怪物紳士の歌 第十四話 01/11/2008
第十四話 歌よ、響け
「!!」
後方でゴーストタウンが炎上している。
「乗って!!」
カレンはトラックの運転席に乗った。慌ててピーターたちも乗り込む。そしてすぐさま車を発進させ、湖添いを走る。
「逃がすか・・・」
突然のことにも慌てず騒がないメカ・インディオ。逆に何か企んでいるに違いない。しかし、とりあえず今は逃げる。逃げるんだ。
「付いてきてるの?」
「さあ、わかんねぇな」
湖添いには多少の瓦礫があったが、なんとか道はつながっていた。
一方でレダとテドロとペッパーの三人は、ゴーストタウンから少し離れた小さな空き地にいた。つまりは墓地の駐車場というところか。
「あらら、倒壊しちゃった」
レダが口を開く。
「勿体ない」
と、ペッパー。
「コンクリートって再利用できないのかしらね」
「ま、壊すのにも金がかかるから感謝されてるぜ、メカ・インディオ」
「・・・・・」
テドロは黙っていた。まだメカ・インディオは死んだわけじゃない。
「テドロ!!」
声のした方向へ一斉に振り向く。
「兄貴!」
テドロは丘を掛け下りてくる二人を見た。
「テドロ、無事か?」
マルコとルイスだった。
「一体何が起きたんだ?」
ペッパーは尋ねる。
「メカ・インディオの仕業だ!本来はコンビナートを破壊するつもりだったが、間一髪防いだ」
「何だって!?あの中にピーターがいるんだぞ!!」
「何だって!?」
改めてゴーストタウンの方を見たが、煙がもくもくと立ちこめているだけだった。ふもとの方からは消防車のサイレンが響く。ルイスはハッとしてテドロに尋ねる。
「テドロ、ケーナっていう原住民の女の子を知ってるか?」
「知らない。誰だ?」
「わからない。メカ・インディオと関係があると思うが、爆弾を抱えていた」
「何だと?」
「だが自分で自分のことをアンドロイドだと言っていた」
「メカ・インディオに洗脳されてるのかも知れないな」
「ああ・・・そうかもな」
ルイスは下を向いた。そして、再び顔を上げてテドロに尋ねる。
「テドロ、君は前にメカ・インディオに育てられたと聞いたけど、どうしてメカ・インディオから逃げることができたんだ?」
「自力で逃げただけさ。まだ力があったから」
「・・・そう」
「ひょっとして・・・か弱い女の子、言うこと聞く小さい女の子を爆弾として使ったのかも」
マルコは言った。それっきり皆、黙り込んでしまった。
「車は死んじゃいないな」
ペッパーが発信機の様子を伺う。
「こっちに来る」
ブロロロォン!!
砂埃を巻き上げ、一台のトラックがブレーキをかける。ガバッとドアが開き、ピーターとアイがトラックから降りた。
「無事か!?」
ピーターよりもペッパーの方が先にメカ・インディオの存在に気が付いた。
「伏せろ!」
ペッパーはピーターに駆け寄り、頭をつかんで床に伏した。
ドスッ・・・
地面に一本の矢が刺さる。顔を上げると、そこには鉄くずでできた一人の生きものがいた。
「邪魔ばかりしやがって」
メカ・インディオは余裕の表情だった。ふとペッパーはしゃがんでいるピーターに目が行く。小さく震えており、肌の色は緑掛かっている。頭からは二本の太い角が伸びていた。ピーターはゆっくり立ち上がると、ふらつく足をしっかりと地面に着け、メカ・インディオの方を見た。
「殺すなら俺だけ殺してさっさと消え失せるんだな」
「そうはいくか」
「ならこれ以上被害が拡大しないようここでお前を始末していく」
「やれるならやってみろ」
その時、メカ・インディオの目を成すダイオードが青白く光った。
「わっ!」
ピーターが振り返ると、テドロが屈みこんでいた。この展開は、ある程度予想していた。商店街でカレンは自分を攻撃した。いつテドロやマルコが襲ってくるか、またいつ自分が誰かを攻撃するかわからない。
「!!」
上空から、何かが自分を目がけて急降下してくる。それもわかる。巨大な鳥だ。
「くっ・・・」
ピーターは地面に倒された。アイはピストルを構えようかと思ったが、それも無理だ。巨大な鳥が巻き起こす強い風に、耐えられない。
「やめろおおおぉぉぉ!!」
