルコとレダがいた。わずかに開け放たれた窓を見てどかどかと入ってきたのである。ちなみに、ピーターはレダが女性であることは知らない。
「兄貴に指一本でも触れてみろ!ただじゃ置かないからな!!」
「警察とここで決着を付ける!私は殺してなんかいない!!」
「ふぅ・・・やれやれ」
ちなみにレダは変声装置で低い声に、つまりはペッパーになりすましていた。片割れのペッパーはホテルへ帰っていた。おそらく今は夢の中。
「どうやら普通の人間ではなさそうね。はっきり教えてくれてありがとう」
アイもアイで突然のことには驚かず平然としている。だがしかし、彼らの言う「メカ・インディオ」というものが何であるかをはっきりと証拠立てないと、いろいろ捜査が複雑になってしまうのだ。
「メカ・インディオをどうやって証拠立てる気なの?」
「そこを警察に頼むんだよ!」
と、テドロ。
「バカ言ってんじゃないわよ」
「アイ」
遮ったのは、レダの低い声だった。
「ピーターやマルコの捜索からメカ・インディオの捜索へ切り替えたらどうだろうか」
「・・・・・」
アイは黙った。
「手掛かりは?」
「B地区廃家電処理場」
と、マルコ。
「ちょっと調べてみたらどうだ?アイさん。こいつらどっから見たって普通じゃないだろ?」
ペッパー・・・に扮したレダが後押しする。
「・・・わかったわ」
アイはピストルをしまった。
「仮に嘘だとしたらただじゃおかないわよ」
アイはくるりと向きを変え、クローゼットから何かを取り出した。
「この町の鳥瞰図よ」
机の上にアイは地図を広げた。上空から見たコンビナートの様子である。B地区廃家電処理場とは、コンビナートの南西にあり、山の斜面にある。
「ならこの入り口と周りの町の警備を強化して・・・でも多かったら逆に向こうも用心するわね」
アイは一度地図から顔を上げ周りを見る。
「あなたたちにも捜査に協力してもらうからね」
「はいはい」
再び視線を地図に落とす。「あっ」
ルイスが小さく声を出す。「どうしたの?」
「ここ、俺の墓の近くだ」「墓?」
「ルイスの?」
「そう。右手だけの」
「・・・・・」
「近くにいるうちがいいわ。」
アイは話の筋を元に戻す。
「明日にでも・・・見張りを置きましょう」
「俺も・・・墓参りに行く」
「時間は空いてるの?」
「空いてる」
「そりゃあんたは空いてるわよ」
と、アイはピーターに肘鉄砲付きのツッコミを入れる。
「昼過ぎなら。夕方は仕事だ」
と、ルイス。
「都合なら付く」
と、マルコ。
「じゃあ決まり、昼から夜にかけて捜査を重点的に置く。適当に見張ってて頂戴、あなたたち、普通の人間じゃないんでしょ、ま、あんたたちは普通の人間じゃないんだから、あたしたちよりは早く見つけ出しそうね」
「・・・まあな」
「じゃあ今日は遅いから帰って頂戴、ルイスは私が送っていくわ」
「えっ」
「さっきの話の続きをしようじゃないの」
「?」
「ああ。わかったよ」
ルイスはそう言うと、ピーターたちに向かって言った。
「悪いが先に帰っていてくれ」
「二人で話したいことがあるの」
「???」
ピーターら四人はルイスを残して窓から飛び立っていった。
「ルイス」
アイはカーテンを閉め、振り返る。背中の開いた赤いドレスが、妙に色っぽい。
「・・・・・」
「その義手、おいくら?」
「別にいいですよ。どうせ錆びたらまた作りかえますし」
「悪いわ、そんなの」
「いえ、構いませんよ」
「本当にごめんなさい」
「いえ、いいんです本当に」
「・・・・・」
「・・・・・」
「すぐに新しい恋人ができるわよ、あなたなら」
「そうでしょうか」
「そうよ」
「あなたこそ」
「私は無理よ」
「私でよければ」
「それも無理。あなたの人生、私が台無しにしてもダメでしょ」
「そうでしょうか」
「そうよ」
「まあ、あなたがそう言うなら・・・」
「まだ若いんだしさ」
「・・・・・」
「送っていくわ。こっちに来て」
ルイスは席を立つ。部屋を出、エレベーターを降り、フロントへ。アイは何人かの警備員にことの次第を伝えると、ルイスを車に乗せた。アイは車の外からルイスに言う。
「明日夜カフェに行くわ」
「お待ちしています」
ブロロロロ・・・
「変な子」
***
ルイスがカフェに戻った時、ピーターは店のフロアにいた。ステージのすぐ前の小さな円形のテーブルに着き、足を組んで頬杖をついて店の外をじっと見ていた。
「あっ、ピーター」
ルイスはピーターがいたことに驚いた。
「すまない、ルイス。君には本当に迷惑かけた」
「いや、それはいいんだけど・・・どうしたの?夜遅くまで起きててさ」
