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怪物紳士の歌 第九話  11/22/2007  
第九話 ピラニア少女

「わあっ!!」

ルイスの部屋にある鳩時計の針と針が重なる!!

「ひ・・・昼!?」

ポッポ・ポッポ・ポッポ・ポッポ・ポッポ・ポッポ
ポッポ・ポッポ・ポッポ・ポッポ・ポッポ・ポッポ

鳩時計MAXコンボ、つまりは昼の12時だ!!

「わああぁぁっ!!」

慌ててルイスはベッドから降り、ドアを開けようとした時だった。ドアの下から、一枚のメモ書きが見つかる。

***

寝ぼすけのルイスへ

よく眠れたかい?
俺は今からメカ・インディオがいるかと思われる山地に行ってくる。
おそらく一日帰ってこないから昼ご飯は南の町で済ませるぜ。
ちなみにあのテドロという奴は定時制の学校に行っているらしいな。
調査に午後から加わると言っている。
それから今日は月に一度の資源ゴミの日だからな。
お前の出した機械のガラクタゴミとビン・カン・ペットボトルはゴミに出しておいたからな。

ピーター・ベンジャミン

***

「ああっ!しまった!!今日は月に一度の資源ゴミの日だった〜!!」
そんな場合ではない。
「ああ〜また店長に叱られる」
そんな場合でもない。
「とにかく急がなきゃ」
ルイスは左手で櫛を取り慌てて身仕度をすると、義手のスペアを付けて着替えて階段を降りた。カフェは昼ご飯の客で賑わっている。
「最悪・・・」
厨房で店長は黙々と料理を作っていた。ルイスが降りてきたのをわざと無視しているかのようである。その無言の店長ほど、恐ろしいものはない。
「ルイス」
「あ、てんちょ・・・」
ルイスは冷や汗をかく。
「明日と休日変わってやる」
「はい、恩にきます」

***

一方ピーター・ベンジャミンは南の町の商店街を歩いていた。午前中、メカ・インディオを探し疲れて、お腹もすいたというところである。

「久しぶりね。あんたとこうやって歩くなんて」

ピーターの隣でアイは迷彩柄のズボンに茶色い長靴、同じ柄のキャップに白地のプリントシャツ。
「わざわざ付いて来ることなかったのに」
「嫌よ。私はこういう情緒溢れる商店街が好きなの」
左右には果物屋、肉屋、魚屋、飲み物の露天商。蝿はたかっていたが、あちこちから昼時のおいしい匂いがする。
「だったら俺に付いてこなくてもいいんじゃないか」
「バカ。あたしはあなたを捕まえて国に送り返すためにここに来たのよ。見張っておかないといつまた逃げ出すか心配だからね。ウサギちゃん」
「ウサギちゃんって呼ぶのやめてくれ」
「ふん」
その時、二人は一件の料理店の前を通り過ぎた。

「おいしいビーフンはいかがですか」

透き通るような響きの女性の声。その声と中華料理の匂いにつられてピーターは足を止めた。
「あら、いい匂い」
ピーターにつられアイも足を止める。ピーターは店の外で料理鍋をかき回している少女に話し掛ける。
「おいくらですか」
白いアオザイを着た少女はそれに見合う値段を答える。
「少し高いわね」
「これにする。二つ」
「あら、あたしが払うわよ」
「俺に恥をかかせるんじゃない」
少女はクスッと笑って、二人分のビーフンを皿に乗せ、差し出した。
「グラシァス」
「ほらよ」
と、アイに一皿渡した。
「悪いわね」
ピーターは少女の方に向き直る。
「君、ベトナム人?」
「そうですよ」
「綺麗な声だね」
「ウフフ・・・グラシャス」
白いアオザイに、日除けの笠。おかっぱの髪に、細い目をにっこりと笑わせる。
「ここは長いの?」
「母がベトナム人です。父が地元の人です」
「へーっ、そうなんだ・・・」
「あ、そういえばあんたも中国人よね」
「ハーフだよ。メキシコ人との」
その少女は少し驚いた顔をすると、笑いながら二人を店の中へどうぞと促した。たまたま店の中で丁度食事を終えたのか、一群の労働者達が席を立つ。その一群の労働者達は店を出るときに先程のベトナム人の少女な笑いながら、ごちそうさん、ありがとさん、と、声をかける。
「あらあら、人気者ね、あの子」
「綺麗なソプラノだ」
空いた席に腰掛け、ピーターは水を取ってきた。
「悪いわね」
天井には大きなファンがくるくると回り、湯気や煙がこもっている。店の中にも厨房があり、焼売や餃子なども注文できるようだ。
「何か他には?」
「焼売がおいしそうね。あとコーラでも」
ピーターは席を立ち、店のカウンターへ料理を注文しに行く。しばらくして、ピーターはオレンジ色のトレーにジュースと焼売を乗せて帰ってきた。
「箸って使いにくいわ」
「そうか?」
アイはフォークで焼売を刺して口に入れた。
「でかい口だな」
「悪かったわね」
「そういうところがオバサンなんだよ」
「うるさいわね」
「昼飯によくコーラなんか飲めるよな」
「あら、あなたこそ。メキシコ人は世界一のコーラ好きじゃなかったの?」
「別に」
ピーターは器用に箸を使ってビーフンを食べながら、烏龍茶を飲む。
「久しぶりにこんなの食べたな」
と、物珍しそうに箸に取った焼売を眺める。
「ええ」
「とってもおいしい」
「それにしても、この町の人たちはメカ・インディオについて知っているのかしら」
「さあな」
二人は食事を終えると、食器を片付け、店を出た。
「グラシャス」
店の前でビーフンを売っていた少女に話し掛けられる。ピーターとアイは振り返って笑いながらお礼を言った。
「ところで・・・」
ピーターは何か思いついたように少女に話し掛ける。
「?」
「メカ・インディオって・・・聞いたこと、ある?」
ピーターは小声で話す。
「えっ」
その少女は小さく声を出し、目を見開いて驚いた。辺りをキョロキョロと見回し、ピーターたちに待ってもらうように言うと、店の奥から代わりの人を連れてきて表に立たせた。少女は二人を手招きし、店の裏へ連れて来た。厨房の匂いと煙が空中を舞う。
「ちょっと、どうしたのよ」
突然店の裏へ連れてこられたのでアイは戸惑ったが、ピーターは表情を変えなかった。この少女に何かあると思い、言われるまま付いてきただけだ。アイは仕方なしにピーターに付いて行ったようなものだ。人影のない狭い路地に、散乱するゴミ袋。