ピーターの視界に見えたのは、ルイスだった。右手を振りかざして、メカ・インディオを目がけて立ち向かっている。
「ルイス!!」
バリバリバリバリバリ・・・
溶接の火花が散るような音がした。ガシャン、ガシャンと音を立ててメカ・インディオが崩れていく。
「メカ・インディオ・・・」
ピーターは体を起こした。テドロとマルコも地面に座り込み、その様子を見ていた。ふっと風が止み、辺りが静まり返る。
「ルイス・・・」
あっけなく、ルイスの手によってメカ・インディオは崩れ落ちてしまった。
「な・・・何だったの?今の」
レダの声。
「護身用の・・・電流が流れる義手だよ。それよりも・・・」
ルイスはピーターとアイが乗ってきたトラックに駆け寄った。
「カレン・・・」
カレンは運転室のドアを開けた。
「ごめんなさい。仕事があるの」
ルイスはカレンの顔をはっきりと見た。頬からちらほら赤色に光る、ウロコが生えている。バタンとドアが閉まると、トラックは発車した。
ブロロロロロ・・・
ルイスは立ったまま、走り去るトラックを見ていた。
「我々の役目は終わった。帰るぞ、レダ」
珍しくペッパーが口を開く。
「そうね。私たちが口を挟むところじゃないみたい」
レダはちらっとアイの方を見ると、さっと車に乗り込み、走り去っていった。
「待ちなさいよレダ!何であなたがここにいるのよ!!」
アイは少し走ったあと、走るのをやめて立ち止まった。
「・・・・・」
「ルイス、追い掛けなさいよ」
「無理だよ」
「そう・・・じゃあ現場検証のために警察呼ぶから早いところ帰って頂戴。メカ・インディオのあと片付けをしなくちゃいけないから」
「ああ・・・」
***
「つまんないの」
レダは口を尖らせた。
「何がだ」
「なんか面白くない。それにこの格好でアイに会うなんて」
「彼女は我々を一人だと思っているからな」
「兄貴、ちょっと遊んできてもいい?観光よ。観光」
「どこにだ」
「どこだっていいじゃん。ちゃんと変装するからさ」
「あの喫茶店だろ」
「なんでわかるんだよ」
***
アイが携帯電話で警察を呼び、数人駆け付けたのち、アイを除くピーターら四人はルイスの車に乗ってその場を後にした。
「兄貴、ここまででいいよ。後はバスかなんか拾って帰るからさ」
「ああ。そうだとも」
山のふもとの道は人でごった返しているので、でこぼこした裏道を通って一度南の町に出る。
「いいよ。送る」
三人はルイスの事を気にしていた。そろそろ、帰路と南の町、つまりカレンがいる町との分岐点にくる。
「おいテドロ、それからマルコ」
「何だい、おっさん」
助手席のピーターは振り返って二人にささやく。
「逃げるぞ」
「もちろん」
ガバッ!!と三人はそれぞれドアを開け、車から飛び降りた。バタバタとドアを閉める音。
「あーっ!こら!!」
ルイスは運転席から叫んだ。
「呪いは解けたんじゃないのかよ!?」
三人はにやにや笑っている。どうやら呪いはまだ少し残っているようだ。
「頑張れルイス!」
「頑張れ兄貴!」
「チャオ!」
「お前等・・・」
後続車がクラクションを鳴らす。
「チッ・・・」
ルイスはハンドルを切った。
「やったぜおっさん!」
「さ、帰るか」
「ピーターさん、あなたはいつまでこの町にいらっしゃるんです?よければ二、三枚ほどサインをいただきたいのですが」
「ああ。かまわないよ。そうだなぁ、しばらく観光でも楽しむか」
三人は山を掛け下りた。
「何か曲でも作りたいよ。いい曲ができそうだ」
ピーターは笑った。
最終話「その後、カフェにて」につづく
「!!」
後方でゴーストタウンが炎上している。
「乗って!!」
カレンはトラックの運転席に乗った。慌ててピーターたちも乗り込む。そしてすぐさま車を発進させ、湖添いを走る。
「逃がすか・・・」
突然のことにも慌てず騒がないメカ・インディオ。逆に何か企んでいるに違いない。しかし、とりあえず今は逃げる。逃げるんだ。
「付いてきてるの?」
「さあ、わかんねぇな」
湖添いには多少の瓦礫があったが、なんとか道はつながっていた。
一方でレダとテドロとペッパーの三人は、ゴーストタウンから少し離れた小さな空き地にいた。つまりは墓地の駐車場というところか。