「あの女と何を話したんだ?」
「いや・・・あ、義手のこと」
「他には?」
ルイスは少し考えた後、ピーターに答えた。
「ピーター、あの人と知り合い?」
「そうだ」
「じゃあ、誰」
「昔の恋人」
「それって、顔が変わる前の?」
「そう」
「どうして別れたのさ」
「・・・・・」
「ごめん、変なこと聞いたね」
「あいつとは社交パーティーで出会った。歌にダンスが上手でたまにデュエットも」
「・・・・・」
「俺を引き渡す方法でも話していたのか」
「いや、それは違う」
「そうか」
ピーターは階段を上がって部屋に戻った。
「・・・・・」
フロアに取り残されたルイスは、近くにあった椅子に座り、左手で頬杖をついてため息を吐いた。
別にアイのことは好きではない。ただ、本当に久しぶりに女性と話したものだから、緊張してしまったのだ。まだ、その緊張がほぐれず耳を赤くしている。見なくてもわかる。体中に緊張がほとばしるのだ。あの赤いドレス、白い足、小さな唇。思い出せば体が火照ってくる。
「もう!バカ!俺のバカ!!」
ルイスは冷蔵庫からお酒を取り出すと、小さくくいっと一杯飲んだ。
その時だ。
「こんばんは」
「!?」
ルイスが店の玄関の方に目をやると、あの新聞記者が立っていた。
「一体何の用ですか」
「アポイントを取りにきたの・・・あ、あなたにはまだ自己紹介していなかったわね」
妙な女言葉にルイスは気持ち悪く思った。その新聞記者は口から何かを取り出し、ルイスの方を見た。そして高い声で言う。
「私はペッパーの双子よ。レダって呼んで頂戴」
「女!?」
「そんなに驚かなくてもいいじゃないの。ま、何か新聞社に土産話でも持って帰らなくちゃいけなくてね。あなたのことを記事にしたいのよ」
「悪いけどお断わりしますよ」
「あら、残念」
「嫌ですよ、僕」
「でもあなたから話を聞きたいわ。個人的に」
「そ、そんな・・・」
「じゃああなたの演奏会はいつ開かれているの?」
「夕方ごろ・・・」
「じゃあ、普通のお客として聞きにくるわ」
「・・・・・」
「それだけよ。じゃあね」
第九話「ピラニア少女」につづく
kazu osino 11/19/2007 Mon URL [ Edit ]
----------------------------------------------------------------
アイちゃん、かわいいやつです。一方でレダちゃん、あきらめてません。でも、ルイスにはその気はなさそう。
さて、今度は南の街でピラニア少女に出会うわけなんですが、どうやらこの少女が話のカギを握っているそうです。あ、ケーナちゃんではないです。新キャラです〜。
さて、今度は南の街でピラニア少女に出会うわけなんですが、どうやらこの少女が話のカギを握っているそうです。あ、ケーナちゃんではないです。新キャラです〜。
ピラニア少女って……
それはそうと、
ルイス、モテモテ?ですねぇ(笑
それはそうと、
ルイス、モテモテ?ですねぇ(笑
ピラニア少女っていうフレーズ、どこかで聞いたことがあるような気がするんですけど、検索しても何ともなかったので使っていますが、何か心当たりがあったら教えてください。何か心にひっかかるフレーズなのです。
ルイちゃん、背中を蹴飛ばしてやりたいですね。このやろぉ。
ルイちゃん、背中を蹴飛ばしてやりたいですね。このやろぉ。
色っぽい話だ。
ルイスとピーターが恋のライバルに(違
アイはまだピーターのことが好き??
それで執拗に追いかけて?
いい女だな〜
さて、レダちゃんが食いついてきましたよ、ふふ♪
ルイスとピーターが恋のライバルに(違
アイはまだピーターのことが好き??
それで執拗に追いかけて?
いい女だな〜
さて、レダちゃんが食いついてきましたよ、ふふ♪
そうそう。アイちゃん、何だか未練がましい。
ルイちゃん?うっふっふー。これからまたどうやら謎の少女が出てきますので恋の行方はお楽しみに。。
個人的にレダの方が好きだけどな〜。
ルイちゃん?うっふっふー。これからまたどうやら謎の少女が出てきますので恋の行方はお楽しみに。。
個人的にレダの方が好きだけどな〜。
| Home |
昔の恋人!!
・・・素敵☆
おいらの惚れたお二人が、恋人同士♪
でで、ルイスくん。アイさんの事、久しぶりの女性で緊張してしまったのね。
それだけだったのね^^;
じゃぁ、レダさんにチャンスが・・・?(笑
しかし
「もう!バカ!俺のバカ!!」
の、ルイスくんを想像すると可愛い・・・^^
ピピピ、ピラニア少女!!?
次の話が気になりますよ〜@@