2008 08 / 07 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09 next month
第十三話 爆発跡

まさにその爆発が起きるという頃、ピーター達を乗せた車は、ゴーストタウンに来ていた。

「ここよ。きっと奥にいるわ」
カレンはトラックを止めて入り口に敷かれてあるコーンを退かした。
「入っていいの?」
「誰も来やしないわよ」
周りは普通に森。右にしばらく行けば湖が見える。そして来た道を少し戻ればゴミ捨て場。前に広がるのは自然の森を切り開いて建てられたマンション群。おそらく昔は白くて綺麗な外装だったが、今では壁は汚れ、ツタ植物が這っている。窓ガラスは割れ、建物自体にも亀裂が入っており、確かに危険な様子である。

「警察には言わないでね」
「あ、ごめん、あたし、警察なの。すっかり言うの忘れてたわ」
ピーターとのおしゃべりに慣れてきたせいであろう、すっかり自分が警察であることを忘れていた。
「そう・・・」
「かまわないわ。進んで頂戴」
アイはゴーストタウンの先を睨む。長く続く暗い建物たち。住宅だけでなく、昔に商店やレストランがあったような面影。ざっくばらんに生えた雑草、ひっぺがえされたアスファルト。
「決着を付けようじゃないのよ。その、メカ・インディオとやらと」
その時、一匹の猫が目の前を通り過ぎた。
「ア、アイ・・・」
ピーターはその猫が通った後を見て、驚いた。
「冗談じゃないぜ・・・ここは墓場だ!」
「!!」
見ると、地面には小さな骸骨があった。そして散らばった細い骨。鳥肉でもない。きっと、何らかの小動物。
「あっ、こっちにも・・・」
ばらばらになった細い骨。そして、鳥の頭蓋骨のようなもの・・・
「帰りましょうか?」
カレンは尋ねる。
「い、いや、行ってくれ」
「あら、ピーター、怖いの?」
「怖いよ。気味が悪い」
車は奥へと進んでいく。商店街を越え、広場に出て、さらに奥へ。
「ところであなたは」
アイが突然口にする。
「?」
「どうしてメカ・インディオに呪いを?」
「・・・・・」
カレンは黙った。しばらくして、口を開いた。
「たまたま・・・近くの墓地にいたらそうなったの」
「そう・・・」
「この辺り一体は誰も近づこうとはしないわ。ここに来て行方不明になった人もいる」
「メカ・インディオの仕業ね」
「そうだろうな」
車はゴーストタウンの中央に来たくらいで左に曲がる。少しゴミ捨て場寄りだ。

「ここよ」

カレンが指差した先に、山に続く小さな石段があった。
「メカ・インディオはこの階段の上にある展望台に住んでる」
「知ってたの?」
「噂よ。この展望台は昔人身供儀が行われていたの」
「人身供儀?」
「人間を生け贄に捧げることよ。よくこんなところにコンビナートが建ったものだわ」
「・・・そうだな」
「メカ・インディオが怒るのも無理はないわ」
「登りますか?」
再度、カレンは尋ねる。

「その必要はない」

突然、背後から声がした。

メカ・インディオである。

「誰だっ!?」

「ここはお前達の墓場だ。すばらしい墓場を選んだ。手厚く葬ってやろう」

ヒュッ!