「あらら、倒壊しちゃった」
レダが口を開く。
「勿体ない」
と、ペッパー。
「コンクリートって再利用できないのかしらね」
「ま、壊すのにも金がかかるから感謝されてるぜ、メカ・インディオ」
「・・・・・」
テドロは黙っていた。まだメカ・インディオは死んだわけじゃない。
「テドロ!!」
声のした方向へ一斉に振り向く。
「兄貴!」
テドロは丘を掛け下りてくる二人を見た。
「テドロ、無事か?」
マルコとルイスだった。
「一体何が起きたんだ?」
ペッパーは尋ねる。
「メカ・インディオの仕業だ!本来はコンビナートを破壊するつもりだったが、間一髪防いだ」
「何だって!?あの中にピーターがいるんだぞ!!」
「何だって!?」
改めてゴーストタウンの方を見たが、煙がもくもくと立ちこめているだけだった。ふもとの方からは消防車のサイレンが響く。ルイスはハッとしてテドロに尋ねる。
「テドロ、ケーナっていう原住民の女の子を知ってるか?」
「知らない。誰だ?」
「わからない。メカ・インディオと関係があると思うが、爆弾を抱えていた」
「何だと?」
「だが自分で自分のことをアンドロイドだと言っていた」
「メカ・インディオに洗脳されてるのかも知れないな」
「ああ・・・そうかもな」
ルイスは下を向いた。そして、再び顔を上げてテドロに尋ねる。
「テドロ、君は前にメカ・インディオに育てられたと聞いたけど、どうしてメカ・インディオから逃げることができたんだ?」
「自力で逃げただけさ。まだ力があったから」
「・・・そう」
「ひょっとして・・・か弱い女の子、言うこと聞く小さい女の子を爆弾として使ったのかも」
マルコは言った。それっきり皆、黙り込んでしまった。
「車は死んじゃいないな」
ペッパーが発信機の様子を伺う。
「こっちに来る」
ブロロロォン!!
砂埃を巻き上げ、一台のトラックがブレーキをかける。ガバッとドアが開き、ピーターとアイがトラックから降りた。
「無事か!?」
ピーターよりもペッパーの方が先にメカ・インディオの存在に気が付いた。
「伏せろ!」
ペッパーはピーターに駆け寄り、頭をつかんで床に伏した。
ドスッ・・・
地面に一本の矢が刺さる。顔を上げると、そこには鉄くずでできた一人の生きものがいた。
「邪魔ばかりしやがって」
メカ・インディオは余裕の表情だった。ふとペッパーはしゃがんでいるピーターに目が行く。小さく震えており、肌の色は緑掛かっている。頭からは二本の太い角が伸びていた。ピーターはゆっくり立ち上がると、ふらつく足をしっかりと地面に着け、メカ・インディオの方を見た。
「殺すなら俺だけ殺してさっさと消え失せるんだな」
「そうはいくか」
「ならこれ以上被害が拡大しないようここでお前を始末していく」
「やれるならやってみろ」
その時、メカ・インディオの目を成すダイオードが青白く光った。
「わっ!」
ピーターが振り返ると、テドロが屈みこんでいた。この展開は、ある程度予想していた。商店街でカレンは自分を攻撃した。いつテドロやマルコが襲ってくるか、またいつ自分が誰かを攻撃するかわからない。
「!!」
上空から、何かが自分を目がけて急降下してくる。それもわかる。巨大な鳥だ。
「くっ・・・」
ピーターは地面に倒された。アイはピストルを構えようかと思ったが、それも無理だ。巨大な鳥が巻き起こす強い風に、耐えられない。
「やめろおおおぉぉぉ!!」
ピーターの視界に見えたのは、ルイスだった。右手を振りかざして、メカ・インディオを目がけて立ち向かっている。
「ルイス!!」
バリバリバリバリバリ・・・
溶接の火花が散るような音がした。ガシャン、ガシャンと音を立ててメカ・インディオが崩れていく。
「メカ・インディオ・・・」
ピーターは体を起こした。テドロとマルコも地面に座り込み、その様子を見ていた。ふっと風が止み、辺りが静まり返る。
「ルイス・・・」
あっけなく、ルイスの手によってメカ・インディオは崩れ落ちてしまった。
「な・・・何だったの?今の」
レダの声。
「護身用の・・・電流が流れる義手だよ。それよりも・・・」
ルイスはピーターとアイが乗ってきたトラックに駆け寄った。
「カレン・・・」