「あなたたち、メカ・インディオと何か関係があるの?」

少女は早口で言う。
「メカ・インディオを破壊することが私の目的だ」
ピーターはうろたえることなく言葉を発する。
「見てよこれ!ぜんぶメカ・インディオの仕業だわ!!」
と、少女はピーターの目の前に自分の手のひらをかざして見せた。見ると、手の指の間にはオレンジ色をした水掻きのような膜が張っている。
「えっ」
ピーターは目を凝らして彼女の手を見た。手の甲には赤い色をした薄いウロコが敷き詰めており、彼女の首筋からもギラギラ光るウロコが見える。顔色は青白く、鋭い犬歯を剥き出しにしている。
「ど、どういうことだ!?」
ピーターは右手で少女の手首をつかんで近くで見ようとしたが、ウロコで手を切った。幸い、少女が長袖だったので被害は人差し指だけで済んだが、改めて服の上から手をつかもうとした時だった。

バシッ!!

少女はピーターの手を振り払うと、振り払った手を掴み、噛み付いた!!

少女の被っていた笠が地面に落ちる。

第十話「コンビナートのゴーストタウン」につづく
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って、その前に。
「鳩時計MAXコンボ」
これおもしろいっす^^
めっさ大急ぎでポッポ言ってる想像しちゃいましたよ〜

ピーター様、やっぱり素敵☆
紳士ですね、もう、紳士ですね!!
いいなぁアイさん。
アオザイ着ている少女、彼女もメカ・インディオに体を・・・って、なぜピータ様に噛み付く!!!?
くぅっ、ビーフンおいしそうだけど、それはゆるさん!!
ピーター様から口を離して〜〜
kazu osino  11/24/2007 Sat URL [ Edit ]
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えぇえぇ。あわてて駆け出すルイちゃん、イメージしただけでかわいいです。
ピーター、アイちゃんの前ではぎこちなく気取ってます。紳士だなーって思うけど、やっぱりどこかぎこちなさを。
さてさて、新キャラやってきましたよ。怖い怖い!!
でもなんとかいい紳士っぷりを発揮して乗り切るんだ!!
茉莉  11/24/2007 Sat URL [ Edit ]
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うわー……ピラニア少女って、何かの比喩じゃなくて、本当にピラニアなんだ(驚)
メカ、本当に色んな呪いを振りまいていますけど、これが一番かわいそうです。可愛い女の子になにしやがんだ。

ルイス、寝坊するのも無理ないですよ店長。
だって大変だったもん。囚われの姫だったもん←
代わりに弁明してみました。
史間  04/15/2008 Tue URL [ Edit ]
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史間さん!!こちらこそお久しぶりですみません!!し、しかも朝早くから・・・本当にありがとうございます!!
新しく出てきたカレンちゃん、彼女も話の展開に重要なキャラです。でも確かにかわいそうだなぁ・・・
そうそう、店長にあとから言っておきます。てか、囚われの姫って!そんなにドラマチックなものではないですよ、ただの人質ですよ(おい)
茉莉  04/17/2008 Thu URL [ Edit ]
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