矢が地面に突き刺さる。その後も二、三本刺さる。

「!!」

アイはすかさず腕時計に隠してある小型のカメラで写真を撮る。だが、信頼してくれるであろうか。そんなことよりも、メカ・インディオは何を・・・

「ほう、わざわざ殺されに来たか」

三人とも、動きは機敏だったのか、矢は避けることができた。メカ・インディオは一度矢を放つのをやめ、ピーターたちをギロッと見た。
「・・・!!」
顔は金属の板を骸骨の形に張り合わせたような形で、胴体もすべて骨格のように金属で骨組みがされている。背骨は曲がっており、巨大なネズミのように四つ足で歩く。目は空洞。そして、頭にはバンドに長い鳥の羽。そして片手には大きな剣、背中に弓矢。
「確かに名前の通り、メカニックなインディオね」
「アイ」
ピーターは遮った。
「忠告しておく。メカ・インディオを挑発させるような言葉は言わないように」
「ラジャ・・・」
「決着を付けにきたんだとな」
メカ・インディオの突然の言葉に、アイはドキリとした。「そうよ」とも言うことができない。
「どうした?私を見てビビったか」
声は機械のような声ではなく、普通の人間の声だった。しかし、誰かが操っている様子もなく、ただの機械が動いているだけである。
「お前は生け贄にふさわしい。こんなに綺麗な生け贄が手に入るとはな」
間違いなくメカ・インディオはアイの方を見ていた。写真を撮ったことに気が付いたのだろうか?呪いとは一体何のことだろうか、と、アイの頭の中でいろいろな考えが渦巻く。
「・・・・・」
ピーターは苦笑いした。そして速攻でこう言った。

「悪いがそいつは整形手術した不細工だぜ。生け贄にするんならもっと可愛子ちゃん選ぶんだな」

「・・・!!」

先程、ピーターに「メカ・インディオを挑発させるような言葉は言わないように」と言われたばかりなのに、何だ何だこの悪口は!あたしだって好きで整形手術したわけじゃ、いや、それどころじゃない、何が「不細工」ですってぇ!?

「・・・そうか」

メカ・インディオはただただ「そうか」と、言っただけだったが、アイにとっては自分に言われた「不細工」という言葉にメカ・インディオも納得・同意しているように聞こえたのである。

「このバカタレが!!」

アイはピーターにハイキックを食らわした。
「いってぇ・・・」
そしてメカ・インディオに発砲!!パァン、パァンという軽々しい音ではない。

ズバババババババ・・・

「メカ・インディオ!こいつに呪いなんかかけたら後々とんでもないことになるぞ!」
どっちの見方をしているのかわからないピーターに、ボーッとつっ立ったままのカレン。そしてカシャン、と、音を立てて弾切れ。

「・・・・・」

ところがメカ・インディオは無傷のように見える。

「私にそんなものが効くものか」

「くっ・・・」
アイは歯を食い縛った。

そしてその時こそまさに、ヒューという音がして、爆弾が落っこちてきたのだ。

***

また、テドロを乗せたレダの赤いスポーツカーはゴーストタウンの入り口に来ていた。

「コンビナートニュータウン?安易なネーミングね」

一度車を止め、レダはサングラスを取り、右手で自分のこめかみを押した。

カシャッ

と、小さな音がした。普通の人にならきっと聞こえないくらいの音だろう。
「カメラ?」
テドロは後部座席から尋ねた。
「そうよ」
さらにレダはこめかみを二、三回押す。
「レダ、車の跡がある。おそらく彼らは中に入ったんだろう」
ペッパーは助手席にいた。少し身を乗り出して、ピーターたちが乗っていった車の跡を確認した。
「レダ、運転かわれ。写真を頼む」
「あいよ」
一旦エンジン切り、ペッパーが運転席に着くと、再びエンジンを入れた。

「どうしたの?」
「嫌な予感がする」
「どんな?」
「勘だ」
「またそんなこと言って。兄貴の勘はあんまり当たらないんだから」
「違う今回は」

ヒューーーーー!!

突然、ロケットが発射されたような細い音がした。

「?」
「逃げるぞ」
ペッパーはハンドルを切り、アクセルに力を入れた。

ドオオオオオオン!!

ゴーストタウンは炎上し、瓦礫の山と化した。

第十四話「歌よ、響け」につづく
 | 怪物紳士の歌  | TB(0)  | CM(0) | Page Top↑
Secret




TrackBack URL
→http://marchenheart.blog57.fc2.com/tb.php/482-a931ab2b

プロフィール

メニュー

最近のコメント

リンク

携帯電話用案内板

ブログ内検索

translate this blog into

最近の記事

手品師シャオの冒険

怪物紳士の歌

カゴリカ!

トワイライト・サーカス

アルファベット・
    アンティーク