カレンは運転室のドアを開けた。
「ごめんなさい。仕事があるの」
ルイスはカレンの顔をはっきりと見た。頬からちらほら赤色に光る、ウロコが生えている。バタンとドアが閉まると、トラックは発車した。
ブロロロロロ・・・
ルイスは立ったまま、走り去るトラックを見ていた。
「我々の役目は終わった。帰るぞ、レダ」
珍しくペッパーが口を開く。
「そうね。私たちが口を挟むところじゃないみたい」
レダはちらっとアイの方を見ると、さっと車に乗り込み、走り去っていった。
「待ちなさいよレダ!何であなたがここにいるのよ!!」
アイは少し走ったあと、走るのをやめて立ち止まった。
「・・・・・」
「ルイス、追い掛けなさいよ」
「無理だよ」
「そう・・・じゃあ現場検証のために警察呼ぶから早いところ帰って頂戴。メカ・インディオのあと片付けをしなくちゃいけないから」
「ああ・・・」
***
「つまんないの」
レダは口を尖らせた。
「何がだ」
「なんか面白くない。それにこの格好でアイに会うなんて」
「彼女は我々を一人だと思っているからな」
「兄貴、ちょっと遊んできてもいい?観光よ。観光」
「どこにだ」
「どこだっていいじゃん。ちゃんと変装するからさ」
「あの喫茶店だろ」
「なんでわかるんだよ」
***
アイが携帯電話で警察を呼び、数人駆け付けたのち、アイを除くピーターら四人はルイスの車に乗ってその場を後にした。
「兄貴、ここまででいいよ。後はバスかなんか拾って帰るからさ」
「ああ。そうだとも」
山のふもとの道は人でごった返しているので、でこぼこした裏道を通って一度南の町に出る。
「いいよ。送る」
三人はルイスの事を気にしていた。そろそろ、帰路と南の町、つまりカレンがいる町との分岐点にくる。
「おいテドロ、それからマルコ」
「何だい、おっさん」
助手席のピーターは振り返って二人にささやく。
「逃げるぞ」
「もちろん」
ガバッ!!と三人はそれぞれドアを開け、車から飛び降りた。バタバタとドアを閉める音。
「あーっ!こら!!」
ルイスは運転席から叫んだ。
「呪いは解けたんじゃないのかよ!?」
三人はにやにや笑っている。どうやら呪いはまだ少し残っているようだ。
「頑張れルイス!」
「頑張れ兄貴!」
「チャオ!」
「お前等・・・」
後続車がクラクションを鳴らす。
「チッ・・・」
ルイスはハンドルを切った。
「やったぜおっさん!」
「さ、帰るか」
「ピーターさん、あなたはいつまでこの町にいらっしゃるんです?よければ二、三枚ほどサインをいただきたいのですが」
「ああ。かまわないよ。そうだなぁ、しばらく観光でも楽しむか」
三人は山を掛け下りた。
「何か曲でも作りたいよ。いい曲ができそうだ」
ピーターは笑った。
最終話「その後、カフェにて」につづく
kazu osino 01/16/2008 Wed URL [ Edit ]
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読み進めてくださってありがとうございます!!やっとこさ次回最終回ですよ。
ルイちゃん、やっぱりあなたの方が主人公(笑)
なんかいきなりどかどかと話が進展してしまいました・・・。
でも次回、ちゃんと終わらせますから!それだけは約束します(お)
長嶋監督・・・えー、魚へんにブルーと書いてサバ・・・
ルイちゃん、やっぱりあなたの方が主人公(笑)
なんかいきなりどかどかと話が進展してしまいました・・・。
でも次回、ちゃんと終わらせますから!それだけは約束します(お)
長嶋監督・・・えー、魚へんにブルーと書いてサバ・・・
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ルイス君が腕を失ったことは、とても辛い事だったけれど、護身用に電流を義手に流せるようにしていたことで、メカ・インディオを撃破!
しかも、そんなことより・・・でカレンさんの方を気にしてて。
う〜ん、何気にカッコイイ^^
そして、3人の男性陣いい働きですね♪
これで、ルイス君はカレンさんの所へ行けたのかな♪
がんばれ、ルイス君!
次回最終話ですか!!
楽しみに待ってます〜